こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入って早半世紀。水彩画の素晴らしさをお伝えして30年になります。
食べることも大好きなりんご!何度も描いています。立体感や、いきいきと美味しそうに描けると嬉しいですよね。その感動をあなたにも!

初心者の人にはりんごを描いても、「立体感が出ず平面的になる!」「丸く見えない!」「紙がヨレヨレになる」という人が多いのではないでしょうか。
でも、安心してください。
ズバリ!結論から申し上げます!
初心者でも以下の5ポイントを押さえるだけで水彩画でリアルなりんごが描けます。
- 光がどちらからきているか確認(できれば北側の窓から差し込む光がベスト)
- りんごのハイライトの位置を確認し残しておく(いきいきとしたリンゴに仕上がる)
- りんごの影の部分を捉える(立体感が出る)
- 水彩画の技法をうまく使う(ウェット・イン・ウェット、重ね塗り、リフティング)
- 初心者が陥りやすい3大失敗を避ける
この5つのポイントを押さえるだけです!
さあ、早速、描いていきましょう!
目次
りんごを水彩画で描く前に準備するもの
まずは、りんごを水彩画で描くにあたって、避けては通れない準備する道具や支持体について解説していきます。
りんごを描く、水彩画初心者にとって必要な道具
もちろん水彩絵の具が必要です。
水彩絵の具には、透明水彩と不透明水彩があります。
今回は、透明水彩絵の具を使っての描き方をお伝えしていくので、透明水彩絵の具が必要です。
透明水彩絵の具は、描いた上に、別の色で描くと下の色が透けて見えるのが特徴です。
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いについてはこちらの記事もお読みください。
初心者の場合、絵の具はセットで購入されることをおすすめします。
なぜなら、描画に必要な色が過不足なく揃えられているからです。
初心者におすすめの絵の具について、詳しくはこちらの記事もお読みください。
絵の具の他にパレット、筆、筆洗が必要です。

パレットは、個別に色が出せる小さい区切りの部分と混色ができる広い部分のあるものが便利で使い勝手がいいです。

筆も細いものから太いものまで、数本ある方が描く上で便利です。
動物毛の高級なものを揃えるよりも、初心者ならば、思い切ってナイロンなどの合成繊維製の筆をおすすめします。ホームセンターなどでも販売されていて購入もしやすいです。
筆者はアクリル絵の具のところでも紹介しておすすめしていますが、サクラクレパスのネオセブロンがお気に入りです。子どもが使っても少々のことではへこたれないタフさと合成繊維毛のしなやかさが水彩絵の具を使用するときにでも、柔らかいタッチが得られます。
筆洗は、筆を洗うところと、綺麗な水をそのまま置いておくところがあると便利ですので2、3箇所区切りがあるものを選ぶといいですね。

こちらは学童用の絵の具セットに入っていた筆洗です。大きくて使いやすいですよ。
ひと通り、描画に必要な道具はこれで揃いましたね。
他に、ティッシュペーパーや雑巾(いらない水分を拭き取るときに使う)やスポイドなどもあれば便利ですね。
りんごを描く支持体ー水彩紙の選び方
次は、支持体(何に描くか)です。水彩画に向いている支持体は水彩紙です。
今回描く「りんご」も、水彩紙選びは重要なポイントです。
「紙がヨレヨレになる」方は、この紙選びをしっかりすることで、この失敗からは解放されます。
水彩紙には表面の質感によって、大きく3つの種類があります。
| 紙目 | 紙の特徴 | 仕上がり |
|---|---|---|
| 細目(ホットプレス) | 表面が滑らかで、細かい描写に最適 | りんごの表面の滑らかな質感を表現したい場合 |
| 中目(コールドプレス) | 最も一般的な水彩紙で、初心者の方におすすめ。適度な凹凸があり、水の流れをコントロールしやすい。 | りんごの自然な質感を表現 |
| 荒目(ラフ) | 表面の凹凸が大きく、ダイナミックな表現に最適 | りんごの粗い質感や、背景に変化をつけたい場合に効果的 |
りんごを見ながら机の上で描くのでブロックの水彩紙にすると便利です。
ブロックの水彩紙とは、四方がのりづけされているタイプの水彩紙です。
水張りの必要はもなく、上から順番に使っていきます。1枚描き終えたら、カッターで外します。

また、水彩紙の厚さは200g前後が初心者には扱いやすく、中目(コールドプレス)は適度な凸凹が筆のタッチを生かしてくれるため、にじみやぼかしが綺麗に出ます。
ホルベインのclester<クレスター>は、補足説明にもあるように、初心者にはもってこいの水彩紙です。筆者も初心の頃から愛用しています。紙色も白過ぎず自然な白さが気に入っています。中目(コールドプレス)で厚みも210gと申し分ないです。
薄い紙では水を含んだ時に波打ちやしやすく、 美しく仕上がりません。
ワンポイントアドバイス:最初は中目の紙から始めて、慣れてきたら他の質感も試してみるという人が多いですね。みなさんも色々試してください。
【水彩画】りんごの描き方 赤いりんご編
では、準備ができたところで早速りんごを描いていきましょう。
ここで画家から一言!観察のコツを2つお伝えします!
りんご=赤という思い込みを捨てて、赤い色の他に「黄色や緑、茶色」などの色があることをよく観察しましょう!
りんごは球体ではなく、断面が5角形で微妙に角ばっているんです。ご存じでした?!なので、描く前にじっくり観察しましょう!
赤いりんごの描き方 ① アイデアスケッチ
アイデアスケッチでりんごの形を捉えていきます。
大体の形、まんまる、ちょっと楕円形、左右非対称で歪んでいる、など、3Bとか4Bの柔らかい鉛筆でさらっと描きます。

光の方向、影の部分、ハイライトの情報などを文字で書き込みます。
軽く色も入れてみましょう。出来上がりのイメージが掴みやすくなります。

使う色の情報も付け足しました。全体はバーミリオン ヒュー、暗い部分にクリムソンレーキ、一番暗いところはコバルトブルー ヒューでグッと暗くします。明るい部分のアクセントに単色で購入したブリリアントローズやオペラも少し入れてみましょう。
赤いりんごの描き方 ② 下描き
アイデアスケッチが終わったら、水彩紙に下描きをします。この時アイデアスケッチの情報を元にHかHBの鉛筆で薄く、優しく描きます。

ハイライトの位置、影の部分をざっくりと鉛筆で囲みます。
赤いりんごの描き方 ③ 着彩
下描きもできたので、アイデアスケッチを元に着彩していきましょう。
着彩1-2-3(ワンツースリー)のステップでりんごが楽々描けます!
では、早速ステップ1から始めましょう!
赤いりんごの描き方 着彩ステップ1:全体を捉えて描く
ステップ1ではりんご本体の質感や重量感を描いていきます。細部にこだわらず大胆に描いていきましょう!

まず全体に、綺麗な水をたっぷりと筆に含ませてりんごの形に染み込ませます。
次に、「パーマネントイエロー」をパレットの大きな部分に薄く溶いて、ウェット・イン・ウェットの技法でその上から描きます。
ウェット・イン・ウェットについて、詳しくはこちらをタップ☝️
りんごの枝周辺のくぼみに「パーマネントイエローグリーンN0.1」を入れます。
完全に乾く前に「バーミリオン ヒュー」を明るい左側に、暗い部分には「クリムソンレーキ」で描きます。
赤いりんごの描き方 着彩ステップ2:全体を整えるように描く
ステップ2では、ステップ1で捉えたりんごの全体をさらに色を加えて整えていきます。

くぼみの枝の部分(果梗・かこう)を描きます。「バーントシェンナ」でもいいですが、「バーミリオン ヒューとビリジャン」を混ぜ合わせてグレーっぽい茶色で描いてみましょう。
配合の比率を変えると、さまざまな「茶色」ができますので試してみてください。完全に乾いてから重ね塗りすることで、枝の立体感が出ます。
赤いりんごの描き方 着彩ステップ3:細部を描いて完成
ステップ3では、さらに細部を描いて全体を整えます。

りんごの模様を描きます。ゴマのような白い点々は、水を使って色を抜くリフティングの技法を使います。
マスキングで先に囲っておくことも可能ですが、どこに入れるかも立体感を持たせる時の鍵になりますので、今回は、着彩後に模様を描くことにしました。
模様が細かいので、面相筆を使います。水を含ませたきれいな面相筆で画面に水分を補給し、ティッシュなどで滲み出た絵の具を拭き取ります。
白い斑点のようになるまで、何度も同じ動作を繰り返します。
一度にこすり取るのでなく、根気よく何度もすることで水彩紙を痛めず綺麗に仕上げることができます。
【水彩画】りんごの描き方 黄色いりんご編
今度は、赤いりんごよりも少々難易度が高い、黄色いりんごを描いてみましょう。
黄色いりんごも赤いリンゴ同様、「黄色いリンゴ=黄色だけ」ではありません。「黄緑や黄橙、茶色」もあります。しっかり観察していきましょう!
もちろん、黄色いりんごも球体ではなく、断面が5角形で微妙に角ばっているのでそれを頭に入れて描いていきましょう!
黄色いりんごの描き方 ① アイデアスケッチ
同じように、アイデアスケッチでりんごの形を捉えていきます。

ハイライトの位置が左斜め上、少しわかりにくいですね。
実は、このとき、光が後ろの方から当たるような位置にりんごを配置していました。これだと、手前が全面的に影の位置になり、べったり影の色を塗ってしまい立体感が出にくいです。
なので北向きの窓から、光が当たる位置にりんごを置き換えました。

画家からの一言:北向きの窓から入る光は、お日様の移動の影響を1日中受けにくく、影の位置がほとんど変わりません。なので、絵を描くときは、ぜひ、この北からの光で描いてください。
ほら、左から光が差し込んできて、影が右側に。ハイライトも左上にくっきり出ていますね。
これなら、りんごの形がわかりやすく、立体感が出やすいですね。
アイデアスケッチに、違いを描き込み下描きに移ります。

先の後ろから光が当たっている時のアイデアスケッチの横に、今回の「北側の窓の光を左側から当てる」配置のりんごのアイデアスケッチを描いてみました。光の向きを忘れないように大きく矢印を入れてみました。
黄色いりんごの描き方 ② 下描き
アイデアスケッチが出来上がったら下描きです。水彩紙にHかHBの線筆で「薄く、優しく」描いてください。影の配置や、ハイライトの部分を鉛筆で囲っておきましょう。

黄色いりんごの描き方 ③ 着彩
黄色いりんごも同じように、着彩1-2-3 のステップで簡単にりんごが描けます。
黄色いりんごの描き方 着彩ステップ1:全体を捉える
黄色いりんごも赤いりんごと同じように、ステップ1ではりんご本体の質感や重量感を描いていきます。細部にこだわらず大胆に描いていきましょう!
全体に、綺麗な水で水彩紙を湿らせます。セットには入っていませんが単色で購入した「レモンイエロー」を置きます。
この時、使う筆は「太め」の筆(先ほど紹介した「サクラクレパスのネオセブロン 18号」)を使用します。さらっと描けて、絵の具がよく伸びます。

乾かないうちに、くぼみのところにパーマネントグリーンNO.1で少し色を置きました。
黄色いりんごの描き方 着彩ステップ2:全体を整えるように描く
パーマネントイエローを全体に重ねて立体感を出していきます。

よく乾いたら、影の部分にコバルトブルー ヒューを重ね塗りします。

影が濃すぎるように見えるかもしれませんが、完全に乾燥すると水彩絵の具が落ち着いて、色が薄く感じます。

完全に乾いたら、「バーミリオン ヒューとパーマネントイエロー」をパレットの大きな部分で混ぜ合わせ、重ね塗りの技法で色を重ねていきます。影の部分に塗り重ねます。透明水彩の特徴である「下の色が透けて見える」効果でりんごの立体感がさらに出てきました。
同じように、くぼみの部分にビリジャンを足します。
ハイライトの部分に薄く「パーマネントイエロー」で描きます。
ハイライトを全て消さないように注意!
黄色いりんごの描き方 着彩ステップ3:細部を描いて完成
本体が描けたので、細部の描写に映ります。
くぼみの部分に「パーマネントグリーンとコバルトブルー ヒュー」で影と模様を描きます。
果梗(かこう・くぼみの棒の部分)は、「バーントシェンナ」でもいいですが、「バーミリオン ヒューとビリジャンの重ね塗り」で描くとより立体感が出ます。
表面の胡麻のような点を「バーミリオン ヒュー」でちょんちょんちょんといれて完成です。

影の部分が濃すぎたので、前面の影の一部分に、きれいな水を筆にたっぷり含ませて、いらない色をティッシュで拭き取る「リフティング」の技法を使いました
きつく擦るのではなく、優しく「トントントン」を拭き取ってください。りんごの皮の質感も出ましたね。
設置面にコバルトブルーやクリムソンレーキ、ビリジャンなどを重ね塗りして存在感を出しましょう。この時、<反射光=照り返し>をりんごの底に入れましょう。

<反射光=照り返しについて>
りんごの底(机と接する部分)のすぐ上に、ほんのり明るい「反射光=照り返し」を入れると、向こう側に回り込むように見えて一気に立体的になります。理由は、周辺環境からの「反射光=照り返し」が輪郭を浮かび上がらせるため、人間の脳はそれを「三次元の立体」として認識しやすくなります。

【水彩画】りんごの描き方で押さえておきたい水彩画の技法
りんごの描き方でとても重要な水彩画の技法を説明していきます。
りんごを描く水彩画の技法 ① ウェット・イン・ウェット(にじみとぼかし)
ウェット・イン・ウェットは、下地や先に塗った色が乾かないうちに、上から別の絵の具を塗り重ねる技法です。
絵の具が紙の上で自然に馴染み、幻想的な混色を生み出せる透明水彩の代表的なテクニックです。
ポイント:たっぷりの綺麗な水を筆に含ませる。多過ぎた時はティッシュなどで拭き取る。
りんごを描く水彩画の技法 ② 重ね塗り
特に難しい技法ではありませんが、基本を忠実に守ることで水彩画の「みずみずしさ」や「透明感」を表現できます。
そしてこの重ね塗りの技法は、赤いリンゴにも黄色いりんごにも広く活用できます。
この技法は、パレットで色を混ぜ合わせるのではなく
画面上で色の層を作ることで、透明感や奥行き、複雑な深みを生み出すことができる技法です。
ポイント:完全に乾いてから、次の色を重ねること
りんごを描く水彩画の技法 ③ ドライブラシ
筆跡のかすれを生かして描く技法のことです。
ポイント:筆の水分を充分に拭き取る。必要な時は別の紙で試し描きしてから。
りんごを描く水彩画の技法 ④ 水を使って色を抜くリフティング
水彩絵の具が完全に乾いた後に、水を含ませたきれいな筆で画面に水分を補給し、ティッシュや綿棒などで滲み出た絵の具を拭き取ることができます。濃くなりすぎた部分の調整ができます。
丈夫な水彩紙を使用していますが、あまり強く擦らず、優しく水分を拭き取ってください。

りんごの場合、描きすぎてしまった部分を明るくしたり、模様の部分を描く時などに使えます。風景の描写では、波のしぶき、雲などの表現に活用できます。
りんごの描き方で初心者が陥りやすい3大失敗
初心者が陥りやすい三大失敗をまとめました。解決方法もありますので、ご自身の失敗と向き合ってじっくり検証してください。
| 失敗の症状 | 原因 | 解決・修正のコツ |
|---|---|---|
| ① 色がにじんで形がボヤける | 水が多すぎる、または紙が乾ききる前に色を重ねている。 | 筆の水気を拭き取る:筆をティッシュ等で軽く拭き取ってから絵の具を含ませる。 完全に乾いてから色を重ねる。 |
| ② ベタ塗りになり立体感がない | 濃淡(グラデーション)がなく、全体を同じ色で塗ってしまっている。 | 白(紙の地)を残す:ハイライトを残す。端や光が当たる部分はあえて塗らない。薄い色から塗り始める。ウェットインウェットの技法を使う。 |
| ③ 濃くなりすぎて修正できない | 絵の具を取り過ぎて濃すぎる。もしくはゴシゴシ擦りすぎている。 | 絵の具を吸い取る:失敗した部分は、きれいな濡れていない筆で水を吸い取る。筆に綺麗な水を含ませて画面に置き、ティッシュで軽く押さえて色を抜く。 |
りんごの描き方 まとめ
赤いりんご、黄色いりんご、うまく描けましたか?
以下の5つのポイントを押さえて上手く描くことができましたね!
- 光がどちらからきているか確認(できれば北側の窓から差し込む光がベスト)
- りんごのハイライトの位置を確認し残しておく(いきいきとしたリンゴに仕上がる)
- りんごの影の部分を捉える(立体感が出る)
- 水彩画の技法をうまく使う(ウェット・イン・ウェット、重ね塗り、リフティング)
- 初心者が陥りやすい失敗を避ける
同じようにお花の描き方もあります。
お花にご興味がある方は、ぜひお読みください。












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