こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入って早半世紀、水彩画の楽しさをお伝えして30年になります。
チューリップのお花畑がメルヘンチックで何度も訪れて、何枚も何枚もスケッチをしました。

今回は、このチューリップの花のある風景を皆さんと一緒に描いていきたいと思います。

奈良県の馬見丘陵公園というところは、年中いろいろなお花を鑑賞することができる大変素敵なところです。詳しくは奈良県のホームページをご確認ください。
オランダには行ったことはありませんが、この公園で見たチューリップのお花畑は壮大で日本に居ながらオランダにいるように感じられました。
今回は、水彩画を始めてまだ日が浅く「一体どのように描けば、花のある風景を上手く描けるようになるのだろか」と不安に思っている方に、優しくわかりやすく描き方を解説していきます。
ズバリ結論から申し上げますと
花のある風景を描くには
1.全体の「構図」をしっかり決める
2.描く順番を守る(遠景から近景、大画面から細部へ)
3.水彩画の特徴ある技法を使う(ウェットインウェット、ドライブラシ、重ね塗り等)
それだけで、初心者でも上手く描くことができます。
では早速、詳しく解説して参りましょう。
目次
花のある風景を水彩画で描く前に準備するもの
水彩画を描くにあたって必要な道具や支持体について解説していきます。
水彩画初心者に必要な道具について
水彩絵の具には、透明水彩と不透明水彩があります。
ここでは透明水彩絵の具を使っての描き方をお伝えしていくので、透明水彩絵の具が必要です。
透明水彩絵の具は、描いた上に、別の色で描くと下の色が透けて見えるのが特徴です。
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いについてはこちらの記事もお読みください。
初心者の場合、絵の具はセットで購入されることをおすすめします。
なぜなら、描画に必要な色が過不足なく揃えられているからです。
初心者におすすめの絵の具について、詳しくはこちらの記事もお読みください。
絵の具の他にパレット、筆、筆洗が必要です。

パレットは、個別に色が出せる小さい区切りの部分と
混色ができる広い部分のあるものが便利ですね。

筆も細いものから太いものまで、数本ある方が描く上で便利です。
動物毛の高級なものを揃えるよりも、初心者ならば、思い切ってナイロンなどの合成繊維製の筆をおすすめします。ホームセンターなどでも販売されていて購入もしやすいです。
筆者はアクリル絵の具のところでも紹介しておすすめしていますが、サクラクレパスのネオセブロンがお気に入りです。子どもが使っても少々のことではへこたれないタフさと合成繊維毛のしなやかさが水彩絵の具を使用するときにでも、柔らかいタッチが得られます。
筆洗は、筆を洗うところと、綺麗な水をそのまま置いておくところがあると便利ですので2、3箇所区切りがあるものを選ぶといいですね。

こちらは学童用の絵の具セットに入っていた筆洗です。大きくて使いやすいですよ。
ひと通り、描画に必要な道具はこれで揃いましたね。
他に、ティッシュペーパーや雑巾(いらない水分を拭き取るときに使う)やスポイドなどもあれば便利ですね。
水彩画に向いている支持体
次は、支持体(何に描くか)です。
水彩画に向いている支持体は水彩紙です。
ひと言で表現するならば、水彩画のために開発された紙だからです。
- 長期保存に適した中性紙
- 水彩画のテクニックの「にじみ・ぼかし」がしやすい
- 美しい発色が生まれる
- 表面の凸凹が豊富で素早く水を吸収してくれる
などなど、数え上げればきりがありません。
その理由は、こちらの記事で詳しく説明しています。ご一読ください。
初心者なら、絵の具の色がよくわかるホワイトの水彩紙をおすすめします。
今回は写真を見ながら机の上で描くのでブロックの水彩紙にすると便利です。
ブロックの水彩紙とは、四方がのりづけされているタイプの水彩紙です。
水張りの必要はもなく、上から順番に使っていきます。
1枚描き終えたら、カッターで外します。
机の上で描くなら、F4サイズより小さめがいいでしょう。

ホルベインのclester<クレスター>は、バランスが良く、初心者にはもってこいの水彩紙です。筆者も初心の頃から愛用しています。紙色も白過ぎず自然な白さが気に入っています
水彩画で花のある風景を描く|構図と下描きの決め方
さあ、道具は揃いました。いよいよ花のある風景を描いていきましょう。
先ほどから紹介している「チューリップのお花畑」を描きたいと思います。見渡す限りのチューリップ畑がとても素敵で、その風景を描きたくて何枚も何枚もスケッチを重ねました。
今回はその時の感動を思い出しながら皆様と一緒に描いていきたいと思います。
描きたい風景を決めて構図を練る
先ほどから、本当に綺麗なチューリップのお花畑の風景を紹介してきましたが、その中でもチューリップの絨毯が丘の上まで続いていて、桜も満開のこの1枚をもとに、その時の感動を思い出しながら、皆さんと一緒に描いていきたいと思います。

まず最初に、どのようにチューリップのお花畑を配置するか決めていきましょう。
お気に入りクロッキー帳にアイデアスケッチをしていきます。
もちろん使用するのは、A4サイズのキャンソンクロッキーブックです。
早速、スケッチしていきましょう。
空と大地が半々にならないように気をつけて地平線を決めます。春霞の空を大地よりも少し広く撮ることで開放感が生まれます。春ののどかな日差しの中でチューリップの絨毯が広がります。

色を載せてイメージを掴みましょう。
水彩紙ではないので、ペコペコしていますが、イメージはしっかり掴めますね。
下描きをする
では、アイデアスケッチをもとに、水彩紙に下描きしていきましょう。
水彩紙はホルベインのクレスター(ブロックタイプ)を使用します。
この時は、HかHBの鉛筆で、優しく薄く描いてください。なるべく消しゴムは使わないでください。どうしても使う時は、柔らかい消しゴムで優しく消してくださいね。決してゴシゴシと消さないようにおお願いします。水彩紙の表面を痛めてしまうとうまく絵の具や水分を吸収しなくなってしまいます。お気をつけくださいね!
筆者愛用は、サクラクレパスのArch(アーチ)です。
さあ、描いていきましょう!
雲、丘陵の線、桜の枝、チューリップ絨毯の色の分かれ目などを鉛筆で線描きします。
メインのチューリップは、ポイントとなる部分に丸を描きます。

チューリップの部分は重要ですが、すべての花を描くのではなくポイントになるところだけ描写しましょう。目印として丸く鉛筆で描くだけで大丈夫です。
水彩画で花のある風景を描く順番|遠景→近景・大画面→細部
海のある風景の描き方でもお伝えしましたが、風景画を描くときは
「遠景から近景、大画面から細部へ」という鉄則を守れば大きく失敗することはありません。
詳しくはこちらも参考に☝️
では早速、着彩していきましょう。
花のある風景を描く順番① 遠景から近景へ
この場合の遠景は空です。雲の部分は白いので、鉛筆で印をして大きく残しておくか、マスキングをしておくと失敗しません。
マスキングインク・ペンを使うと初心者でも簡単にマスキングできます。

雲や桜も少し面積がありますので、ペンでインクを出した後に、筆で薄く伸ばしました。
マスキングが乾いたら、空の色を入れます。まずは、ウェット・イン・ウェットの技法で春霞の空を表現していきます。
太めのブラシ(今回はサクラクレパス・ネオセブロン18号を使用しました)にたっぷりの水を含ませて水彩紙に染み込ませます。

その上から、ウルトラマリンブルーをパレットで薄く伸ばして優しく描きます。
ここでポイントになるのが『水の量』です。空のような広い面はティッシュから水がしたたるくらいたっぷり、近景のチューリップに近づくにつれて筆の水分を減らしていきます。水分量を変えるだけで、同じ絵の具でも遠近感が驚くほど自然に出ます。半世紀描いてきましたが、これは今でも毎回意識しているポイントです。
空の下の部分、チューリップ畑に近いところには、水を浸さず「ドライブラシ」で雲と空を表現します。
メインの雲にはマスキングしています。

空が描けましたら、遠景の山のところと桜を描きます。

桜の描き方は、花びらのイメージを筆の動き「ちょんちょんちょん」で描いていきます。
詳しくはこちらの記事もお読みください。
花のある風景を描く順番② 大画面から細部へ
空と遠景が描けましたので、近景のチューリップに移ります。
こちらは下半分を占める大画面です。まずは、チューリップのカラー配置のように黄色と赤色を描いていきます。

今回、黄色と赤の混色チューリップでしたが、黄色1色のチューリップにして「赤と黄色のコントラスト」が効いた画面に仕上げます。
最初は色の塊で捉えていきます。ウェット・イン・ウェットの技法を使います。
乾く前に同じ色の濃淡でチューリップの膨らみを表現しましょう。
この方法を繰り返して、チューリップの配置を決めていきます。
全体の雰囲気が掴めたら、手前のチューリップを重ね塗りの技法で細かく描いていきます。
それが画面全体のポイントとなり引き締まった絵となります。

いかがですか?チューリップの絨毯ができましたね。奥行きも出ています。
花のある風景に欠かせない水彩画の4つの技法
ウェット・イン・ウェット(にじみ・ぼかし)
下地や先に塗った色が乾かないうちに、上から別の絵の具を塗り重ねる技法です。
絵の具が紙の上で自然に馴染み、幻想的な混色を生み出せる透明水彩の代表的なテクニックです。
基本技法のぼかしとにじみ

ドライブラシ
筆跡のかすれを生かして描く技法のことです。
マスキングが少し苦手な方は、この「ドライブラシ(かすれ)」の技法を使って雲(空)の表現ができます。
水分を拭き取るか、他の紙に試し描きをして最適な状態で空の部分を描きましょう。

この技法で空や雲を描くときは、雲の部分を大きく鉛筆などで囲っておいて白い部分を守りましょう!
重ね塗り
この技法を使うと、パレットで色を混ぜ合わせるのではなく、画面上で色の層を作ることで、透明感や奥行き、複雑な深みを生み出すことができます。

マスキング
水彩画では、基本、白色の絵の具は使いません。
水彩紙の紙の白色をうまく活用して白色を表現します。
それで、白い部分に絵の具が入らないようにマスキングします。
マスキングインク・ペンタイプを使えば、初心者でも上手くマスキングできます。

花のある風景の描き方 まとめ
花のある風景は上手く描けましたか?今回はチューリップ畑でしたが、いろいろなお花で応用ができます。
ポイントは
- 構図をしっかり決める(水平線は画面の真ん中を避ける)
- 下描きはHやHBの薄目の鉛筆で優しく下描きする(消しゴムはなるべく使わない)
- 紙の白さを残す(必要な時はマスキングする)
- 水彩絵の具で描くときは①遠景から近景へ②大画面から細部へ
- 水彩画の技法を駆使する(ウェットインウェット、ドライブラシ、重ね塗り、マスキングなど)
これさえ守れば、あなたも今日から「花のある風景」を楽しんで描けます!
他にも初心者向けに描き方を紹介しています。
桜の風景の描き方、海のある風景の描き方もぜひお読みください。















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