こんにちは、絵を描いて早半世紀、絵師の徳田智子です。アクリル絵の具を使うようになって5年の歳月が経ちました。
アクリルガッシュで描き始め、アクリル絵の具で仕上げました。同じアクリル樹脂でできた絵の具なので、科学的にも問題なく併用できます。

詳しくはこちらの記事を参照ください⬇️
- 服についたアクリル絵の具が乾くと落ちなくなる理由
- 家庭にある身近なアイテムを使った具体的な落とし方5選
- 実際に試したリアルな検証結果
服にアクリル絵の具がついてしまい、しかも完全に乾いてカチカチに固まってしまうと、本当に焦りますよね。(アクリルガッシュも成分が同じ「アクリル樹脂」なので結果は同じです。)
普通に洗濯機で洗っただけではビクともしないため、「もうこの服は着られないかも」と諦めそうになるかもしれません。
しかし、あきらめる必要はありません。
実は、私たちの家にある身近なアイテムを使うことで、固まったアクリル絵の具をきれいに落とす方法があります。
この記事では、趣味でアクリル画を描く大人の方向けに「お気に入りの服を傷めずに乾いた絵の具をスッキリ落とす具体的な手順」を詳しく解説します。
大切な一着を元通りにして、これからも安心して創作活動を楽しめるようになりましょう。

注)すべての状況において可能ということではなく、自己責任で行なってください。
乾いたアクリル絵の具はなぜ落ちにくいの?理由と洗う前の心構え
服についたアクリル絵の具が乾くと、なぜこれほどまでに頑固で落ちにくくなってしまうのでしょうか。
その理由と、実際に作業を始める前に絶対に知っておくべき心構えを解説します。
服についたアクリル絵の具が乾くと「耐水性」に変化する仕組み
アクリル絵の具は、水に溶ける性質を持っていますが、それはあくまで「乾く前」の話です。
絵の具に含まれる水分が蒸発すると、アクリル樹脂の成分が固まって強固なプラスチック状の膜(塗膜)を形成します。
この状態になると、水を通さない完全な「耐水性」へと変化してしまいます。
そのため、ただ水に濡らしたり、普通の洗濯洗剤で洗ったりするだけでは、固まった樹脂を溶かすことができず、服の繊維に残り続けてしまうのです。

無理にこするのはNG!生地を傷めないための注意点
絵の具が固まっているからといって、爪でガリガリと引っ掻いたり、ブラシで強くこすったりするのは絶対にやめましょう。
繊維の奥に絵の具がさらに押し込まれたり、服の生地そのものが毛羽立って傷んだりする原因になります。
基本は「こする」のではなく、家にある適切なアイテムを使って絵の具の樹脂を「溶かし、浮き上がらせて叩き出す」という意識を持つことが大切です。
また、服の素材によっては色落ちするリスクもあるため、必ず目立たない場所で事前にテストを行ってください。
絵の具が乾く前の応急処置はこちら!
もし絵の具がまだ乾いていないなら、水溶性のうちに裏側から冷水を流しながら洗剤でもみ洗いすれば、ほとんど落とせます。この記事では『乾いてしまった後』の対処法を中心に解説します。
【家にあるもの5選】服についたアクリル絵の具の乾いた後の落とし方
それでは、家にある身近なアイテムを使って、乾燥して固まったアクリル絵の具を落とす5つの具体的な方法をステップ順に解説します。
服の素材や手元にある道具に合わせて、試しやすい方法を選んでみてください。
1. 除光液(プロピレングリコール・アセトン)を使う方法
マニキュアを落とすときに使う除光液は、アクリル絵の具の強力な樹脂を分解して溶かす効果が期待できます。
特に成分に「アセトン」が含まれているものは洗浄力が高いですが、アセテートやトリアセテートなどのデリケートな衣類は生地が溶けるため使用できません。

手順としては、まず服の裏側にいらないタオルを敷きます。
その後、除光液を浸したコットンや綿棒で、絵の具がついた部分を上からトントンと優しく叩き、下のタオルに絵の具を移していきましょう。
マイルド系でもこの効果!

2. 消毒用アルコール(エタノール)を使う方法

手の消毒用や掃除用として家にあるアルコール(エタノール)も、アクリル樹脂を緩めて溶かすのに非常に有効です。
除光液よりも生地への負担が比較的少なく、扱いやすいのがメリットです。

使い方は除光液と同様に、絵の具の部分にアルコールをたっぷり含ませます。
絵の具が少し柔らかくなってきたら、歯ブラシの毛先を使って、上から軽く叩くようにして繊維から絵の具を浮き上がらせ、タオルに吸い取らせてください。
3. クレンジングオイルを使う方法
メイク落としに使うクレンジングオイルは、油性の汚れを浮かせるプロです。
アクリル絵の具は油性ではありませんが、クレンジングオイルに含まれる界面活性剤が、固まった樹脂の隙間に入り込んで繊維から剥がれやすくしてくれます。

絵の具が気になる部分にクレンジングオイルを直接なじませ、親指の腹を使って優しくもみほぐします。

少しずつ絵の具がポロポロと崩れてきたら、ぬるま湯で丁寧にすすぎ流してください。
4. 酸素系漂白剤と固形石鹸を組み合わせる方法
ここまでの方法でも完全に落ちない場合や、広範囲についてしまっている場合は、酸素系漂白剤(ワイドハイターなど)と固形石鹸(ウタマロ石鹸など)のダブル使いが効果的です。

40℃〜50℃ほどのぬるま湯を用意し、そこに酸素系漂白剤を溶かして「服を30分ほどつけ置き」します。

つけ置きが終わったら、絵の具の部分に固形石鹸を直接こすりつけ、繊維を傷めない程度の力加減で優しくもみ洗いをしてください。

漂白剤のパワーと石鹸の洗浄力が合わさることで、固まった汚れがすっきりと落ちやすくなります。

5. 台所洗剤でつけ置き洗い
これが意外なんですが、台所洗剤(中性)の原液をぬるま湯に溶かして、絵の具が固まった部分をつけておく方法です。これは、ついうっかり絵の具がついたままの筆を放置してしまった時、ぬるま湯に台所洗剤を垂らしてそこに筆をしばらく(5分〜数時間)つけておきました。すると、絵の具が剥がれてきて。この経験からヒントを得ました。

ぬるま湯に溶かした台所洗剤に、剥がしたい部分をつけ置きします。乾燥してからの時間でつけ置きする時間を調整します。乾いてから半日程度なら、1時間ほどで大丈夫ですが、実験のように乾いてから1ヶ月以上経っていましたので、3〜4時間ほどつけました。

筆についたアクリル絵の具の剥がし方、詳しくはこちらの記事を☝️
- 除光液やアルコールで樹脂を溶かしてタオルに叩き出す
- クレンジングオイルで優しくもみほぐして浮かす
- 漂白剤と固形石鹸のぬるま湯つけ置きで最終アタック
- 番外編 筆が固まった時と同じ方法でもやってみる
どうしても落ちない…プロのクリーニングに頼るべき判断基準
家にあるものを駆使して様々な方法を試してみても、完全に絵の具が落ちないケースや、かえってシミが広がってしまうケースもあります。
そんな時に、家庭での染み抜きをストップしてプロに任せるべき明確な基準を知っておきましょう。
家庭での染み抜きをストップしてプロに任せるべき目安
以下のような状況に当てはまる場合は、これ以上無理に自宅で洗うのをやめ、すぐにクリーニング店へ相談することをおすすめします。
- ウール、シルク、カシミヤなど、水洗いやアルコールに弱いデリケートな素材の服である場合
- 家にあるもので数回試しても、絵の具の塊が一切柔らかくならず、びくともしない場合
- 染み抜きをしている最中に、服の周りの色が抜けてきたり、生地が摩耗してきたりした場合
プロのクリーニング店では、繊維を傷めずに特殊な溶剤を使って固まった樹脂を分解する技術を持っています。
これ以上お気に入りの服のダメージを深刻にさせないためにも、早めの見極めが肝心です。
服についたアクリル絵の具の落とし方でよくある質問(Q&A)
Q. アクリル絵の具が服についてから何日も経っているのですが、落とせますか?
A. 数日〜数週間経って完全にカチカチに固まっている場合、落とす難易度は非常に高くなりますが、除光液やアルコール、中性洗剤をじっくり染み込ませることで落とせるケースもあります。ただし、生地を傷めるリスクも高まるため、慎重に作業を行うか、プロのクリーニングへの依頼を検討してください。
参考に専門店のプロの技をご紹介します。
Q. 除光液やアルコールを使ったら、服そのものの色が落ちてしまいませんか?
A. 服の染料によっては、除光液やアルコールによって色落ちや色移りが発生することがあります。そのため、作業を始める前に必ず服の「縫い代」や「裾の裏側」などの目立たない場所に液を少し付け、白い布で叩いて色移りがしないかテストを行ってください。

ズボンならウエストの部分の裏側や裾の部分の内側がおすすめです。ブラウスなどの上着は裾部分の内側、腕で隠れる部分がおすすめです。
まとめ:服についたアクリル絵の具も家にあるもので諦めずに落とそう
服についたアクリル絵の具が乾いて固まってしまっても、家にある除光液やアルコール、クレンジングオイル、そして身近な台所用中性洗剤などを使うことで、きれいに落とせる可能性は十分にあります。
大切なのは、無理にガリガリとこすらず、樹脂を優しく溶かして叩き出すことです。
趣味の絵の時間をこれからも思い切り楽しむために、もし服を汚してしまっても焦らずに今回の方法を試してみてくださいね。
どうしても落ちないときは無理をせずプロのクリーニングの力を借りて、大切なお気に入りの一着を長く守っていきましょう。
- 乾いたアクリル絵の具は耐水性プラスチック状になるため水洗いでは落ちない
- 除光液、アルコール、クレンジングのほか、台所用中性洗剤の原液も効果的
- 無理に強くこするのは生地を痛める原因。落ちない場合はプロへ相談
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
感謝です。
アクリル絵の具での描写はとても手軽に始められ、末長く楽しんでいただける画材です。大切なお洋服に絵の具がつかないよう、まずは、予防策:例えば作業服を用意する、エプロンなどをつける、を徹底していただければと思います。シンプルで動きやすそうなものもたくさんあるので通販サイトなどで探してみるのもいいかもしれません。
筆者のように「しまった!」っとなった時は、この記事を参考に、できるだけ早く固まってしまった樹脂を溶かしてください。
アクリル絵の具の楽しみは無限です。服につくことなど怖がらずどんどん描いて欲しいと思います。アクリル絵の具については、こちらの記事も参考にしていただければと思います。









