こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入って早半世紀。水彩画の素晴らしさをお伝えして30年以上になります。
葛城市の農家さんが、耕作しなくなった畑にひまわりを植えて素敵なひまわり畑に変身!

青く澄み渡る夏の空と、まばゆい黄色が一面に広がるひまわり畑は、誰もが一度は描いてみたいと思う人気のモチーフです。
しかし、「絵の具を使うのは学校の授業以来だから難しそう」「たくさんのひまわりをどう描けばいいのかわからない」と悩む大人の水彩画初心者は少なくありません。
この記事では、絵心に自信がない大人の初心者でも、おしゃれで見栄えのする「ひまわり畑」を水彩画で美しく描くステップとコツを詳しく解説します。
水彩絵の具特有のみずみずしい透明感を活かして、お部屋に飾りたくなるような素敵な作品を一緒に仕上げていきましょう。

大人の趣味として楽しむ水彩画!ひまわり畑を描く魅力
大人の趣味として始める水彩画には、忙しい日常から離れて自分だけの表現に没頭できるという大きな魅力があります。
特にひまわり畑というモチーフは、鮮やかな色彩がもたらすエネルギーと、夏のはかなさを同時に表現できるため、大人の創作意欲を刺激します。
水彩画は絵の具の量や水の引ききり方次第で、同じモチーフでも全く異なる表情を見せてくれます。
一輪のひまわりだけでなく、広大な「畑」として描くことで、絵の中に奥行きとストーリー性を生み出す楽しさを味わうことができます。
水彩画は簡単に始められ、気軽に続けられますが、思うように描けないジレンマに陥る時もあります。そんな時、ちょっとしたコツでその困難を乗り越えて、自分でも満足のいく出来栄えになります。
そんなヒントがいっぱい詰まっていますので、ぜひ、お読みください。


・ひまわり畑は奥行きやストーリー性を表現するのに最適なモチーフ
ひまわり畑を描く前に!初心者が揃えるべき大人向けの水彩道具
・仕上がりを左右する筆と水彩紙の重要性
大人の趣味として水彩画を始めるなら、道具選びも大切なポイントです。
子どもの頃に使っていた学童用の絵の具とは異なり、大人向けの質の良い道具を選ぶことで、初心者でも格段に美しい仕上がりになります。
詳しくはこちらの記事を参考に☝️
まずは、ひまわり畑の鮮やかな色彩と透明感をしっかりと表現するために必要な、基本の道具について見ていきましょう。
やはり「透明水彩絵の具」を使われることをお勧めします。出来上がりの見栄えが違います。
その時、水彩紙という水彩画用の紙を使うことでより一層、プロのような仕上がりになります。

発色が良い「透明水彩絵の具」の選び方
先ほどから説明にありますように、大人の水彩画には、重ね塗りをしても下の色が透けて見える「透明水彩絵の具」を使用するのがおすすめです。
学童用の不透明水彩と違い、透明水彩は光を通すため、ひまわりの花びらに濁りのない鮮やかな黄色を表現できます。
国内外の主要メーカーから初心者用の12色〜18色セットが販売されていますので、まずはそうした定番セットを選ぶと間違いありません。
絵の具については、詳しくはこちらの記事も参考に☝️
特にひまわり畑を描く際は、様々なニュアンスの黄色や緑色が含まれているかを確認しておくと良いでしょう。
ひまわり畑の表現に欠かせない筆と水彩紙
水彩画の仕上がりを最も大きく左右するのが、実は「紙(水彩紙)」選びです。
一般的な画用紙は水を多く吸うと波打ってしまいますが、水彩専用の紙であれば、美しいぼかしやグラデーションが簡単に表現できます。
赤→オレンジ→黄橙→黄色のグラデーション

また、筆については、背景の空や畑を大胆に塗るための「太めの平筆」(太めの丸筆、18号ぐらいでも大丈夫です)と、ひまわりの花びらや中心部を細かく描き込むための「細めの丸筆」の2〜3本があると便利です。
ナイロン製のものでも最近は非常に質が良く、初心者が扱いやすいコシのある筆が多く揃っています。
意外と思われるかもしれませんが、学童向けの「サクラクレパス ネオセブロン」はお勧めです。アクリル絵の具を使い出してから、合成繊維毛の筆を使うようになって試してみたら!使い勝手の良いことコスパの良さに今では「水彩画」でも愛用しています。平筆も丸筆もサイズも豊富です。
筆についてはこちらの記事も参考に☝️
・美しいぼかしを表現するために、画用紙ではなく「水彩紙」を用意する
【簡単4ステップ】初心者向けひまわり畑の基本的な描き方
・遠近感を出すための描き分けのステップ
道具が準備できたら、いよいよ実際にひまわり畑を描いていきましょう。
たくさんの花が並ぶひまわり畑も、手順を正しく踏んでいけば、初心者でも迷わずに描き進めることができます。
ここでは、全体のバランスを取りながら美しく仕上げるための基本的な4つのステップを解説します。
ステップ1:遠近感を意識した構図の下書き
水彩紙に下描きする前に、筆者は「アイデアスケッチ」と呼ぶ、構図を決める前のラフスケッチを行います。ここで、光はどこからきているとか、構図はどうするとか、どこにポイントを置いて描こう、とかを決めます。このときは、ちょっと濃いめの鉛筆、3Bや、4Bなどを使ってリラックスして描きます。色も置いてみて全体のバランスを決めたりもします。

お気に入りは、CANSON のクロッキーブックです。リング式で使いやすく、ミシン目が入っているから必要な時は、切り離せます。
このスケッチブックに水彩絵の具で着色すると「ベコベコ」になりますが、イメージを膨らませるためにいつも着色します。

アイデアスケッチが完了したら、今度は薄めの鉛筆、HやHBを使って、アイデアスケッチを参考に、水彩紙のどこに何を配置するかを決める下描き(デッサン)を行います。画面のどこまでを空にして、どこからを畑にするかの「地平線」の位置も決めておきましょう。
鉛筆の色が薄くて見えにくいかもしれませんが、水彩紙への下描きです。

ひまわり畑を描くときの最大のポイントは、画面の手前と奥でひまわりの大きさを変えて「遠近感」を意識することです。手前に来るひまわりは大きく形がわかるように描き、奥に行くにつれて小さく、ただの丸や点のように簡略化して描いていきます。
ステップ2:みずみずしい空と背景の広大な畑を塗る
下描きが終わったら、まずは面積の広い背景から色を塗っていきます。この場合、広大な空と、遠景&近景の緑の山ですね。
まずは、上部の青空から。あらかじめ紙を水で濡らしてから青い絵の具を落とす「にじみ」の技法を使うと、水彩らしいみずみずしい夏空が表現できます。筆者はホルベインの「コバルトブルー ヒュー」を使いました。

技法について詳しくはこちらを参考に☝️
空が乾いたら、遠景&中景の緑です。よく見ると遠景の緑は山でのようです。「青っぽい緑色」です。「ビリジャン」に「コバルトブルー ヒュー」を少し混ぜて色を作りましょう。近景の緑は木々の緑で「パーマネントグリーン N0.1」と「ビリジャン」を半々ぐらいで。影になっているところの「濃い緑」は、「ビリジャン」に「バーミリオン」を少し混ぜてみましょう。(全てホルベイン透明水彩絵の具です。)

緑の部分が完全に乾いたら、次は奥のひまわり畑全体を、ホルベインの「レモンイエロー」の淡い色でざっくりと塗ります。こちらは、18色セットにも入っていないので単色で購入になりますが、とても発色がいいので筆者はこちらを使用しました。

この背景部分を優しくぼかしておくことで、手前のひまわりが引き立つようになります。
ステップ3:主役となる手前のひまわりを描き込む
背景がしっかりと乾いたことを確認してから、いよいよ主役となる手前のひまわりを描き込んでいきます。
この時、他の記事で紹介した「ひまわりの描き方」も参考にしていただければもっと描きやすくなります。
記事はこちら☝️
花びらは一枚一枚丁寧に塗るよりも、筆の先を使ってリズミカルにタッチを残すように塗ると、生き生きとした表情が出ます。この時、ホルベインの「パーマネントイエローライト」と少し赤みのある「パーマネントイエロー」を使いました。
だんだん、いい感じになってきました。

ひまわりの中心にある種の部分(ブラウン系)は、周囲の花びらの黄色が完全に乾いてから塗ることで、色同士が混ざって濁るのを防ぐことができます。
今回参考にしたひまわり畑のひまわりは、中心の部分は、濃いブラウンではないので、ホルベインの「バーミリオン」に「パーマネントグリーン」を少し混ぜて描いていきます。
ステップ4:全体のバランスを整えて仕上げる
手前の描き込みが終わったら、一度絵を少し離れた場所から眺めて、全体のバランスを確認します。
もし手前のひまわりが背景に埋もれてしまっている場合は、影になる部分に少し暗い茶色(バーントアンバー)や緑色(パーマネントグリーン No.2)を足して、輪郭をくっきりさせます。【全てホルベイン透明水彩絵の具】
最後に、手前の葉や茎に濃いグリーンを入れて画面を引き締め、全体が自然に調和していれば完成です。

明るく元気ななれる1点が完成しました!

初心者でもプロっぽく見える!ひまわり畑の水彩画を仕上げる5つのコツ
・濁りを防ぎ、立体感と遠近感を出すプロのコツ
基本の手順がわかったら、さらに作品のクオリティを上げるためのテクニックを取り入れてみましょう。
いくつかの簡単なコツを意識するだけで、初心者特有の「平坦な絵」から、プロっぽく奥行きのある「大人の水彩画」へとランクアップします。
ここでは、ひまわり畑を見違えるほど美しく仕上げるための5つのコツを紹介します。
コツ1:黄色が濁らないように水をコントロールする
ひまわりの主役である「黄色」は、非常に繊細で濁りやすい色です。
筆についた他の色(特に青や茶色)が残ったまま黄色を混ぜると、すぐに暗くくすんだ色になってしまいます。

黄色を使う前には必ず筆を水できれいに洗い、パレットの綺麗な場所を使って色を作るように徹底しましょう。
コツ2:奥のひまわりは「ぼかす」だけで表現する
画面の奥にあるひまわりまで全てきっちり描いてしまうと、遠近感がなくなり、窮屈な印象の絵になってしまいます。
遠くのひまわりは、形を描かずに「黄色い絵の具をトントンと置いて周囲となじませる」くらいの大胆なぼかしを使いましょう。

この「手前はくっきり、奥はぼかす」という対比が、広大なひまわり畑の広がりを表現する最大の秘訣です。
コツ3:光と影を意識してひまわりに立体感を出す
ひまわりの花びらを全て同じ黄色で塗ってしまうと、おもちゃのような平面的な絵になってしまいます。
太陽の光が当たっている明るい部分はレモンイエローに近い明るい黄色を使い、影になる部分にはオレンジや少しの茶色を混ぜた暗い黄色を塗りましょう。

光の方向(例:左上から光が差し込んでいるなど)を意識して影をつけることで、花一輪一輪に強い立体感が生まれます。
コツ4:緑と茶色の混色で自然な葉と茎を表現する
ひまわりの葉や茎を描く際、絵の具のチューブから出したそのままの「緑色」を塗るのは避けましょう。
自然界にある植物の緑は、もっと複雑な色をしています。

緑色に少しの茶色や黄色、時には赤をほんの少し混ぜることで、深みのある自然な葉の色を作ることができます。要するに、補色関係にある色を使うことで色に深みが出ることを応用します。
補色については、アクリル絵の具の記事にですが詳しく出ていますのでこちらも参考になさってください。
コツ5:マスキングインクを活用して光を表現する
水彩画は「白」色の絵の具は使いません。紙の白色を活用して、白い色を表現します。なので、水彩画で白く輝くハイライト(光の反射)を表現したいときはあらかじめ白い部分を残しておく必要があります。その時、「マスキングインク」という便利な道具を使うのがコツです。
方法は簡単!絵の具を塗る前に、白く残したい部分に、あらかじめこのインクを塗って保護しておきます。
ペンタイプが使いやすくておすすめです。

全体を塗り終わった後にインクを剥がすと、紙の白さが綺麗に残り、真夏の強い日差しがキラキラと反射しているような美しい光を表現できます。
水彩画初心者がひまわり畑を描くときによくある失敗と対策
・失敗してしまったときの具体的なリカバリー方法
初めてひまわり畑に挑戦するときは、誰しも思い通りにいかない部分が出てくるものです。
しかし、水彩画の失敗には必ず原因があり、その対策を知っていれば途中で修正することも可能です。
よくある2つの失敗例と、その具体的な解決策を頭に入れておきましょう。
【失敗例1】全体が黄色一色になってしまい立体感がない
「画面全体が黄色っぽくなってしまい、どこが主役かわからなくなった」というのは、初心者に最も多い失敗です。
これは、手前と奥の黄色の鮮やかさに差がないことや、緑の葉の面積が足りないことが原因です。

対策として、手前のひまわりの隙間にしっかりと濃い緑色の葉を描き込み、黄色を引き立てる「対比」を作り出しましょう。
【失敗例2】色が濁って暗い印象になってしまった
「夏らしい爽やかな絵にしたかったのに、全体的に泥を塗ったような濁った色になってしまった」というケースです。
これは、前の色が完全に乾かないうちに次の色を重ねてしまったか、パレットの上で何色も混ぜすぎてしまったことが原因です。
水彩画では「しっかり乾かしてから重ねる」という待つ時間が大切です。
もし濁ってしまったら、乾いた後に清潔な濡れ筆で優しく色を拭い取る(リフティング)という技法で、ある程度色を明るく戻すことができます。


水彩画で描くひまわり畑に関するよくある質問(Q&A)
Q. 水彩画でひまわりの種の部分(中心)をリアルに描くにはどうしたらいいですか?
A. 中心部は単なる茶色一色で塗るのではなく、黄色や緑が少し混ざった複雑な暗い色にするのがポイントです。また、完全に乾いた後に、細筆の先を使って小さな点々を打ち込むように描くと、種の集合体としてのリアルな質感を表現できます。

Q. 絵心がない大人ですが、下描きなしでいきなり絵の具で描いても大丈夫ですか?
A. 初心者の方は、やはり鉛筆で薄く下書きをして構図(特に手前と奥のバランス)を決めてから塗ることを強くおすすめします。どうしても下描きが難しい場合は、水彩紙にカーボン紙を使ってお手本の輪郭を写し取る「トレース」という方法を使えば、絵心に自信がなくても安心して始められます。
筆者の場合は、別のクロッキー帳にアイデアスケッチをして構想を練ります。一度、お試しいただいてはいかがでしょう。下描きがもっと簡単に手軽にできるようになりますよ。

Q. 黄色い絵の具が乾いた後、上から緑を重ねたら青っぽくなってしまいました。なぜですか?
A. 透明水彩絵の具は重ねると下の色が透けるため、黄色の上に青みの強い緑を重ねると、視覚的に混色されて意図しない色に見えることがあります。葉を描く際は、ひまわりの花びらに重ならないように隙間を狙って塗るか、重ねる場合は下の黄色が「完全に乾いていること」を確認し、黄み寄りの暖かい緑(オリーブグリーンなど)を薄く重ねるようにしてください。
まとめ:お部屋に飾りたくなるひまわり畑を水彩画で描こう
大人の趣味として楽しむ水彩画の「ひまわり畑」は、難しそうに見えて、コツさえ掴めば初心者でも十分に魅力的な作品を描くことができます。
大切なのは、最初から完璧を目指すのではないということです。
水と絵の具が織りなす偶然のにじみや、鮮やかな色彩を楽しむことが上達への近道です。
今回ご紹介した遠近感の出し方や、黄色の濁りを防ぐコントロールを意識しながら、ぜひあなただけのひまわり畑を描いてみてください。
完成した作品を額縁に入れてお部屋に飾れば、夏の明るいエネルギーが空間を満たしてくれるはずです。

ちょっと贅沢な額に入れてあげると、見違えるほど素敵になります!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。感謝です。
ひまわり単体の描き方も紹介している記事がありますので、こちらも参考にしていただければと思います。
花のある風景の描き方はこちらでも解説しています。
怖がらず、焦らず、楽しんで水彩画を描く時間を毎日の生活に取り入れて人生を謳歌していただければと思います。

















・ひまわり畑というモチーフが持つ表現の奥深さと楽しさ