こんにちは、絵師の徳田智子です。早いもので絵の道に入って半世紀。アクリル絵の具を愛用して5年の歳月が流れました。

「アクリル絵の具を買ったけれど、キャンバスにいきなり塗り始めてもいいの?」
「下地ってどうするの?」と迷っていませんか?
結論からお伝えすると、キャンバスにアクリル絵の具で描くコツは
『ジェッソ+色地塗り』『アイデアスケッチで構想を練る』『薄い色から重ね塗り』の3つです。
読み終わる頃には、自信を持って最初のキャンバスに筆を入れられる状態になっていますよ。
目次
アクリル絵の具でキャンバスに描く前に知っておきたいこと
ここでは、キャンバスにアクリル絵の具で描く前に、知っておきたいアクリル絵の具の基本的な知識を紹介します。
アクリル絵の具の特徴と魅力を紹介
アクリル絵の具は水で薄めることができます。
でも、乾くと耐水性(水に強い性質)になる絵の具です。
そのため、修正がしやすく、手軽に始められるのが魅力です。
さらに乾燥がとても早いので、作品をすぐに完成させたい方にもおすすめです。
アクリル絵の具とアクリルガッシュは名前が似ていますが全く別の特徴を持つ絵の具です。
購入の時は、間違わないようにしてください。
こちらの記事で詳しく説明しています。参考にしてください。
アクリル絵の具は、初心者でも扱いやすい素晴らしい画材です。
乾燥が早いので、初心者でも濁ることなく、美しく塗り重ねることができます。
その結果、立体感や深みを出すことができます。
初心者におすすめのアクリル絵の具を紹介
ここで少しアクリル絵の具の種類について説明します。
アクリル絵の具には
水で薄めるタイプ(チューブ入り)と
そのまま使えるタイプ(液体状・ボトル入り)
があります。
初心者の方は水で薄めるタイプ(チューブ入り)から始めると良いでしょう。
理由は、水彩絵の具と同じように扱いやすく、色の濃淡を自在に調節できるからです。
アクリル絵の具について詳しくは、こちらの記事も参考に。
アクリル絵の具を初めての購入されるのなら、セットで揃えるのがおすすめです。
代表的なメーカーのオススメセットをご紹介しておきます。
リキテックス
ターナー
ホルベイン
どのメーカーのどの商品もいろいろ使いましたが、画面から剥がれていきたとか、色が褪色したとかいう不具合は一つもなく、どのメーカーのものでも品質に問題は無いと思います。
アクリル絵の具で描くキャンバスの特徴とおすすめを紹介
ここでは、アクリル絵の具を使って描画するのに向いている
おすすめのキャンバスとその下準備を解説していきます。
アクリル絵の具に向いているキャンバスの特徴
キャンバスには、木枠に張られた「張りキャンバス」と
板に貼られた「キャンバスボード」があります。
張りキャンバスは、絵が完成した後も、そのまま飾れるという長所があります。
作品としての価値も、ワンランクアップしますね。
一方、キャンバスボードは、軽くて持ち運びが楽です。
どちらかといえば、小さいサイズの絵を描くのに向いています。
最近はより簡単で便利、そして価格もぐっとお財布に優しくなった厚手の描画用ボードが人気です。キャンバス目に似た特殊エンボス加工が施されたアクリル絵の具の発色と定着に優れた紙のボードです。2mm厚の台紙にマウントされていて、とても丈夫です。両面とも使用可能なタイプが多いので練習にはもってこいです。
また、キャンバスは表面の種類によって「荒目」「中目」「細目」とあります。
張りキャンバスとキャンバスボードの違いをわかりやすくまとめてみました!
| 張りキャンバス | キャンバスボード | |
|---|---|---|
| 重さ | やや重い | 軽い |
| 持ち運び | △ | ◎ |
| 完成後の飾りやすさ | ◎ | ○ |
| 価格 | やや高め | 安価 |
| 初心者おすすめ度 | △ | ◎ |
アクリル絵の具初心者におすすめのキャンバス
アクリル絵の具初心者の人には、アクリル絵の具用に下処理もされた
キャンバスボードがおすすめです。
キャンバスボードに使われているキャンバスは表面の目の荒さが「中目」で描きやすいです。
初心者の方には、サイズも小さめのF3号やF4号ぐらいがおすすめです。
画材展や通信販売でも購入もしやすく
大きすぎず、かといって小さすぎないちょうど良サイズ感で
描き心地の確認もしやすいと思われます。
なので、F3号か、F4号のキャンバスボードをおすすめします。
キャンバスについて詳しくは、こちらの記事もお読みください。
実は、筆者は油絵の具で描いていた期間が長かったので
アクリル絵の具初心者の頃、とんでもない失敗をしてしまいました。
上の記事の中でも詳しく説明していますが
アクリル絵の具で描けないキャンバスがあるのです!
それは「油絵専用キャンバス」です。
油絵具の定着と発色を良くするための地塗りの塗料に油が含まれており
水性であるアクリル絵の具は定着しないため使用できないのです!
それを知らずに、油絵用のキャンバスにアクリル絵の具で描画して散々でした。
アクリル絵の具が弾かれて、上手く画面に定着しませんでした。
こんな失敗をされませんように、お気をつけください!
アクリル絵の具で描くキャンバスの下準備
アクリル絵の具用の「キャンバスボード」や「張りキャンバス」は
アクリルエマルジョンという樹脂で下地処理されているので
すぐに描き始めることができます。
下準備その1:ジェッソを塗る
なのですが、キャンバスにジェッソを塗っておくことで
さらに絵の具ののりがよくなり、色の発色も鮮やかになります。
ジェッソは絵の具の下地として使われる白い液体で
キャンバスの表面を滑らかにし
絵の具が直接キャンバスの繊維に染み込むのを防ぎます。
信頼のおけるメーカーの商品をいくつか紹介しておきますね。
まずはリキテックス。
次は、ターナー
ホルベインにもあります。
ジェッソの塗り方はとても簡単。
まず、キャンバスの表面のほこりや汚れをきれいに拭き取ります。
次に、平らな筆を使ってジェッソをキャンバス全体に均一に塗り広げます。
塗り終わったら、しっかりと乾かしましょう。
乾いたら、もう一度軽く研磨するとさらに滑らかな表面になりますよ。
さらに、出来上がりが全然違ってくるコツをお伝えします。
それは、色地塗りをすることです。
アクリル用、F4号、ポリエステル混紡キャンバスボードです

キャンバスボードにはあらかじめ白いアクリルエマルジョンというアクリル樹脂が塗布されています。
この状態に色を入れた地塗り(色地塗り)をします。
明るい画面に仕上げたい時は、下塗りの色も明る目の色を選びます。
補色の関係にある色を塗ると、ぐっと深みが増しますね。
今回は、ピンク色のイメージに仕上げたいので、明るい黄緑を選びました。

とっても華やぎますね。
その方法を解説していきます。
下準備その2:アクリル絵の具でキャンバスに色地塗り
色のついた地塗り(下塗り)がポイントです。
これが、上手く仕上げるコツです。
もうひと手間かけることで、画面に深みが出て仕上がりが全然違ってきます。
方法は簡単!
1.仕上がりが明る目のイメージの時は、明る目の色をチョイス!

リサイクルパレットと筆者は呼んでいます。
卵のパックやスーパーで食品が入れられていた透明パックを使用すれば
パレットで絵の具が乾燥して取れなくなった!なんていう悲劇は起こりませんので。
水彩絵の具の道具の紹介の中で詳しく説明していますのでこちらも合わせてご覧ください。
2.ペインティングナイフでよく混ぜます。空気が入らないように押さえつけるようにナイフの腹の部分で混ぜます。

3.少し柔らか目のマヨネーズ状になるまで、十分に混ぜ合わせ、太めの平筆かブラシで塗ります。
いい感じに仕上がりました!

今回は、ターナーのU-35のライトグリーンを使用。
アクリル絵の具について、詳しくはこちらも参考に!
このとき、アクリル絵の具の乾燥を防ぐために「メディウム」を混ぜ込んで
色地塗りすると慌てずに、しっかりと仕上げられます。
ディウムを絵の具に混ぜることで、乾燥を遅らせるだけでなく
絵の具の質感を変えたり、光沢を出したりすることもできます。
メディウムは、ジェル状のものとリキッド(液体)状のものがあります。
ジェルは「立体的な盛り上げ」や「ツヤの追加」に
リキッド(液体)は「透明感の向上」や「筆運びの滑らかさ」に適しています。
ホルベインの公式サイトにより詳しく説明がありますのでこちらも参考に!
アクリル絵の具でキャンバスに描く前に準備すること
キャンバスの下準備と並行して準備しておくといいことがあります。
それは、このキャンバスに「何を描きたいのか?」です。
まだ、決めていないとしたら、これから十分に構想を練りましょう。
すでに決めている方も、もう一度、見直して
しっかりとした構想に仕上げましょう。
何を描くかー構想を練る
皆さんは絵を描くまでの前準備はどのようにされますか?
筆者は、どんなアイテムを描き込むのかとか、どのような構図にするのかとか。
その時の気持ちとかイメージ、表現したい内容などを、
スケッチだけではなく文章でも書き込んだりします。
これを筆者は「アイデアスケッチ」と呼んで、力を入れて取り組んでいます。
ネタ帳としてストックして、いろいろな機会に活用することもできますね。
実際の方法は、キャンバスのサイズと同じか少し小さめのスケッチブックや紙を使います。
筆者はA4サイズのリング式スケッチブックを使っています。
キャンソン(CANSON) XL クロッキーブックを愛用しています。
クロッキーブックなので、気持ちよくバンバン描けます。
リング式なので描いたら次、描いたら次とスムーズにページをめくれます。
こんな感じで鉛筆で枠をとります。

この枠が、キャンバスのサイズになります。
スケッチブック一杯一杯に描かないところがポイントです。
理由は、余白に文字情報も書き込みたいからです。
この枠の中に、描きたいもののイメージを描いていきます。
構想を練る方法ーアイデアスケッチをする
思い浮かんだアイデアなどを、簡単にスケッチします。
筆者の場合、文字で注釈なども書き込みます。
後で、自分がどんなイメージで描きたかったかを思い出すのに便利です。
筆者は忘れっぽいので、描いているうちに自分のアイデアスケッチだけでは何を描くつもりだったのか、わからなくなる時があります。最後まで、自分のイメージを追求するのに文字の情報があるといいですよ。

鉛筆でざっくりと。この時は、HとかHBとかではなく、柔らかい芯の4Bとか6Bとかで描くことをオススメします。
蓮台に女の子が乗っている感じです。大きな手がその蓮台を持ち上げています。空には太陽と月星もあります。光が降り注いでいます。蓮台に虹がかかっています。今回は縦の構図にします。

鉛筆だけでは、仕上がりイメージが十分でない時は
水彩絵の具でさっと描いてみます。
そうすれば、具体的に色も決められて、より一層出来上がりイメージが掴みやすくなります。
こうやって仕上げたアイデアスケッチをもとに、キャンバスに下絵を描いていきます。
アクリル絵の具でキャンバスに描いていく方法とコツ
アイデアスケッチも準備できて構図も決まったら!
さあ、いよいよ!キャンバスに描いていきます。
鉛筆でキャンバスに下描き
色地塗り(下塗り)が十分に乾いたら下描きをします。
「下描き」はとても大切な工程ですね。
しっかりと下描きをしていれば
アクリル絵の具で色を塗るときの目安になります。
思い通りに仕上げるために頑張りましょう。
鉛筆はHやHBなど、硬すぎず柔らかすぎないものがいいです。
消しゴムはやわらかいタイプを選びましょう。
なぜならキャンバスを傷つけないためです。
下描きの線は、後で消すことを考えて、薄く、細く引くことが大切です。
早速、描いていきましょう!
十分に乾燥しているかチェックしましょう!

鉛筆、使い込まれていますねぇ。カッターで削っていますよ。消しゴムは柔らかくて画面を傷つけないものを選びましょう。
アイデアスケッチとキャンバスを並べて、キャンバスに鉛筆で下描きします。

細い線で薄めに描きます。

鉛筆で描けたら、アクリル絵の具で描いていきます。
アクリル絵の具で描くコツ ① 薄い色から塗る!
さあいよいよ、アクリル絵の具で描き出します!
筆の準備は大丈夫ですか?以下のことに気をつけて筆を選びましょう。
まず、筆には大きさや形がいろいろあります。
また、それぞれに使い道があります。
例えば、大きな面を塗る時は幅広の平筆が便利です。
細かい線を描く時には細い丸筆を使います。
筆の毛の種類もいろいろありますが、アクリル絵の具はナイロン系の合成繊維毛が強くてしなやかで使い勝手がいいです。
アクリル絵の具に向いている筆についてはこちらの記事も参考になさってください。
筆の使い方にもコツがあります。
筆には絵の具をつけすぎず、必要な量だけ取りましょう。
そうすることで、思い通りの線が得られます。
今回は、筆者のおすすめの筆ベスト3の中からサクラクレパス ネオセブロンの6号で描いてみたいと思います。繊細な妖精の絵を描こうと思っているのでタッチも繊細に!
このサクラクレパス ネオセブロンは、子どもたちがぞんざいに使っても耐えられる筆、っというわけでアクリル絵の具のハードさにも耐えられます。アクリル絵の具を愛用するようになって5年以上になりますが、20枚以上の制作を経ても弾力を失わず、穂先も割れるていません。

パレットは用意できていますか?
おすすめは紙パレットです。
ついうっかりわすれてしまって、絵の具が乾燥しても困らないからです。

アクリル絵の具はすぐに乾いてしまうので、あまりたくさん絵の具を出すと
乾燥してしまい使えなくなってしまいます。
なのでパレットに出す量は少しずつにしてください。
絵の具は薄めの色を選んで、パレットに少し出します。
水で薄めて下描き通りに進めていきます。

ほんの少し、ペーパーパレットに。たっぷりの水で伸ばします。
アクリル絵の具で描くコツ ② 重ね塗り
いきなりドカンと完成の描写密度で描くのではなく、
絵の具を重ねて細かく描写していく、重ね塗りで描いていきます。
何層にもフィルターをかけていく感じで、何度も何度も薄く塗り重ねていきます。

輪郭部分は、筆を立てて描くといいです。
さあ、どんどん描き進めていきましょう。
絵の具の層を重ねる時は、下の層がしっかり乾いてから上から塗りましょう。
そうすることで、絵の具が画面上で混じることなく、きれいに仕上がります。
描き終わった後の筆のお手入れも忘れないでくださいね。
筆の毛をいたわりながら丁寧に洗いましょう。
筆の洗い方も、この記事に詳しくありますので参考にしてください。
アクリル絵の具で描いている途中での修正方法
アクリル画を描いているときキャンバスの上で
アクリル絵の具が下描きから「はみ出した!」とか「ここ、この色じゃない!」とか
なんてことは、描いているときは頻繁に起こります。
失敗は誰にでもありますし、修正する方法もあります。
まず、絵の具が乾いていなければ、濡れた布や筆を使って慎重に拭き取ることができます。
では、絵の具が乾燥してしまったときはどうすればいいでしょうか?
絵の具が乾燥してしまった場合は
上から同じ色や別の色を重ねて修正することが可能です。
ただし、新しい絵の具を塗る前に下の層が完全に乾いているかを確認しましょう。
半透明のカラーを使えば、下の色が隠れやすく透明のカラーを使えば、下の色が透けて見えて、また、違った雰囲気になります。予期しない失敗を上手く利用していつもと違う雰囲気に仕上げるのも面白いかもしれませんね。
アクリル絵の具でキャンバスに描くコツ まとめ
いかがでしたか、上手く描けそうですか?
以下が、アクリル絵の具初心者の方がキャンバスに描く時のコツです。
- アクリル絵の具の特性をよく知る
- アクリル絵の具用のキャンバスを選ぶ
- キャンバスには地塗りをする(ジェッソ&色地塗り)
- キャンバスに向き合う前に構想を練る(アイデアスケッチ)
- 構想&構図が決まったらキャンバスに鉛筆で下描きする
- 下描きができたら、薄い色から順番にアクリル絵の具で描いていく
- 描画中の修正は乾燥前ー濡れ布で優しく拭き取る、乾燥後は上から重ねて描く
☝️コツを掴んでどんどん描き進めていきましょう!
さらにもう一つ、上達の「コツ」は、たくさん描くことです!
頑張りましょう!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
感謝です。










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