こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入ってはや半世紀。
アクリル絵の具を愛用して5年が経ちました。
ホワイトデニムの生地にアクリル絵の具で龍をペイント。お客様からの依頼で制作したトートバッグです。

今回は、自宅で眠っている古着や布小物を自分好みにリメイクして楽しむ方法をご紹介します!
「昔買ったお気に入りの服だけど、少しデザインに飽きてしまった…」「家に余っている布でオリジナルの雑貨を作ってみたい!」そんな風に思ったことはありませんか?
実は、特別な布用絵の具を買わなくても、普段使っている「アクリル絵の具」で、簡単に自宅で布リメイクが楽しめます。
この記事では、アクリル絵の具を使って布に綺麗に描くための基本的な手順から、洗濯しても落ちにくく仕上げるコツ、失敗したときの対処法まで詳しく解説します。
最後まで読めば、手元にある古い服や布が自分だけの特別なアイテムに生まれ変わりますよ!
アクリル絵の具は布に描ける?基本知識と必要な道具
アクリル絵の具は、布に描けます。素材別に、綿・麻は◎、ポリエステルは弾きやすい、デニム・帆布は厚手で描きやすいという特徴があります。
まずは、布に描いたときの特徴や、描く前に準備しておくべき道具をチェックしていきましょう。
布用絵の具とアクリル絵の具、結局どっちがいい?
「アクリル絵の具って、キャンバスや紙に描くもので布には描けないのでは?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
結論から言うと、アクリル絵の具は布にもしっかり描くことができます。
アクリル絵の具は乾燥すると水に溶けない「耐水性のアクリル樹脂」に変化するため、布地にも強力に密着する性質を持っているからです。
普段着で柔らかさ重視なら専用のメディウム併用で十分です。
トートや帆布ならアクリル絵の具単体でOKです。なので布用絵の具は必要ありませんね。
普通の絵の具と何が違う?布に描いたときの特徴と耐久性
一般的な水彩絵の具は、乾いた後に水がかかると溶け出してしまいますが、アクリル絵の具は一度乾けば水に溶けません。
そのため、布に描いて乾燥させた後は、普通に洗濯しても簡単に落ちないという大きなメリットがあります。
ただし、専用の「布用絵の具」と比較すると、描いた部分がやや固くなりやすく、伸縮性の高い生地(Tシャツのニット地など)ではひび割れが生じることもあります。
筆者はホワイトデニム生地に「りんご」の絵を描いてバッグを制作し、雑貨として販売したことがあります。
布地は新品ですが、デットストックの巻生地を使いました。
筆は十分に濡らして動きやすくしておいて、アクリル絵の具を少しづつ、そのまま生地の上に出して描きました。絵の具が少なめ、筆の水分も少なめだったので、ドライブラシの技法でかすれた感じに。いい味が出ました。乾燥後も、意外にゴワゴワしませんでした。
ただ、製作中はバッグの中に台紙を入れて、絵の具が裏に滲み出ないよう慎重に描きました。


描く前に揃えておきたい道具一覧(メディウムの必要性も解説します!)
アクリル絵の具で布に描く際は、絵の具以外にもいくつか揃えておきたい道具があります。
- アクリル絵の具(100均のものでもOK)
- 筆(少し硬めのナイロン筆がおすすめ)
- パレット(プラスチックの簡易パレットや卵パックが便利)
- 下敷き用の厚紙・新聞紙(裏写り防止)
- マスキングテープ(柄の固定や養生用)
- アイロン(熱処理用)
- 布用ファブリックメディウム(あれば便利)
ここで気になるのが「ファブリックメディウム(布用絵の具媒体)」の必要性です。
ファブリックメディウムをアクリル絵の具に混ぜて使うと、塗った後の布のゴワつきを抑え、生地の柔軟性を保ったまま定着力を高める効果があります。
服など日常的に着るものや柔らかさを残したい場合はメディウムの併用がおすすめですが、トートバッグや厚手の帆布などであれば、アクリル絵の具だけでも十分綺麗に仕上がります。
筆者のおすすめのアクリル絵の具は、ターナーの「U–35」です。普段からお気に入りの使い勝手がわかっている絵の具で布地に描くとストレスが少ないです。
筆はサクラクレパスの「ネオセブロン(合成繊維毛)」が丈夫で長持ち、使いやすいです。
パレットが必要な時は、絵の具がたくさんとける簡易プラスチックパレットを使うといいですね。絵の具をたくさん溶いてもこぼれません。描いているうちに時間が経って乾燥しても使い切りなので後片付けの心配が入りません。

絵の具の溶き具合は「マヨネーズよりやや柔らかいくらい」の固さで
筆者は使い切りのプラパレットも地球環境に優しくないので「卵パック」を集めておいて「リサイクルパレット」と呼んで使っています。


アクリル絵の具とその道具について、詳しくはこちらの記事も参考に☝️
古着や古い布に綺麗に描く!アクリル絵の具の使い方5ステップ
ここからは、自宅にある古着や布地にアクリル絵の具で綺麗に描くための具体的な手順を5つのステップで解説します。
順序通りに進めることで、色ムラやにじみを防ぎ、プロのような美しい仕上がりになります。
- ステップ1:布の下準備(洗濯とアイロンがけ)
- ステップ2:裏写り防止と固定(下敷き・マスキング)
- ステップ3:絵の具の調整と塗布(水の量・固さのコツ)
- ステップ4:しっかり乾燥させる
- ステップ5:熱処理(アイロン)で定着させる
ステップ1:布の下準備(洗濯とアイロンがけ)
絵を描く前に、まずは布地の下準備を行いましょう。
古着や保管していた布には、目に見えないホコリや油分、あるいは新品時のノリが付着しています。
これらが残ったままだと絵の具の弾きや剥がれの原因になるため、一度洗剤で洗濯してしっかり乾かしておきます。
また、布にシワがあると筆先が引っかかって綺麗に描けません。
描き始める前にあらかじめアイロンをかけ、表面を平らに整えておくのが綺麗に仕上げるコツです。
古着の場合、普通に選択するだけでは落ちない汚れやシミがあります。筆者は「酸素系漂白剤」での「つけ置き洗い」で、繊維の本来の姿に近づけています。つけ置きは、30分〜半日程度。汚れの程度によってお試しください。

ステップ2:アクリル絵の具の裏写り防止と布地の固定(下敷き・マスキング)
服や巾着袋などに描く場合、絵の具が裏側の生地まで染み込んでしまう「裏写り」に注意が必要です。
描く面の裏側に、厚紙やクリアファイル、新聞紙などを必ず挟み込んでおきましょう。
こうすることで裏写りを防ぐだけでなく、布地が安定して描きやすくなります。
さらに、布の端を机や厚紙にマスキングテープで固定しておくと、描いている途中に生地がズレるのを防ぐことができます。
ホワイトデニムでトートバッグを作った時は、先にトートバッグを作成してから描画、という流れだったので、トートバッグよりも一回り小さい段ボールで台紙を作り下敷きのように使用しました。おかげでバッグの表面がしっかりと固定され描きやすくなりました。

ステップ3:アクリル絵の具の調整と塗布(水の量・固さのコツ)
いよいよ布に絵の具を塗っていくステップです。
ここで最も重要なのが「水の量」の調整です。
水を含ませすぎると、布の繊維に沿って絵の具がジュワッと滲んでしまいます。
逆に水が少なすぎると、絵の具が伸びず、布の凹凸に引っかかってかすれてしまいます。
ポスターカラーよりも少し固め、「マヨネーズよりやや柔らかいくらい」の固さを意識して、筆に水を含ませすぎないように調整しながら塗っていきましょう。

初めてホワイトデニムのバッグにアクリル絵の具で描画したときは、バッグの上に直接絵の具を出して描きました。
絵の具の量もちょうどよかったのか大成功だったので、2度目も同じように直接絵の具を出したら、量が多すぎたみたいで…。
まずいって思って、ペインティングナイフですくいとって、簡易パレットに移しました。
それからは、ちゃんとパレットでマヨネーズよりやや柔らかい目に溶いてから使用しています。
ステップ4:しっかり乾燥させる
描き終わったら、絵の具を完全に乾燥させます。
表面は乾いているように見えても、繊維の奥まで固まるには時間がかかります。
最低でも半日〜丸一日は触らずに、風通しの良い日陰でしっかりと乾かしましょう。
生乾きの状態で次の工程に進むと、絵の具が剥がれたりアイロンに付着したりする原因になります。
できるだけ「一日、一色」と決めていたのですが、スケジュール的に厳しくなった時、乾いた部分の上から別の色で描かなくてはならない事態が発生!裏技「ドライヤー」の出動となりました。

ステップ5:熱処理(アイロン)で定着させる
絵の具が完全に乾いたら、仕上げに熱処理(アイロンがけ)を行います。
熱を加えることでアクリル樹脂の定着がより強固になり、洗濯したときの色落ちや剥がれを劇的に防ぐことができます。
描いた部分の上に必ず「あて布」(クッキングシートや薄手の綿布)を載せ、ドライ(スチームなし)の中温〜高温で20〜30秒ほどじっくり圧着させるようにアイロンをあてましょう。

まさか、まさかのクッキングシート。お台所でなく、アクリル絵の具の制作でも大活躍です。熱に強く扱いやすいクッキングシートは、アクリル絵の具で布に描くときの必需品ですね!
洗っても落ちない!長持ちさせるための注意点とコツ
アクリル絵の具で描いた服や小物を長く楽しむためには、日頃のお手入れや塗り方の工夫が大切です。
せっかく描いた絵が1回の洗濯で痛んでしまわないよう、以下の注意点を押さえておきましょう。
生地がゴワゴワ・固くなるのを防ぐ塗り方のポイント
アクリル絵の具を布にベタ塗りすると、乾いた後にプラスチックのように固くなり、着心地が悪くなってしまうことがあります。
生地の柔らかさを残したい場合は、以下のポイントを意識してみてください。
- 一度に厚塗りせず、薄い層を重ねるように塗る
- 広い面積を塗る場合は、ファブリックメディウムを混ぜる
- 点描やラインアートなど、布の地の部分を残すデザインにする
ちょっとした工夫で、ゴワつきを最小限に抑えながらおしゃれな質感に仕上げることができます。
また、ポリエステルなどの弾きやすい生地は、「ファブリックメディウムを混ぜる・薄く重ねて塗る・しっかり熱処理する」、でカバーできます。
ファブリックメディウムを混ぜて大成功したのが、綿100%素材の丈が短めのシャツとバルーンスカートのセットアップに、細かい水玉模様のような「3色のりんご」を描いた時です。

まるで染料のように生地に吸い込まれていって。滲むことなくすっきりとおさまりました!着用感も柔らかで、着心地も満点です!
洗濯時のコツ(裏返し・ネット使用・手洗い)
アクリル絵の具で描いた布製品は洗濯可能ですが、通常の衣服よりも少し優しく扱う必要があります。
- 服を裏返しにする:プリント面が他の衣類と擦れるのを防ぐ
- 洗濯ネットに入れる:摩擦による絵の具の剥がれを軽減する
- 手洗いや弱水流コースを選ぶ:強い刺激を避ける
- 漂白剤や乾燥機の使用は避ける:熱や化学変化による劣化を防ぐ
この4点を守るだけで、絵の具の持ちが格段に良くなり、お気に入りのデザインを長持ちさせることができます。
トートバッグを購入してくださったお客様は必ず「洗濯できないよね?」と聞かれますが、筆者はいつも笑顔で「洗濯機で洗っていただけますよ!」と答えます。洗濯のコツさえ守っていれば、市販のトートバッグと同様に長持ちします。
3回洗濯後のバッグ。「色落ちはほぼなし」「ゴワつきも増えていない」「アイロン後は作りたてに戻る」感じです。

失敗したときの対処法とよくある質問(FAQ)
「塗る場所を間違えてしまった!」「失敗したらどうすればいい?」といった疑問やトラブルへの対処法をまとめました。
はみ出したり失敗した場合は落とせる?
アクリル絵の具は、乾く前であれば水で洗い流すことが可能です。
もし塗り間違えたりはみ出したりした場合は、すぐに濡れタオルやティッシュで叩くように拭き取るか、水で洗い流してください。
そうなんです!一度完全に乾いてしまうと水では落ちなくなります。
乾燥後に修正したい場合は、除光液(アセトン入り)や消毒用エタノールを布に含ませて優しく叩くか、乾いた絵の具の上から別の色(白や地の色)を重ね塗りしてカバーするのが現実的な対処法です。
でももし、アクリル絵の具が思わぬところについて、気付かずに乾燥した場合はこちらの記事も参考に☝️
Q&A:布の種類(綿・ポリエステル等)による描き心地の違いは?
Q. どんな生地でも同じように描けますか?
A. 生地によって描き心地や耐久性が異なります。
- 綿(コットン)・麻(リネン):絵の具の馴染みが良く、最も描きやすく剥がれにくい素材です。初心者におすすめ。
- ポリエステル・ナイロン:表面がツルツルしているため絵の具を弾きやすく、乾燥後に剥がれやすい傾向があります。
- デニム・帆布:厚手で描きやすいですが、凹凸があるため少し固めの筆で押し込むように塗るのがコツです。
古着リメイクに挑戦する際は、まず綿100%のTシャツやトートバッグなどから試してみるのがおすすめです。
綿100%のホワイトデニムのトートバッグの時は、帆布生地特有の凸凹があって少し描きにくかったのですが、リサイクル着物、ウール100%の時は表面が少し毛羽立っていましたが描きやすかったです。素材にや表面の加工によって様々ですので、いろいろな素材に挑戦してください。

Q.「どのくらいで乾きますか?」
A. 最低でも半日〜丸一日は触らずに、風通しの良い日陰でしっかりと乾かしましょう。でも、どうしても早く乾燥させたい時は、ドライヤーを使うといいですよ。
Q.「100均の絵の具でも大丈夫ですか?」
A. はい、大丈夫です。筆者は日常使いのアクリル絵の具が家にありましたのでそちらを使用しています。
Q.ファブリックメディウムは必須ですか?
A.アクリル絵の具に混ぜて使うと、塗った後の布のゴワつきを抑え、生地の柔軟性を保ったまま定着力を高める効果があります。なので、服など日常的に着るものや柔らかさを残したい場合はメディウムの併用がおすすめです。トートバッグや厚手の帆布などであれば、アクリル絵の具だけでも十分綺麗に仕上がります。
まとめ:自宅の古着をアクリル絵の具でおしゃれにリメイクしよう
自宅に眠っている古い服や布も、アクリル絵の具を使えば簡単に自分だけのオリジナルアイテムへと生まれ変わります。
- アクリル絵の具を溶く水の量を「マヨネーズ程度の固さ」に調整する
- 完全に乾かしてからアイロン(熱処理)で定着させる
- 洗濯時は裏返してネットに入れる
この基本ルールさえ守れば、洗っても落ちにくく綺麗な仕上がりが長持ちします。
ぜひおうちで、古着のリメイクやDIYを楽しんでみてくださいね!
アクリル絵の具の基本の使い方はこちらの記事も参考に☝️
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。感謝です。












