浄土真宗の法名軸の飾り方|お仏壇での位置と注意点、解説とまとめ

こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入ってはや半世紀。
日本人絵師として日本の文化について広く世界に発信していきたいと思い、伝統的な美術品でもある「掛け軸」についてお伝えしています。

浄土真宗のご家庭で四十九日を迎える前に、必ず向き合うのが「法名軸をどこに、どう飾るか」という問題です。
位牌がない分、何を基準に置き場所を決めればよいのか分からず、不安になる方は少なくありません。

この記事では、法名軸を仏壇のどの位置に掛けるのかを、直近の故人と代々の総法名軸の置き分けまで踏み込んで解説します。
過去帳との使い分け、用意するタイミング、宗派による違い、修復や処分の方法までまとめて徹底解説していきます。

読み終えるころには、迷わず法名軸を飾り、安心して故人を偲べる状態になっているはずです。

法名軸とは?位牌の代わりに飾る理由

この章では、飾り方を考える前に押さえておきたい「法名軸とは何か」を整理します。
位牌との違いと、なぜ浄土真宗で法名軸が選ばれるのかまで理解すると、飾る位置にも納得がいきます。

法名軸は故人の法名を記した掛軸

法名軸とは、亡くなった方の法名と俗名、没年月日、行年などを記した掛軸のことです。
浄土真宗では位牌の代わりに、この法名軸や次章で触れる過去帳を使って故人を偲びます。

位牌と大きく違うのは、魂が宿る依り代としてではなく、故人の法名を記録し、偲ぶためのものである点です。

この章の要点
法名軸は、故人の法名・俗名・没年月日・行年を記した掛軸です。
浄土真宗では、位牌の代わりに法名軸や過去帳を用いて故人を偲びます。

浄土真宗のお仏壇の掛け軸について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も☝️

浄土真宗の仏壇の掛け軸とは?西と東、正しい選び方と掛け方を解説

浄土真宗に位牌がない理由(往生即成仏の教え)

浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来の願いによって、すぐに極楽浄土へ往生して仏になると教えられます。
これを「往生即成仏」と呼びます。

死後に迷う魂を位牌に宿して追善供養する必要がないため、位牌を用いないのが基本です。
法名軸は、供養のために魂を宿す物ではありません。

仏となった故人を偲び、教えに出会うご縁とするための物です。

カノン
位牌がないのは、故人が亡くなってすぐに仏になるという教えがあるからなんですね。法名軸は供養のためではなく、偲ぶご縁なのだと知って納得しました。

「戒名」ではなく「法名」と呼ぶ

浄土真宗では、仏弟子となった証として授かる名前を「法名」と呼び、「戒名」とは言いません。戒名は戒律を守ることを誓った人に授けられる名前ですが、浄土真宗は戒律を守る修行を前提としない教えだからです。

法名は『釈(釋)』の字のあとに2文字が続く形が基本です。女性の場合は『釈尼』とすることもあるので、表記は菩提寺に確認しておくと安心です。

宗派・寺院によって細部は違います。詳しくは菩提寺にご相談ください。

法名軸を依頼するときも「戒名を入れてください」ではなく「法名を入れてください」と伝えてください。

法名軸の飾り方|仏壇のどこに掛けるのか

この章では、法名軸を実際に掛ける位置を、仏壇の中の配置図をイメージしながら具体的に解説します。
直近の故人と先祖代々で置き場所が変わる点と、仏壇のタイプ別の考え方まで確認します。

法名軸の飾り方|基本は仏壇の側面(脇)の壁面

法名軸は、仏壇の内側の左右の側面(ご本尊の脇)に掛けるのが基本です。ご本尊の正面や中央には掛けません。

仏壇に向かって右側には最近亡くなった方の法名軸、左側にはご先祖をまとめた総法名軸を掛けます。どちらも、ご本尊(阿弥陀如来)より低い位置に収めてください。

こちらは「真宗大谷派(お東)」のお仏壇と法名軸、総法名軸で、掛ける位置を説明しています。本願寺派(お西)も、掛ける位置は同じです。

表装の柄(紋)は西と東で違い、柄を見ればどちらの宗派向けか分かります。注文する前に、ご自身の宗派を確かめておきましょう。

本願寺派と真宗大谷派の掛け軸の違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事を☝️

浄土真宗の仏壇の掛け軸とは?西と東、正しい選び方と掛け方を解説

法名軸(直近の故人)と総法名軸(先祖代々)の置き分け

総法名軸とは、複数の故人の法名をまとめて一幅に記した掛軸のことです。

故人が増えるたびに法名軸を並べると、仏壇の側面が掛軸で埋まってしまいます。
そのため、一定の年月が経った故人は総法名軸にまとめて記し直すことが広く行われています。

総法名軸へのまとめ方や時期はお寺の考え方によって異なります。
一周忌や三回忌など節目で相談する方も多いため、事前に菩提寺へ確認してください。

掛けきれなくなった法名軸のしまい方

法名軸が増えて掛けきれなくなったら、古い軸は丸めて仏壇の引き出しにしまい、ご先祖の法名は過去帳に書き写しておくのが一般的です。

その時、法名軸はキツく巻きすぎず優しくふわっと巻きます。お仏壇の引き出しにしまう時は掛け軸用の乾燥剤を一緒に入れておくと湿気対策になります。半年に一度ぐらいは、引き出しから出して虫干ししてあげられるといいですね。

掛け軸のしまい方について、詳しくはこちらの記事も☝️

床の間への掛け軸の飾り方としまい方|初心者にもわかりやすく解説!

仏壇の種類・サイズ別の考え方

大型の唐木仏壇や金仏壇は側面に十分な壁面があるため、法名軸を掛けやすい造りです。
一方、上置き仏壇やモダン仏壇は側面の壁が少なく、掛軸を掛けられないことがあります。

その場合は、法名軸の代わりに過去帳と過去帳台を用意する方法が現実的です。
どうしても法名軸を飾りたいときは、掛軸用のスタンドを使う方法もあります。

ただし、スタンドを置く位置もご本尊より目立たない側面側にしてください。

真宗大谷派(お東)では、法名軸は正面向きに飾ります。

法名軸は、ご本尊より目立たせない

法名軸は、ご本尊より小さく、低い位置に掛けます。
浄土真宗の仏壇の中心はあくまで阿弥陀如来
であり、故人はその教えのもとで仏となっているからです。

故人を大切に思うあまり、法名軸の方が目立つ配置にならないよう注意してください。

飾る位置のまとめ
掛ける場所は、ご本尊の左右の側面の壁面です。
仏壇に向かって右が直近の故人、左が先祖代々の総法名軸です。
ご本尊より小さく、低い位置に整えます。

法名軸と過去帳の使い分けと並べ方

この章では、法名軸と並んでよく登場する過去帳との役割の違いと、実際の並べ方を取り上げます。
「結局どちらを用意すればよいのか」という疑問に、選び方の基準を添えて答えます。

過去帳とは何か

過去帳とは、故人の法名・俗名・没年月日・行年などを日付ごとに記録しておく帳面です。
法名軸が「掛けて偲ぶ物」なのに対し、過去帳は「ひらいて偲ぶ物」といえます。

命日のページを開いて手を合わせることで、故人を思い出すご縁になります。

法名軸と過去帳、どちらを用意すべきか

結論として、仏壇の側面に壁面があるなら法名軸、スペースが限られるなら過去帳を軸に選ぶと判断しやすくなります。
両方を用意しても問題はなく、法名軸と過去帳を併用しているご家庭も多数あります。

ただし、地域やお寺によって「過去帳を基本にする」「法名軸を基本にする」と考え方が異なります。
最終判断は、菩提寺に確認してください。

法名軸と過去帳は、どちらも位牌の代わりに用いられる物です。
どちらか一方でなければならない決まりはありません。

過去帳台を置く位置

過去帳は、仏壇の中の過去帳台に載せるのが一般的です。ご本尊の前のお供え物や仏具のじゃまにならない位置を選んでください。仏壇が小さく中に置けない場合は、仏壇の脇や手前に台を置いて載せる方法もあります。

法名軸を側面に掛けている場合は、その近くに置くと動線が整います。

本願寺派(お西)のお仏壇

ご本尊の前に置くお供え物や仏具を妨げない位置を選んでください。

法名軸を用意するタイミングと手順

この章では、法名軸の用意に必要な時期と、誰にどう頼めばよいのかを手順で整理します。
四十九日法要から逆算した段取りまで踏み込むので、準備で慌てずに済みます。

机の上に置かれた手書きのメモと控えの写真風イメージ。法名や没年月日を書き留めた用紙とペン、お寺とのやりとりを記したノート。文字は判読できないようぼかし、個人情報が見えない構図。

用意の目安は四十九日法要まで

法名軸は、四十九日法要までに用意するのが目安です。
四十九日法要でお勤めをしてもらい、そこから仏壇に掛けてお参りする流れが多いからです。

法名軸は、文字入れや仕立てに日数がかかることがあります。
亡くなってすぐに菩提寺と相談を始めておくと安心です。

菩提寺・仏具店への依頼の流れ

法名軸の用意は、菩提寺か仏具店に相談するのが基本です。
流れとしては、菩提寺から法名を授かり、仏具店で法名軸の書き入れを依頼する形が一般的です。

  1. 菩提寺に法名の授与を依頼する
  2. 宗派と仏壇のサイズに合う法名軸を選ぶ
  3. 法名・俗名・没年月日・行年を伝えて文字入れを依頼する
  4. 仕上がった法名軸をお寺で確認・お勤めしてもらう
  5. 仏壇の側面に掛ける

あわせて、過去帳への記載も依頼しておくと、後から慌てずに済みます。

費用と準備しておくもの

法名軸の費用は、サイズ、素材で大きく変わります。また、文字入れが「手書き」か「印刷」かでも変わってきます。
具体的な金額は、仏具店に見積もりをお願いするか、菩提寺に確認するようにしましょう。

準備しておくのは、法名、俗名、没年月日、行年が分かる控えと、仏壇の側面の寸法です。
寸法を測らずに購入すると、掛けられなかったり、バランスが崩れたりします。

法名軸の費用相場

法名軸の本体は、サイズや表装の生地によって数千円ほどから、金襴や緞子を使った上質なものだと数万円になることもあります。金額はあくまで目安です。

文字の書き入れは、菩提寺にお願いする場合はお布施として、仏具店に頼む場合は書き入れ料として納めるのが一般的で、金額はお寺やお店によって幅があります。

法名軸のサイズも「代(だい)」という単位です。これもお仏壇の内寸に合わせて選びます。お家のお仏壇のサイズを測ってから注文してください。

サイズ(代)/目安全体の縦(高さ)金襴布・表具の横幅適応するお仏壇
豆代 / 極豆約17cm前後約8〜9cm小型・上置き仏壇
20代約20cm前後約8〜9cm小型・上置き仏壇
30代約24〜24.5cm約9〜11cm上置き・小型仏壇
50代約28〜33cm約12〜13cm中型仏壇

主なサイズ(全体の高さ×幅):実寸の比較

写真の法名軸の実寸:豆代16×9cm/20代19.5×9cm/30代24.5×11cm/50代28×13cm

法名軸の飾り方でよくある失敗と注意点

この章では、飾り方で実際に起こりやすいミスを、原因と対策のセットで取り上げます。
宗派ごとの違い、置き場所の環境、位牌との並べ方まで具体的に確認します。

宗派(本願寺派・真宗大谷派など)による違いを確認する

浄土真宗には本願寺派(お西)や大谷派(お東)など複数の派があり、法名軸の様式や、飾り方の細部が異なる場合があります。

法名軸も、宗派によって違いがあります。

注意点/宗派本願寺派(お西)真宗大谷派(お東)
法名軸を掛ける向き内側向き正面向き
法名軸の表装の紋柄(例)雲桐・矢菱牡丹 他大谷牡丹 他
作法の詳細は派や地域、寺院によって異なります。
ネット上の情報だけで判断せず、必ず菩提寺に確認してください。

日当たり・湿気・線香の煙への対策

法名軸は紙や絹でできているため、直射日光と湿気に弱いです。
窓際や、エアコンの風が直接当たる場所に仏壇がある場合は、側面の掛軸の傷みが早まります。

線香の煙も、長年のうちに軸の表面を黄ばませます。
定期的に乾いた柔らかい布で、仏壇まわりのほこりを払ってください。

位牌を並べて祀ってよいのか

浄土真宗では位牌を用いないのが基本ですが、すでに位牌を作ってしまった場合や、親族の希望で位牌を祀りたい場合もあります。
真宗高田派のように位牌を認める派もあり、一律に禁止されているわけではありません。

位牌を祀りたいときは、勝手に判断せず、菩提寺に相談してください。
法名軸と位牌を併用できるかどうかも、お寺の考え方次第です。

カノン
位牌を認める派もあるなんて意外でした。自己判断せずに、まずお寺に相談するのが一番安心ですね。

法名軸の修復・買い替え・処分方法

この章では、長年飾った法名軸が傷んだときの対応と、不要になったときの処分手順を整理します。
どちらも判断を誤ると後悔しやすいため、順番を守って進めてください。

傷んだときの修復の相談先

法名軸が破れたり、シミが出たりした場合は、仏具店か菩提寺に相談してください。
掛軸は表具の修復ができる場合があり、買い替えるよりも故人の法名を残せる利点があります。

掛け軸を扱っていると、こうした茶色い点状のシミを見かけることがあります。同じ場所に掛けっぱなしにしていたものに多くみられます。

お仏壇の中にかける法名軸も、時々、お仏壇の外に出して毛払いなどでホコリを払い、柔らかい布でやさしく乾拭きすることで、余分な水分も拭き取られシミを防ぐことができます。

また、皮脂もシミの原因になりますので、直接手で触れず、白手袋をお使いになることをおすすめします。

自分で補修テープを貼ったり、洗ったりするのは避けてください。
素材を傷め、元に戻せなくなるおそれがあるからです。

処分は菩提寺で読経を受けてから

法名軸は故人を偲ぶ大切な仏具なので、燃えるゴミとして捨てるのは避けましょう。まず、菩提寺に相談することをお勧めします。

一般的には、菩提寺で読経を受けた後に処分することが多いようです。

新しい法名軸や総法名軸に法名を移す場合は、新調したあとに古い軸の処分を依頼します。

最近は防災や環境への配慮から、お焚き上げを行っていないお寺もあります。事前に菩提寺へ確認しておきましょう。引き取ってくれる仏具店もあるので相談してみてください。

法名軸の飾り方に関するよくある質問 (Q&A)

Q1. 法名軸は必ず用意しなければいけませんか?

A1. 必ずではありません。
法名軸の代わりに、過去帳のみを用意するご家庭もあります。

仏壇の大きさとお寺の考え方に合わせて選んでください。

Q2. 法名軸は仏壇の中に入れてもよいですか?

A2. はい、仏壇の内側の左右の側面に掛けるのが基本です。ご本尊の正面や前に置く形は避けてください。

こちらは、「真宗大谷派(お東)」のお仏壇の荘厳で説明していますが、「本願寺派(お西)」でも掛ける場所は同じです。お寺によって違いがありますので、必ず菩提寺にご確認ください。

Q3. 法名軸はいつ掛ければよいですか?

A3. 四十九日法要までに用意し、お寺でお勤めをしてもらったうえで掛けるのが目安です。

法名軸は、文字入れや仕立てに日数がかかることがあります。亡くなったらすぐに、菩提寺に相談し仏具店に注文するようにすると安心ですね。

Q4. 仏壇が小さくて掛ける場所がありません

A4. 過去帳と過去帳台で代用するか、側面側にスタンドで飾る方法があります。
ご本尊より目立たない位置を守ってください。

Q5. 位牌を作ってしまった場合はどうすればよいですか?

A5. まず菩提寺に相談してください。真宗高田派のように位牌を認める派もあり、一律に禁止されているわけではありません。
派によって考え方が異なるため、お寺の指示に従うのが安心です。

Q6. 法要やお盆のときは掛ける場所を変えますか?

A6. 普段は仏壇の内側に掛けておき、法要やお盆のときは仏壇の前に掛ける地域もあります。お寺によって違いがあるので、菩提寺に確認してください。

お盆の掛け軸について詳しくはこちらの記事を☝️

お盆の床の間に飾る掛け軸の種類は?いつから飾るかと花や小物も紹介

まとめ|法名軸、迷ったらまず菩提寺に確認!

浄土真宗の法名軸は、位牌の代わりに故人の法名を記して偲ぶ掛軸です。
飾る位置は、ご本尊の左右の側面の壁面で、ご本尊より目立たない高さと大きさに整えます。

直近の故人と先祖代々の総法名軸は、仏壇に向かって右と左で置き分けるのが一般的です。
スペースが限られる仏壇では、過去帳と過去帳台で代用する選択肢もあります。

法名軸の用意は四十九日法要までを目安に、菩提寺と仏具店に早めに相談してください。
派や地域、お寺によって作法は異なるため、最終的には菩提寺の指示を優先するのが一番確実です。

故人を偲ぶ気持ちを形にすることが、法名軸を飾る本当の意味です。
この記事が、安心して仏壇を整えるきっかけになれば幸いです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。感謝です。

浄土真宗の仏壇の掛け軸について詳しくはこちらの記事を☝️

浄土真宗の仏壇の掛け軸とは?西と東、正しい選び方と掛け方を解説

ご本尊に掛け軸を選ぶときについて、詳しくはこちらを☝️

お仏壇のご本尊に掛け軸を選ぶ前に知る5つの大切な基本を徹底解説