こんにちは、絵師の徳田智子です。
絵の道に入ってはや半世紀。水彩画の素晴らしさをお伝えして30年以上になります。
今年もひまわりが描きたくなって花屋さんを巡りました。お花は花屋さんで調達しましたが、ひまわりにはやっぱり、青い空が似合いますね。

本日は、夏がやってくると必ず描きたくなる「ひまわり」の簡単な描き方をお伝えします。
ひまわりの鮮やかな黄色を水彩画で表現するのは、一見難しそうに思えますよね。
ズバリ!2つのコツさえ押さえれば、初心者でも驚くほど生き生きとしたひまわりを描くことができます。
この記事では、道具の選び方から、形が崩れない下描きの方法、鮮やかな色使いのテクニックまで分かりやすく解説します。
お部屋に季節の花を「水彩画で描いて」飾りたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ひまわりの水彩画を描く前に!初心者が揃えたいおすすめ道具
水彩画を始めて間もない時期は、どんな道具を買い足せばいいか迷ってしまうものです。
まずは、これだけは揃えておきたい基本の道具と、仕上がりを劇的に変えるおすすめのアイテムをご紹介します。
基本の道具セット(絵の具・筆・パレット・水入れ)
水彩絵の具は、最初は小学校で使うような一般的なものでも十分に描くことができます。でも、大人の水彩画としては、透明水彩絵の具をお勧めします。出来上がりの発色が全然違います。有名メーカーの12色セットから始めてみるといいですね。
詳しくはこちらの記事で⬇️
筆は水をしっかり含むことができる、少し質の良い丸筆を大小2本ほど用意するのがおすすめです。(今回は、18号と6号を使用しました。)
筆者は水彩画の時も、日本画で使用する「動物毛」のものばかり使っていました。けれども「アクリル絵の具」を使うようになって「合成繊維毛」を使うようになり、「あれっ?これ使いやすいよね」って感じた筆があります。

それが「サクラクレパスのネオセブロンのシリーズ」です。子どもの容赦ない使い方にも忍耐強く耐え、しなやかに使えるこのシリーズは、お値段もお手頃!細い丸筆から太い平筆まで豊富なラインナップ。よかったら一度、使ってみてください。

パレットは色が確認しやすい白のプラスチックやアルミ製がおすすめです。

また、水入れは仕切りのあるものが便利です。こちらも、子ども用でもいいです。大きめのものの方が、筆をゆったり洗うことができます。

これらがあるだけで、色の混色がスムーズになり、作業のストレスがぐっと減ります。
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になさってください⬇️
表現が広がる!初心者に試してほしいおすすめの水彩紙
一歩上の仕上がりを目指すなら、画用紙ではなく「水彩紙(専用紙)」をぜひ試してみてください。
水彩紙は水を多く含んでも波打ちにくく、絵の具の発色が驚くほど鮮やかになります。
初心者の方には、表面の凹凸が適度にある「中目(なかめ)」のブロックタイプが扱いやすくておすすめです。
水彩紙の「ブロックタイプ」とは、四方が糊で固められているスケッチブックのことです。描いている最中に紙がヨレにくく、乾いた後にペーパーナイフなどで剥がすだけで綺麗な一枚に仕上がります。
水彩紙の重さは「1平方メートルあたりの紙の重さ(g/㎡)」で表記され、数値が大きいほど紙が厚く、水を多く含んでも波打ちしにくくなります。日常の練習用には185g〜200g、水張りをせずに本格的な水彩画を描く場合は300g以上の厚口が推奨されています。
こちらはCANSONの【モンバル水彩紙】
1900年代はじめにフランス人画家ギャスパール・マイヨールによって誕生しました。100%セルロース(植物繊維)。中性で水に強く、描画後も波打ちが少ない理想の水彩紙。ナチュラルホワイトで発色が非常に良い紙です。(蛍光染料を使用していません)。重さは300gでたっぷり水分を吸収してくれます。

「流石にこれは予算オーバー」っと思った方は、もう少しお手頃価格の、それでいて使い勝手のいい水彩紙についてこちらで紹介しています。水彩紙についてもっと知りたい方はこちら☝️
手持ちの道具に水彩紙をプラスするだけで、まるでプロのような「にじみや質感」を表現できるようになります。
【コツ1】ひまわりの水彩画|形が崩れない下描きの描き方
・ひまわりが自然で生き生きと見える花びらの描き方
・プロが実践する鉛筆選びと消しゴムの正しい使い方
ひまわりを描くとき、いきなり花びらから描き始めて「形が歪んでしまった」経験はありませんか?
デッサンが苦手な初心者でも、簡単な補助線(アタリ)を使うことで、バランスの良いひまわりが描けるようになります。
今回、スケッチに使用したひまわりです。可愛いですね

ひまわりの花のアタリの取り方:丸と十字でバランスを決める
まずは鉛筆を使い、紙のどこに花を配置するか、大きめの丸を1つ薄く描きましょう。
その丸の中心を通るように、十文字の線を引いて全体のバランスを整えます。
次に、中心の種ができる部分(芯)のために、一回り小さな丸を内側に描きます。
この「2つの円と十字の線」が、形を崩さないための大切な設計図になります。

ひまわりの花びらを描く時の「デッサン風にならない」シンプルな工夫
アタリができたら、内側の円から外側の円に向かって、花びらを1枚ずつ描いていきます。
このとき、実物の花や写真を見ながら忠実に再現しようとしすぎると、かえって不自然になりがちです。
まずは時計の12時、6時、3時、9時の位置に基準となる花びらを描き、その間を埋めるように描いてみてください。

規則正しく並べすぎず、少し重なり合う部分を作ることで、ひまわりらしい自然な生命感が生まれます。
鉛筆の濃さは、薄めのHかHBで、力一杯描くのではなく、優しく薄めに描くのがコツです。
鉛筆もこだわれるならば、三菱鉛筆のユニシリーズをおすすめします。粒子が細かく均一な高品質の芯を採用しているので、水彩紙への下描きも滑らかに美しく仕上がります。鉛筆の成分が水彩紙に残ったりしません。
できたら消しゴムは使わないほうがいいですが、どうしても使いたい時は優しく撫でるように使ってください。
筆者のおすすめの消しゴムは「サクラクレパス アーチ」です。柔らかくて使いやすいです。

下描きの段階で消しゴムをゴシゴシと強くかけすぎると、水彩紙の表面(凹凸)が潰れてしまいます。紙が傷つくと、あとから絵の具を塗ったときに綺麗に発色しなくなるため注意しましょう。
【コツ2】鮮やかに仕上げる!ひまわりの水彩画の描き方・着色手順
・ひまわりがパッと輝く「黄色」と「影のオレンジ」のコントラスト
・生命のエネルギーを表現する補色の使い方と筆の動かし方
下書きが終わったら、いよいよ楽しい着色のステップに入ります。
水彩画の基本である「薄い色から濃い色へ」の順番を守りながら、立体感のあるひまわりを仕上げていきましょう。
ステップ1:ひまわりは、中心の「種」の部分から立体感を出す
まずはひまわりの中心にある、茶色い種の部分(芯)<管状花(かんじょうか)というそうです>から色を塗っていきます。
ここは単なる茶色一色ではなく、黄色や緑を少し混ぜた薄い茶色をベースに塗りましょう。
今回、ホルベインの透明水彩絵の具12色セットを使用しました。

筆者はチューブ絵の具をパレットで乾燥させた「自家製の固形絵の具」で描いています。絵の具の濃さも最適になり、快適に描写することができます。ぜひ、お試しください。
こちらで詳しく説明しています。参考にどうぞ☝️
バーントシェンナに、パーマネントイエローライトとパーマネントグリーンを少し混ぜた「薄い茶色」をベースに塗ります。
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乾かないうちに、外側に向けて少し濃いブラウン(バーントアンバー)を点々と置くように重ねると、リアルな立体感が表現できます。
中心を先に仕上げることで、周りの花びらの鮮やかさがより引き立つようになります。
ステップ2:ひまわりらしい鮮やかな「黄色」の重ね方
次に、主役である花びらの黄色を塗っていきます。水彩は白で明るくできません。一番光が当たる花びらの先端は“塗らずに紙の白を残す”のがコツです。
ホルベインですと「パーマネントイエローライト」になります。
パレットの黄色をそのまま塗るのではなく、ほんの少しの赤(クリムソン レーキ)やオレン(バーミリオン ヒュー)を混ぜた「温かみのある黄色」をベースにします。

全体に薄く黄色を塗った後、影になる部分(花びらの根元など)に少し濃いオレンジを重ねてみてください。
この「明るい黄色」と「影のオレンジ」のコントラストが、ひまわりをパッと輝かせる最大の秘訣です。
ステップ3:葉と茎を描いて全体を引き締める
最後に、葉と茎の緑色を塗って全体を仕上げてしていきます。
緑色も、黄色を多めに混ぜた「黄緑」と、青を混ぜた「深い緑」の2色を用意しましょう。
ホルベイン絵の具ですと黄緑の「パーマネントグリーン」と「ビリジャン」もしくは、「コバルトブルー ヒュー」を少し混ぜた緑になります。
光が当たっている部分を明るい黄緑、影を深い緑で描き分けることで、生き生きとした葉っぱになります。
花、芯、葉のすべての色が揃うことで、画面全体がグッと引き締まります。

また、影の部分を描くときは、色の「補色関係」にある色を使うと画面に深みが増します。
この方法をとれば、色が濁ったりすることもありません。
補色については、こちらのアクリル絵の具の記事の中に詳しく説明しています。よろしければ参考になさってください。
葉っぱを描くときも茎を描くときも、生物は土(下)から空・天(上)に向かって伸びていこうとするエネルギーに溢れています。
そのため、筆も画面の下から上に動かすと、ひまわりの持つ生命のエネルギーまで感じられる描写になります。

こちらの記事も参考にどうぞ
ステップ4:青空を背景に入れてひまわりを引き立てる
先に青空部分だけ水を引き、乾かないうちにコバルトブルーを置いてにじませます。青はひまわりの黄色の補色なので、背景に青を入れるだけで黄色がパッと前に出てきます。

にじみ・ぼかしの技法で青空をプラスしました。
技法について詳しくはこちらを参考にしてください⬇️

背景全体をコバルトブルーで描く必要はないと思います。あなたの感性でひまわりと青空の最高の関係を見つけてください!
水彩画初心者がひまわりを描くときによくある失敗と対策
・水分の多さによる紙の波打ちを防ぐティッシュの活用法
・失敗の大半を未然に防いでくれる「良い水彩紙」の重要性
「なぜか色がくすんでしまう」「紙が波打ってぐちゃぐちゃになった」というのは、初心者が必ずと言っていいほど直面する悩みです。
これらのトラブルを未然に防ぎ、楽しく描き進めるための解決策をお伝えします。
色が濁って暗くなってしまう原因と混色のコツ
色が濁ってしまう一番の原因は、パレットの上でたくさんの色を混ぜすぎてしまうことです。
水彩絵の具は、3色以上を混ぜると急速に鮮やかさが失われ、グレーや黒に近い色に近づいてしまいます。

ひまわりの黄色や茶色を濁らせないためには、混ぜる色を「最大でも2色まで」に留めるのがコツです。
また、筆を洗う水が汚れているとそれだけで色が濁るため、水入れの水はこまめに換えましょう。
水の量が多すぎて紙がヨレてしまうときの対処法
水彩画らしいにじみを出しようとして、水分が多くなりすぎて紙が波打ってしまうことがあります。
これは、紙が水分を吸収しきれずに伸びてしまうことが原因です。
対策としては、筆についた余分な水分をティッシュや布でこまめに拭き取る癖をつけることです。

もし紙がヨレてしまったら、完全に乾いた後に裏側から低温のアイロンをあてると、ある程度平らに直すことができます。
しかし、水彩画で大成功を収めるには「良い紙を使う」のが一番です。
他にも色々な要因はありますが、これさえ押さえれば、出来上がりの見栄えは満点に近くなります。
みなさんご存知の有名なスケッチブックに水彩絵の具で書いてみたら…こんなことに!紙はベコベコ。ウェットインウェットの技法はまるっきり使えません。

紙がヨレヨレになったり、ウェットインウェットなどの水彩画特有の技法が上手くいかなかったりするのは、十分に水を吸わない紙を使ったことに原因があります。紙は「ウエイト(重量)」で表されていますので、購入前にチェックしましょう。できるだけ300g以上の重さの十分な厚みのある水彩紙がおすすめです。
つまり、使う紙を専用の水彩紙に変えるだけで、失敗の大半は防げるのです。

【Q&A】ひまわりの水彩画に関するよくある質問
Q. 100円ショップの絵の具や筆でも綺麗に描けますか?
A. はい、最近の100円ショップの道具は非常に優秀ですので、十分に楽しむことができます。
ただし、もし予算に少し余裕があれば、「水彩紙」だけは専門店のものを使うことをおすすめします。画用紙とは絵の具の引き立ち方が全く異なります。

紙についてはこちらの記事も参考になります⬇️
Q. ひまわりの茶色い中心部分を、真っ黒にしてしまいました。修正できますか?
ひまわりの中心部(芯)ー管状花(かんじょうか)の部分ですね。つい、一生懸命になりすぎて真っ黒になりますよね。

A. 水彩絵の具は、乾いた後でも水を含ませた筆で優しくこすると、ある程度の色を吸い取ることができます。手順に従って、優しく優しく、水彩紙を傷つけないように気をつけてください。

真っ黒になってしまった部分を水筆でほぐし、ティッシュで軽く押さえて色を落としてから、改めて明るい茶色や黄色を重ねてみてください。
いかがですか?上手くできましたか?
季節の花を飾ろう!ひまわりの水彩画を素敵に仕上げるコツまとめ
・絵の具の引き立ち方や技法の成功率を左右するのは「良い水彩紙」を使うこと
・一瞬のはかない花の命を、絵として残して長く楽しむ素晴らしさ
ひまわりの水彩画は、基本の道具選び、2つのコツ、その1 丸と十字を使った下描き、その2 長年の経験から導き出した「2色までの混色」を意識するだけで、初心者でも劇的に上手く描けるようになります。

最初は上手く描けなくても、水彩画特有の「にじみ」や「かすれ」が、それぞれの個性豊かな味になってくれます。技法についてはこちらの記事も参考になさってください。
「ひまわり」だけに留まらず、季節のお花を自分で描くことができるのはとても素晴らしいことです。お花の命はすごく短くて、愛でてあげられる時間は限られています。
そんな健気な花たちの「その一瞬を描きとめて長く鑑賞できる」って、素晴らしいと思いませんか?
描いておけば、自分以外の人にもその花たちの素晴らしさを見せてあげることもできます。また、プレゼントとして贈り物にすることもできます。
夏を象徴するひまわりが1枚お部屋にあるだけで、空間がパッと明るく元気な雰囲気に包まれます。
さあ、自信を持って一歩踏み出しましょう!あなただけの素敵なひまわりを描き上げて、ぜひお部屋に飾ってみてくださいね。
本日は最後までお読みいただきありがとうございました。
感謝です。
他にもお花の描き方の記事がありますので、よろしければ、こちらも併せてお読みください。

















・仕上がりを劇的に変える初心者おすすめの水彩紙
・プロが実際に使って驚いたお手頃で使いやすい筆