【水彩画入門】海のある風景の描き方を初心者にもわかりやすく解説!

こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入ってはや半世紀。水彩画の楽しさをお伝えして30年になります。

越前海岸を訪れたのは冬のこと。日本海特有の鉛色の空の下、岩に打ち付ける波しぶきの迫力に思わず立ち尽くしたのを覚えています。この【動】のエネルギーをどうしても水彩で残したくて、何枚もスケッチを重ねました。今回はそのときの記憶をたどりながら、皆さんと一緒に描いていきますね

今回は、水彩画を始めてまだ日が浅く「一体どのように描けば、海のある風景を上手く描けるようになるのだろか」と不安に思っている方に、優しくわかりやすく描き方を解説していきます。

ズバリ結論から申し上げますと

海のある風景を描くには

1.「構図」をしっかり決める

2.描く順番を守(遠景から近景、大画面から細部へ)

3.水彩画の特徴ある技法を使う(マスキング、ウェットインウェット、ドライブラシ等)

それだけで、初心者でも上手く描くことができます。

では早速、詳しく解説して参りましょう。

海のある風景を水彩画で描く前に準備するもの

水彩画を描くにあたって必要な道具や支持体について解説していきます。

まずは、道具について。

水彩画初心者に必要な道具について

水彩絵の具には、透明水彩と不透明水彩があります。

ここでは透明水彩絵の具を使っての描き方をお伝えしていくので、透明水彩絵の具が必要です。

透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いについてはこちらの記事もお読みください。

水彩画初心者にピッタリ!水彩絵の具とメーカーのおすすめを紹介!

透明水彩絵の具は、描いた上に、別の色で描くと下の色が透けて見えるのが特徴です。

重ね塗りの技法です

初心者の場合、絵の具はセットで購入されることをおすすめします。

なぜなら、描画に必要な色が過不足なく揃えられているからです。

初心者におすすめの絵の具について、詳しくはこちらの記事もお読みください。

【初心者向け】水彩画の絵の具セットのおすすめ!固形とチューブの選び方

絵の具の他にパレット、筆、筆洗が必要です。

パレットは、個別に色が出せる小さい区切りの部分

混色ができる広い部分のあるものが便利ですね。

筆も細いものから太いものまで、数本ある方が描く上で便利です。

動物毛の高級なものを揃えるよりも、初心者ならば、思い切ってナイロンなどの合成繊維製の筆をおすすめします。ホームセンターなどでも販売されていて購入もしやすいです。

筆者はアクリル絵の具のところでも紹介しておすすめしていますが、サクラクレパスのネオセブロンがお気に入りです。子どもが使っても少々のことではへこたれないタフさと合成繊維毛のしなやかさが水彩絵の具を使用するときにでも、柔らかいタッチが得られます。

筆洗は、筆を洗うところと、綺麗な水をそのまま置いておくところがあると便利ですので2、3箇所区切りがあるものを選ぶといいですね。

こちらは学童用の絵の具セットに入っていた筆洗です。大きくて使いやすいですよ。

水彩画の道具についてはこちらの記事も参考に!

水彩画初心者の道具選びー基本中の基本とラクして楽しむ方法を徹底解説

ひと通り、描画に必要な道具はこれで揃いましたね。

他に、ティッシュペーパーや雑巾(いらない水分を拭き取るときに使う)やスポイドなどもあれば便利ですね。

水彩画に向いている支持体

次は、支持体(何に描くか)です。

水彩画に向いている支持体は水彩紙です。

ひと言で表現するならば、水彩画のために開発された紙だからです。

  • 長期保存に適した中性紙
  • 水彩画のテクニックの「にじみ・ぼかし」がしやすい
  • 美しい発色が生まれる
  • 表面の凸凹が豊富で素早く水を吸収してくれる

などなど、数え上げればきりがありません。

その理由は、こちらの記事で詳しく説明しています。ご一読ください。

水彩画初心者におすすめの紙(水彩紙)3選!仕上がりはこれで決まる

初心者なら、絵の具の色がよくわかるホワイトの水彩紙をおすすめします。

今回は写真を見ながら机の上で描くのでブロックの水彩紙にすると便利です。

ブロックの水彩紙とは、四方がのりづけされているタイプの水彩紙です。

水張りの必要はもなく、上から順番に使っていきます。

1枚描き終えたら、カッターで外します。

机の上で描くなら、F4サイズより小さめがいいでしょう。

ホルベインのclester<クレスター>は、バランスが良く、初心者にはもってこいの水彩紙です。筆者も初心の頃から愛用しています。紙色も白過ぎず自然な白さが気に入っています。

海のある風景の描き方 構図と下描き

さあ、道具は揃いました。いよいよ海のある風景を描いていきましょう。

今回は、日本海の荒波を描きたいと思います。福井県越前海岸の風景です。

描きたい風景を決めて構想を練る

筆者はアイデアスケッチと呼んでいます。

今回は現場でのスケッチとはいきませんが、写真を基にその時の状況を思い出しながら生き生きと描いていきたいと思います。

こちらは、A4サイズのクロッキー帳に描いていきます。まず、鉛筆で枠をとります。

愛用のキャンソンクロッキーブックです。

次に、濃いめの鉛筆、3Bや4Bでささっと構図をとります。

空と海が半々になっていて画面が単調です。これは初心の頃にやってしまいがちな失敗です。水平線を画面の真ん中に持ってくると構図が安定して「動きのないつまらない画面」になってしまいます。

今度は海の面積を大きくして、大自然の雄大さ、荒波の迫力を表現してみましょう。

空の部分を狭くして、海と波を大きく描きました。

鉛筆だけでは、イメージが固まらないときは、このアイデアスケッチに色をつけましょう。

水彩に向かないクロッキー帳なので、水を含んでぶよぶよしてしましましたが。

イメージはしっかりと決まりました。言葉でも注釈を書き込みました。

下描きをする

では、アイデアスケッチを参考に下描きを始めましょう。

下描きの鉛筆は、HBやHなどの薄めのもので力を入れず優しく描きます。

なるべく消しゴムは使わないようにしてください。

ゴシゴシ消すと水彩紙を傷つけてしまいます。

どうしても使う時は、柔らかいものを使い優しく消してください。

筆者はサクラクレパスの消しゴムを愛用。柔らかくてよく消えます。

下描きができました。

今回の海のある風景は「日本海の荒波」がテーマですので、白波の部分がポイントになります。

水彩画は水彩紙の白より白い白色はありませんので、水彩紙の白を活用します。

マスキングインクペンを使って描いていきます。

マスキングについては詳しくは⬇️(こちらをタップ)

水飛沫の部分は大きめですがペン先で点々を入れていきます。

荒波の大きい部分は、筆を湿らせて伸ばしていきます。その時も荒波のイメージで描いていきます。

マスキングが完了しました。

乾燥するまでしばらく待ちます。

海のある風景の描き方 遠景から近景、大画面から細部へ

彩色の時も、以下の2つのポイントを押さえて、初心者でもバッチリ描けます!

では、順番に解説していきますね。

海のある風景を描く順番 ① 遠景から近景へ

遠いところから描き始めて、近いところは後にします。

海がメインの風景なのですが、空もあります。

空の方が海よりも遠く(遠景)にあるので「空」から描きます。

遠景・中景・近景で青を使い分けると、変化に富んだ風景になります。

遠景の色はウルトラマリン系、中景はプルシャンブルー、近景はコンポーズブルー系やインディゴ使って描いていきましょう。

技法は、ウェット・イン・ウェット(にじみ・ぼかし)を使いましょう。

ウェットインウェットについては👇(こちらをタップ)

早速、描いていきましょう。

まず、画面に太い平筆でお水を塗ります。たっぷり目で濡らしてください。

次に、パレットの大きな部分に<空の部分の色ーウルトラマリンライト>を多めに出します。

たっぷりのお水で溶きます。

右利きの人は「画面左から右へ」、左利きの人は「左から右へ」筆を運んでください。

いい感じに滲んでいますね。

さらに中景は、暗い目の青、プルシャンブルーを加えていきましょう。こちらもパレットの大きい部分に少し多めに出して、たっぷりの水で溶きます。同じように描いていきます。

にじみ・ぼかしの技法をフル活用します!

ちょっと、海に侵食していますが、海が波打つ様子や、空と海の境目の様子などが「にじみ・ぼかし」の技法で上手く表現できます。

いかがですか?思ったより簡単にできますね。

海のある風景を描く順番 ② 大画面から細部へ

アイデアスケッチの中で、今回は海が一番大きな面積を占めていますが

①「遠景から近景へ」の法則に従い空から描きました。

いよいよメインの「海の部分」を描いていきます。

「白波」はマスキングしていますので、ここは最後にしましょう。

波の高低差、強弱など変化をつけて描いていきます。

波が描けたら、岩です。

岩は、左側の大きなものから描き始めて、手前の小さな岩に描き進めていきます。

ゴツゴツした岩肌の表現は、平筆でカクカクと面を意識して描きます。

岩がある程度描けたら、次はいよいよ「白波」です。

マスキングを丁寧に剥がします。

薄く伸ばした所が少し剥がしにくい時は、柔らかい消しゴムで丁寧に優しく剥がします

全て剥がし終えたら、「白波」の躍動感を描いていきます。

海の色と同じ2種の青色(プルシャンブルーやインディゴ)を使って描いていきましょう。緑色、赤色で波の影を面相筆を使って「こちょこちょこちょ」と細かく動かして描きます。

白波の間に、海色や影の色の波を描いていくイメージです。

同じように「ドライブラシ(かすれ)の技法」白波の影の部分を描いても可能です。そうすれば「白」い絵の具を使うことなく「白波」が表現できます。詳しくは👇こちらをタップ

マスキングの水飛沫が少し大きすぎました。こちらも、海の色や影の色で上から細かく描いていきましょう。

海面上の岩陰を描いて岩のゴツゴツを平筆で描きます。

ここでも、ドライブラシの技法を使いました。

こちらは近景(一番近い風景)なので、何度も何度も色を重ねて描き込んでいきます。

この時、乾いた上から重ね塗りすると色が濁ったりしません。

十分に乾燥させてから色を重ねていきましょう。

そうすれば、水彩画の特徴である「生き生きとした表現」ができます。

完成です

海のある風景の描き方で押さえたい水彩技法(マスキング、ウェット・インウェット、ドライブラシ)

海のある風景の描き方で押さえたい水彩画の基本の技法を紹介します。

マスキング

水彩画では、基本、白色の絵の具は使いません。

水彩紙の紙の白色をうまく活用して白色を表現します。

それで、白い部分に絵の具が入らないようにマスキングします。

マスキングインク・ペンタイプを使えば、初心者でも上手くマスキングできます。

ウェット・イン・ウェット(にじみ・ぼかし)

下地や先に塗った色が乾かないうちに、上から別の絵の具を塗り重ねる技法です。

絵の具が紙の上で自然に馴染み、幻想的な混色を生み出せる透明水彩の代表的なテクニックです。

基本技法のぼかしとにじみ

詳しくは、こちらの記事もお読みください。

【水彩画入門】絵の具の塗り方ー基本中の基本と基本のテクニックを紹介

ドライブラシ(かすれ技法)

筆跡のかすれを生かして描く技法のことです。

マスキングが少し苦手な方は、この「ドライブラシ(かすれ)」の技法を使って波の表現ができます。

水分を拭き取るか、他の紙に試し描きをして最適な状態で波の部分を描きましょう。

この技法で白波を描く時は、白波の部分を大きく鉛筆などで囲っておいて白い部分を守りましょう!

今回は、岩の部分にもこの技法を使いました。

【水彩画入門】海のある風景の描き方 まとめ

いかがでしたか?上手く描けそうですね。

ポイントは

  • 構図をしっかり決める(水平線は画面の真ん中を避ける)
  • 下描きはHやHBの薄目の鉛筆で優しく下描きする(消しゴムはなるべく使わない)
  • 紙の白さを残す(必要な時はマスキングする)
  • 水彩絵の具で描くときは①遠景から近景へ②大画面から細部へ
  • 水彩画の技法を駆使する(マスキング、ウェットインウェット、ドライブラシなど)

これさえ守れば、あなたも今日から「海のある風景」を楽しんで描けます!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

感謝です。

他にも、水彩画の描き方を紹介しています。

興味のある方は、ぜひこちらの記事もお読みください。

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