絵師の徳田智子です。絵の道に入ってはや半世紀。アクリル絵の具を愛用して5年の歳月が流れました。
この作品はF4号のポリエステルのキャンバスボードに描いています

本日は、アクリル絵の具を使って絵を描くときにおすすめのキャンバスを紹介します。
どんな種類があるのか、どんなサイズがあってどれを使っていいのか、迷いますよね。
結論からお伝えすると、アクリル絵の具初心者の方には
『F3〜F4号サイズのポリエステル製キャンバスボード(中目)』が一番おすすめです。
半世紀の画歴で様々なキャンバスを試してきた経験から
その理由を本文で詳しく解説していきます。

エマルジョン(アクリル系)溶剤で下地処理しているキャンバスのことさ!

ありがたいことに画材屋さんや通販で手に入れられるキャンバスは、ほとんどが下地処理済みの状態だよ!アクリル絵の具用っていうのを見つければ大丈夫!
キャンバスを購入する際は、下地が3種類あることも知っておくと便利です。
- 水性下地(吸水力高め)
- エマルジョン(アクリル系)下地ー水性も油性も使える万能タイプ
- 油性下地ー油絵専用、アクリル絵の具は使えません
アクリル絵の具初心者の方は迷わず「エマルジョン下地」のものを選んでください!
市販の張りキャンバスのほとんどはこのタイプなので安心です。
目次
アクリル絵の具用キャンバスの【素材別】特徴とおすすめ
今から、アクリル絵の具用のキャンバス=下処理をアクリル系溶剤で塗布したキャンバスについて、解説していきます。
| チェック項目/素材名 | 麻(リネン) | 綿(コットン) | ポリエステル(混紡) |
|---|---|---|---|
| 価格 (F4号張りキャン) | 価格高め (1,500円ぐらい) | 麻より低価格 (1,300円ぐらい) | 麻・綿より低価格 (900円ぐらい) |
| 表面の状態 | 目の荒さが選べる 細目・中目・荒目 | 繊維が均一で柔らかい ほとんど中目 | 糸の太さが一定・目が整っている・ほとんど中目 |
| 耐久性 | 極めて高い耐久性・長寿命・湿気に強い・乾燥に弱い | 耐久性はポリエステルにやや劣る、通気性は良い | 高い耐久性、伸縮や湿度による歪みが少ない、光による劣化がしにくい |
キャンバスの素材には大きく分けて3つあります。
麻、綿、ポリエステル(合成繊維)です。
それぞれの素材の特徴を解説していきます。
麻(リネン)100% のキャンバス
丈夫で長持ちですが、価格少し高めです。3種類の中で一番高いです。
どこかに出品するような作品を描くときに使うといいですね。
細目や中目や荒目など、目の粗さが選べるのも大きな特徴です。
綿(コットン)100% のキャンバス
綿(コットン100%)のキャンバスは、麻のキャンバスに比べて
価格が安いので、練習用や大作の制作に手軽に使用できます。
麻(リネン)に比べて繊維が均一で表面が滑らかです。
なので細かい描写や滑らかなタッチに向いています。
けれども繊維の特性上、麻に比べてたわみやすいです。
実は筆者も、画材屋さんに薦められて安価な綿のキャンバスで100号の大作を描いたことがあるのです。数年経ったら表面がたわんでしまって。トホホです。すぐに張り直しました。コスパは魅力ですが、長く残したい作品には向かないというのを身をもって体験しました。
ご自分で張る時は、より一層「ピンとは張る」ように要注意です。
たわみを防ぐためには生地が厚手のものを選ぶこともポイントですが
張る時にすごく「力」が要ります。ご参考までに。
ポリエステル(合成繊維)のキャンバス
糸の太さが一定で織り目が整っているため細密画に向いています。
麻や綿に比べて伸縮や湿度による歪みが少なく
光による劣化がしにくいので画面が長持ちします。
麻に比べて軽く、持ち運びしやすいです。
コストパフォーマンスが良く、初心者にもおすすめ。
現代的な技法や練習用に人気があります。
素材別では、品質や耐久性では「麻」が最高です!
でも、アクリル絵の具初心者なら「お値段&扱いやすさ」の面から見て
初心者におすすめのキャンバスの素材は!
ポリエステル(混紡) です!
ちなみに、アクリル絵の具と混同されがちな「アクリルガッシュ」との違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
アクリル絵の具用キャンバスの【タイプ別】特徴とおすすめ
キャンバスには、大きく分けて2種類のタイプがあります。
自分で張るタイプと加工されていてすぐに描けるようになっているタイプです。
詳しく説明していきますね。
自分で張るタイプ:ロールキャンバス+木枠
こちらのタイプは、キャンバス生地を長〜く巻いたロール状のものを購入し、自分で木枠に貼るものです。ロールで購入するので1点あたりの単価が下がり経済的ですが、専用の道具とちょっとしたテクニックが必要です。アクリル絵の具初心者の皆さんには、ちょっとハードルが高いかもしれません。でも、これから何年もたくさん描いていくんだという方にはおすすめします!
キャンバスの張り方を必要な道具とともに見ていきましょう。
1.必要な材料:木枠、釘(キャンバス用)、巻きキャンバス(もちろんアクリル絵の具用に下処理されたもの)
木枠/まずは、4号(242x333mm)ぐらいで。大きすぎず、小さすぎず。

木枠よりも2〜3cmぐらい大きめに切ります。
専用の釘も販売されています。必ず専用のものを使ってください。

キャンバス用の釘(くぎ)は、普通のくぎに比べて、短くて頭が平べったくて大きいです。
この釘で木枠に張っていきます。
2.必要な道具:ペンチ(キャンバス用)、木槌(木枠を痛めないために金槌は使いません)
キャンバスを張る専用のペンチ

ペンチの先が平べったくなっていて、ここにキャンバスを挟んで引っ張りながら釘を打ちます。

ペンチの内側はキャンバスが滑らないようにギザギザになっています。

キャンバスの表面や木枠を痛めないように、木槌(きづち)を使います。

こんなふうにペンチで引っ張って、木槌で釘を打ちます。
均等に引っ張って、真ん中が弛まないように注意!
アクリル絵の具初心者には、おすすめしませんが
ハマると楽しいですよ。
張り上がったら、色を選んで地塗りすることをおすすめします。
下地にアクリル樹脂塗料などが塗られているのですが
あえて色付きの地塗りをします。
この一手間をかけることで作品の出来が全然違います。

筆者は明るくて暖かい色をよく使います。なんだか心が和むような気がして。
あなたのお好きな色をどうぞ。
ちなみに、アクリル絵の具の基本的な使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
加工済みタイプ①:張りキャンバス(枠付き)
買ってきたら、すぐに描けるタイプです。
自分で木枠にキャンバス(布)を貼る必要がなく
すでに描きやすいように下地処理(地塗り)処理がされています。
ありがたいお品物です。

こちらも扱いやすいF4サイズ(242x333mm)です。
横から見るとこんな感じです。

釘が見えない「側面釘なし」「包み張り」「裏止め」のものもあります。
これらは、通信販売の方が購入しやすいですね。
加工済みタイプ②:キャンバスボード
木板に布が貼られた薄いタイプです。
こちらもすでに下処理されていますので、すぐに描き出せます。
持ち運びしやすいところから野外スケッチなどにも好まれます。
かさ張らず省スペースで収納場所を選びません。
完成した作品を壁に立てかけて飾ることもできます。
アクリル絵の具初心者へのおすすめのタイプは!
コストパフォーマンスと保管場所を選ばない、キャンバスボード です。
アクリル絵の具用キャンバスの【表面の目】細目・中目・荒目の違い
こちらは、主に麻のキャンバスで、ロールのものを購入し
自分で張る!っという方に向けての説明になります。
なぜなら、すぐに手に入る「市販の張りキャンバス」は大部分が中目だからです。
アクリル絵の具用キャンバス:細目
細目は布目の凹凸が1番少ないものです。
肌目に筆や絵の具の引っ掛かりが少ないです。
細密で繊細な描写がしやすいのがポイントです。
凹凸が目立たないことで絵の見え方に影響が1番少ないので
ツルッとした仕上がりがお好みの方はこちらをどうぞ。
アクリル絵の具用キャンバス:中目
中目は程よい凹凸があり、目が邪魔にならず細かく描けます。
絵の具の絡みも定着もいいです。
なので、表現の幅が広いキャンバスです。
そのため、既成の張りキャンバスは、中目のものが多いです。
アクリル絵の具用キャンバス:荒目
荒目は凹凸が強いです。
かすらせたり、盛り上げたりする技法に向いています。
ダイナミックに表現したいときはいいですね。
少し癖があり、好みが分かれますのでもう少し慣れてからの方がいいかもしれません。
筆者は一時期、油絵の具の厚塗りとティッシュの貼り付けが大好きな時がありました。それで、面白い効果が得られるかと思い「荒目キャンバス(アクリル絵の具も油絵の具も使用可能)」を使ったことがありました。けれども、目の荒さを活かしきれず、地塗りを何度もして工夫しなければなりませんでした。何事もほどほどがいいのかもしれませんね。

アクリル絵の具初心者の場合、自分でキャンバスを張ったりするのはとてもハードルが高いので
既成の張りキャンバスかキャンバスボードになります。
すると必然的に「中目」になりますが、ほどほど中間というものはキャンバスの世界でもよろしいようです。
アクリル絵の具初心者におすすめの表面の種類は中目!
アクリル絵の具用キャンバスの【サイズ別】F・M・P・Sの選び方
キャンバスのサイズ表現は独特です。
アクリル絵の具用のキャンバスだけでなく、油絵用や額縁のサイズも同じになっています。
初めて絵を描く人には馴染みがない呼び方かもしれません。
詳しく説明していきますね。
そのサイズはF、M、P、Sと四つのタイプがあります。
| 表示・呼称 | 適した描画対象 | 縦横の比率 |
|---|---|---|
| F (figure ) | 人物・静物など | 1:1.236 |
| M(Marine) | 海景・空など | 1 : 1.1618 |
| P ( Paysage) | 風景 | 1:1.414 |
| S(Square) | 現代アート・SNS投稿 | 1:1 |
それは、縦横の長さの比率で分けられています。
わかりやすく、図にしてみました。
少しずつ横長になっていますね。

それでは、具体的に見ていきましょう。
F(Figier/人物)
Figure(フィギュア=人物)の頭文字です。
人物画を描くのに適した標準的な比率(約1:1.236)を持つ規格です。
ほとんどの張りキャンバス、キャンバスボードがこのサイズ展開です。
基準の規格と言っても過言ではありません。
額装の時も、既製品としてたくさん置いてあるのが、このF規格です。
M(Marine/海景)
Marine (海)の頭文字をとっています。
海の風景を描くのに適した縦長の長方形(短辺:長辺がおよその「黄金比」に近い比率)
になっています。
海、空、または広い風景を描くときに
水平線や広がりを美しく表現できる特性があります。
P(Paysage/風景)
これだけ何故か、フランス語表記です。(疑問です。)
「現代の油彩キャンバスのサイズ(号数)は、19世紀頃のフランスで確定した規格が定着したもので、日本もこのフランス規格を基にした規格を採用しているため」っと、いうことなのですが…。他は英語表記だと思うんですが。だって、Square=Carré(フランス語)って、自動翻訳機では出ます。フランス語、勉強不足でごめんなさい。どなたか、ご存知でしたらぜひ教えてください。
「風景(Paysage・Landscape)」を描くのに適した長方形になっています。
Fサイズ(人物・標準)よりも短辺が短く、横長に見えるのが特徴です。
S(Square/正方形)
Square(スクエア=正方形)の頭文字です。
縦と横の長さが同じ(1:1の比率)になっています。
お洒落な印象を与えるので
現代アートやSNS投稿用の作品、インテリアとして人気があります。
一時期、このS、スクエアにハマっていてこのタイプの大中小、2号4号6号…という具合に比例したサイズで描いてみたくなって近くの画材屋さんに直行。でも、その頃はまだ、SNSも普及していない頃で、おしゃれなインテリアとして絵画を飾るとかいう習慣もなくて。画材屋さんにはSタイプのキャンバスはありませんでした。仕方なく、Sタイプの木枠を発注してもらって自分で張りました。今からは考えられないお話です。

この F、M、P、Sと四つのタイプ にそれぞれの号数(0号〜)が一つになって、
キャンバスのサイズになります。 例:F4号(333×242mm)
ちなみに画商などで絵画を販売する時の基準として使われる「号=〇〇円」などの「号」は、「1号サイズ(220 × 160 mm・F1 が基準)」のことです。ハガキ(100×148mm)より一回り大きい、手のひらサイズです。
やはりアクリル絵の具初心者ならば、比較的小さいサイズから始めるといいですね。
でも、あまり小さすぎると描き心地もわからないので
F3号(220x273mm) か F4号(242x333mm)ぐらいをおすすめします。
モダンアート系やSNS投稿向けなら、S2号 (240x240mm) か S3号 (273x273mm)をおすすめします。
アクリル絵の具初心者の方には、PやMはおすすめしません。
なぜなら、額装する時に既製品はほとんどなく
オーダーするとなると費用も時間もかかります。
練習だけだとしても、張りキャンバスやキャンバスボードは
FかSでないと手に入りにくいからです。
アクリル絵の具初心者におすすめのサイズは
F3号,F4号もしくは S2号,S3号サイズ
アクリル絵の具初心者におすすめのキャンバス まとめ
初心者におすすめのアクリル絵の具用キャンバスは
サイズは小さめー「F3、F4」「S2、S3」サイズなどから始めると描きやすい。
まずは、ポリエステル(合成繊維)のキャンバスボード
必然的に表面は中目となります。
コストパフォーマンスが良く、扱いやすいのが最大の理由です!
保管場所がない方も、たくさん描きたい方にもおすすめですね。
さあ、支持体は決まりました!
早速、描いていきましょう!
アクリル絵の具の選び方について不安な方は、こちらも参考に!
アクリル絵の具の使い方についてはこちらの記事もお読みください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
感謝です。
次の記事でお会いしましょう!









ところで、アクリル絵の具用キャンバスってあるの?