床の間がないマンションでも飾れる!掛け軸の選び方と飾り方

こんにちは、絵師の徳田智子です。
絵の道に入ってはや半世紀。

日本人絵師として日本の文化について広く世界に発信していきたいと思い、伝統的な美術品でもある「掛け軸」についてお伝えしています。

「せっかくお気に入りの掛け軸を見つけたけれど、うちのマンションには床の間がない…」
「洋室のリビングに和風の掛け軸を飾ったら、浮いてしまわないか心配…」

そんな悩みを抱えていませんか?

実は近年、床の間がない現代の住まいに合わせた「モダン掛け軸」や、壁を傷つけずに飾れる便利グッズが充実しており、30代・40代のインテリア好きの間で新しいウォールアートとして人気を集めています。
この記事を読めば、床の間がなくてもマンションの洋室にセンス良く掛け軸を取り入れるコツや、お部屋にぴったりなサイズの選び方がすべて分かります。

この記事でわかること
・ポスターや絵画とは違う、掛け軸ならではの魅力
・壁を傷つけずに飾る具体的な方法(フック・スタンド・チェスト上)
・お部屋に馴染むサイズと色柄の選び方
・長持ちさせる飾り方と保管のコツ

床の間がないマンションでも大丈夫!洋室に掛け軸が馴染む理由

「掛け軸=伝統的な和室のもの」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、現代のインテリア市場では、洋風の空間にも自然に溶け込む新しいスタイルの掛け軸が次々と登場しています。

現代の掛け軸は「和室専用」じゃない!モダンなデザインの魅力

かつての掛け軸は重厚な金らん織や古典的な掛け軸が主流でしたが、現代では北欧風のテキスタイルやシンプルな抽象画、グラフィックアートを取り入れた掛け軸が増えています。
表装(縁取りの布地)も無地の麻やモダンな綿素材が使われており、フローリングやクロス壁にも違和感なく馴染みます。

30代・40代のインテリア好きに選ばれる新しいアートとしての価値

絵画やポスターのように額装されたアートとは異なり、掛け軸には「布ならではの柔らかい質感」や「季節に合わせて気軽に掛け替えられる手軽さ」があります。
また、使わない時はクルクルと丸めてコンパクトに収納できるため、収納スペースに限りのあるマンション暮らしのライフスタイルにも非常に適しています。

カノン
絵画と違って畳んでしまえる手軽さは、マンション暮らしに本当にぴったりなんですよ。

実家にあった書の掛け軸をマンションのリビングにかけてみました。訪れる誰もが「素敵!」とか、「おしゃれね」っと言ってくれて、ちょっと嬉しくなります。表装をリビングに合うように張り替えたことが良かったと思います。

表装(ひょうそう)とは、和紙や布を使って掛け軸や額などに仕立て上げる伝統技術のことです。現代ではモダンなインテリアに合う素材も多く使われています。

床の間なしでもおしゃれに決まる!掛け軸の飾り方アイデア5選

床の間がなくても、工夫次第でマンションのあらゆる場所に掛け軸をおしゃれに飾ることができます。

① 壁を傷つけない!穴が目立たないフックやピクチャーレールを活用

賃貸や新築マンションでは壁の穴が気になりますが、画鋲の跡がほとんど目立たない専用フック(無印良品の「壁に付けられる家具」用フックや、ピン跡が消えるフックなど)を使えば手軽に設置可能です。

ピクチャーレールでモダン掛け軸を設置

また、あらかじめピクチャーレールが設置されているマンションであれば、ワイヤーを使って吊るすだけで美しいギャラリーのような空間が作れます。

カノン
さらに、照明を少し当てるだけで、布の陰影が浮き上がって、より一層ギャラリーのようになりますよ。

② 置くだけでOK!自立する「掛け軸スタンド・自立型フレーム」

壁に一切穴をあけたくない場合は、卓上や床に置ける「掛け軸スタンド(掛け軸台)」が便利です。
木製やアイアン調のシンプルなスタンドに掛け軸を設置するだけで、壁掛け不要でどこにでも飾ることができます。

⬇️こちらは、友人の家で見かけた木製のしっかりしたものです。とてもおしゃれでした。

③ リビングのチェストや棚の上に立てかけて飾る

サイドボードやチェスト、キャビネットの上に掛け軸を立てかける飾り方も人気です。
下に観葉植物やデザイン性の高い照明、お気に入りのオブジェを少しずらして配置することで、奥行きのあるこなれた空間を演出できます。

④ 和モダンな空間を作るライティングと余白の残し方

掛け軸を飾る際は、周囲に物を詰め込みすぎず「余白」を意識することがポイントです。
また、スポットライトや間接照明で掛け軸の下から光を当てたり、サイドから照らしたりすることで、布地の質感や陰影が引き立ち、一気に洗練された和モダンな雰囲気になります。

チェストの上の空間を床の間に見立てて、言葉の小さい掛け軸を飾っています。壁に跡が残らないJフックを愛用しています。

⑤ 板や小さな畳で”ミニ床の間”を作る

・サイドボードや棚の上に、薄い木の板や薄縁(うすべり)を敷く
・その上に掛け軸を立てかけ、脇に一輪挿しや小物を添える

これだけで素敵な床の間ができあがります!

今回は「飾り畳」というマット状のものを使用しました。薄縁を自分で加工するより見栄えがいいですよ。

初心者でも失敗しない!マンション空間に合う掛け軸の選び方とサイズ感

マンションの洋室に掛け軸を飾る際は、デザインだけでなく「お部屋のスケール感に合ったサイズ選び」が最も重要です。

インテリアに溶け込む「コンパクトサイズ(半切幅など)」を選ぶ

伝統的な掛け軸は幅が50cm〜60cm以上あるものが多く、洋室に飾ると圧迫感が出てしまいがちです。
洋室や狭い壁面には、幅が20cm〜30cm程度の「半切立(はんせつだち)」や「ミニ掛け軸」と呼ばれるコンパクトなサイズを選ぶと、すっきりと収まります。

  • 壁幅60cm前後 → 半切立(幅約51cm)は少し圧迫感
  • 幅20〜30cmのミニ掛け軸 → 洋室・狭い壁面にすっきり収まる
「半切(はんせつ)」とは紙の規格サイズの一つで、幅が約35cm前後のものを指します。現代の住宅向けにはさらに細身のミニ掛け軸も人気です。

北欧家具や洋風インテリアにも合う色合い・柄のポイント

ソファやダイニングテーブルなどの北欧家具・モダン家具と合わせるなら、インテリアと同系色の色合い(ベージュ、グレー、アースカラーなど)を選ぶのがおすすめです。
柄は抽象的な線画、幾何学模様、あるいは季節の植物をシンプルに描いたものが馴染みやすく、失敗しません。

実際に掛け軸を購入する際にサイズをどうするか悩みました。大きいと圧迫感があると聞いていたのでコンパクトサイズを選びました。小さいサイズにして大正解でした。

注意:掛け軸は和紙や絹、綿などの繊細な天然素材で作られているため、設置場所や湿気対策を怠ると変色やカビ、破れの原因になります。

掛け軸の正しい掛け方・外し方と長く美しく保つための注意点とお手入れ

本来の掛け軸は非常に繊細な紙や絹、布で作られているため取り扱いには丁寧さが求められます。モダン掛け軸においても、掛ける時・外す時は同様に丁寧に扱っていただくと間違いがないです。

特に初心者の方が自己流で掛けたり外したりすると、掛け軸にダメージを与えてしまう原因となります。

ここでは、掛け軸を傷めずに扱うための正しい手順と長く美しく保つための注意点とお手入れ方法を解説します。正しく取り扱って、大切な掛け軸を末永く綺麗な状態で保ちましょう。

矢筈(やはず)を使った失敗しない掛け方・外し方

掛け軸を掛けたり外したりする際は、「矢筈(やはず)」と呼ばれる専用のY字型の道具を使用します。

矢筈についても初心者だったので、使いやすいと言われている片口(かたくち)と呼ばれているものを購入して使用しました。初めてでも簡単に使用できてよかったです。作業の時は、白手袋をして皮脂をつけないように気をつけました。

掛ける時は、まず床の上で掛け軸を少しだけ解き、掛緒(かけお)に矢筈を引っ掛けて床の間のフック(軸釘)に掛けます。

その後、両手でゆっくりと軸先を持って下へ巻き下ろしていくのが正しい手順です。

本紙(絵柄)の中心が、椅子に座ったときの目線よりやや上にくる高さが基本です。洋室は椅子生活なので、和室より少し高めが収まります。

外す際はこの逆の順序で行い、決して強く引っ張ったり、高い位置から急に巻き降ろしたりしないよう注意してください。

直射日光とエアコンの風を避ける設置場所の基本

掛け軸は和紙や絹、綿などの繊細な素材で作られているため、設置場所と保管方法には少し注意が必要です。

直射日光が当たる場所は、和紙や布地の変色・日焼けの原因になります。直射日光が当たらないように設置するか、窓などから日光が入る時は、ブラインドやカーテン、障子などをしめましょう。

また、エアコンの風が直接当たる場所は、急激な乾燥によって本紙の破れや反り(曲がり)を引き起こすため、風の当たらない壁面を選んで設置しましょう。

飾らない時期の正しい保管方法と湿気対策

掛け軸を外す際は、ほこりを柔らかいブラシや羽たきで払い、湿気の少ない晴れた日に優しく巻き上げます。
保管する際は桐箱や専用の箱に入れ、湿気によるカビを防ぐために防虫剤や乾燥剤と一緒に保管するのが長持ちのコツです。

上:タトウ(紙箱) 下:桐箱 桐箱に入れてからタトウに入れます

保管と湿気対策について、詳しくはこちらの記事も参考に☝️

床の間への掛け軸の飾り方としまい方|初心者にもわかりやすく解説!
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風通しの良い晴れた日に巻き上げるだけでも、湿気から掛け軸を守る大切なケアになります。

湿気が多い北側の部屋で保管していた掛け軸の裏面に、茶色いシミが発生!幸いにも発見が早く、専門の業者に対応をお願いしたので事なきを得ましたが、くれぐれも保管方法や保管場所には気をつけてください。

それからは、ちゃんと陰干ししてから保管するようにしました。そして、桐箱の中に乾燥剤も入れるようにしました。化学薬品は掛け軸にとってよくないので天然素材を選んでいます。

よくある質問(FAQ)

Q. 賃貸マンションでも壁掛けできますか?

A. はい、可能です。
ピン跡が非常に小さい「超極細ピンフック」や、粘着テープ型のフック、あるいは自立型の掛け軸スタンドを使用すれば、壁を傷つけずに安全に飾ることができます。

Q. 季節ごとに掛け軸を掛け替えたほうがいいですか?

A. 必須ではありませんが、季節の植物や色合いに合わせた掛け軸に掛け替えることで、室内でも四季の移ろいを楽しむことができます。
まずは年間通して飾れる抽象的なデザインのものから始めてみるのもおすすめです。

通年で飾れる「抽象画風モダン掛け軸」

Q.モダン掛軸とは、どんなものですか?

A. 伝統的な和風の掛け軸を現代の洋室やフローリングのリビング、北欧風のインテリアに合うようデザインを簡略化・洋風化したものです。特徴としては、以下のことがあげらます。

素材やデザインの簡略化:金襴や緞子(どんす)などの重厚な和風の布地を使わず、麻や綿、シンプルな木製フレーム、革ひもなどが使われます。
洋室に合う絵柄:水墨画や仏画だけでなく、洋画、抽象画、北欧風の風景、写真などがプリントされています。
飾りやすい形状:床の間がないフローリングの壁や、玄関の洋風ドアの近くにもピン1本で手軽に飾れます。

Q.床の間がない部屋に掛け軸を飾る時の最低限のマナーはありますか?

A. ありません。

床の間がなくても、リビングや洋室の壁面などに、直射日光を避けて丁寧に掛け、周囲をすっきりと整えれば問題は、何一つありません。

まとめ:床の間がなくても掛け軸で洗練されたモダンインテリアを楽しもう

床の間がないマンションでも、デザインやサイズ選び、飾り方を少し工夫するだけで、掛け軸は魅力的なモダンインテリアとして活躍します。
壁掛けフックやスタンドを活用して、ぜひあなたのお部屋にも洗練された掛け軸アートを取り入れてみてください。

掛け軸のある暮らしには、現代のインテリアにはない独特の魅力や実用的なメリットがたくさんあります。

空間の雰囲気を一瞬で変えられるほか、季節感の演出を室内で楽しめます。その上、場所を取らない、狭い部屋でも壁のわずかな縦スペース(床の間がなくても可)を有効活用できるなど数えきれません。

ぜひ、皆さんもこの素晴らしい日本文化を生活に取り入れ楽しんでください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。感謝です。

季節や行事の掛け軸の選び方についてはこちらを☝️

床の間の掛け軸の選び方|季節・行事・サイズで失敗しない5つのコツ

モダンテイストの掛け軸についてはこちらもどうぞ☝️

床の間をおしゃれに彩る掛け軸|モダンな和室に合う掛け軸の選び方