こんにちは、絵を描いて早半世紀、絵師の徳田智子です。アクリル絵の具を使うようになって5年の歳月が経ちました。
油絵のような重厚感を持ちながら水彩絵の具のような透明感も出せるアクリル絵の具で描いた「寒椿・紅白」です。アクリル絵の具の特性を最大限活用しています。

アクリル絵の具は、初心者でも手軽に本格的な絵画を楽しめる素晴らしい画材です。
しかし、「何から揃えればいいのか」「どうすれば綺麗に色が混ざるのか」と悩む方も少なくありません。
この記事では、初心者が迷わず始められる基本の使い方から、思い通りの色を作るコツまで分かりやすく解説します。
基本をマスターすれば、濁りのない鮮やかな表現が誰でも簡単にできるようになります。
目次
初心者向けアクリル絵の具の使い方の前に!特徴と必要な道具

アクリル絵の具ってどんな絵の具?
アクリル絵の具は、水で薄めて手軽に描ける一方で、乾くと水に溶けなくなる「耐水性」を持つのが大きな特徴です。
重ね塗りが自由にできるため、初心者でも失敗を恐れずにのびのびと描くことができます。
アクリル絵の具は、本当に乾くのが早いです。あっという間です。
私は長く、「油絵の具」を使ってきましたが(40年以上)、それとは比べ物にならないスピードで乾きます!アクリル絵の具は混ぜる水の量にもよりますが、油断していると描いたらすぐに乾きます。
油絵の具だと、速乾性のオイルを使用したとしても、2〜3時間はかかります。水彩絵の具で描いても、完全に乾くまでには20〜30分はかかりますが、アクリル絵の具は本当にすぐに乾くんです!

ここが重ね塗りがしやすいという良い点でもあり、固まりやすいという注意すべき点でもあります。そのことについては、この後じっくり説明していきますね。
初心者が最初に揃えるべき最低限の道具リスト
新しくアクリル絵の具を始めるなら、まずは最低限の道具を揃えるのがおすすめです。
絵の具セット、筆(平筆と丸筆)、パレット、水入れ、そして描くための紙やキャンバスがあればすぐに始められます。
私が初めて買ったアクリル絵の具は「ホルベインの12色セット」でした。
初心者なら、まずは12色セットぐらいから揃えると失敗がありません。
アクリル絵の具のセットについてはこちらの記事も参考にしてください。

筆はナイロン系が扱いやすくおすすめです。
子ども用の筆と思われているかもしれませんが、サクラクレパスの「ネオセブロン」が非常に優秀です。

どんな扱いをしてもへこたれないタフさを持っています。
まずは以下の基本道具リストを参考に、お近くの画材店やネット通販で揃えてみましょう。
- アクリル絵の具セット:まずは基本の12色セットがベスト。
- 筆(平筆・丸筆):ナイロン毛の「サクラクレパス ネオセブロン」がおすすめ。
- パレット:使い捨てできるペーパーパレットかプラスティックの簡易パレットが初心者には便利。筆者は「卵パック」をリサイクルパレットとして使用しています。
- 水入れ:筆を洗う用と、綺麗な水を絵の具に足す用に仕切られているもの。
- 支持体:アクリル画用の厚手の紙、または小さなキャンバス。

スポイド、ティッシュペーパー、雑巾などもあると便利ですね。
「卵パック」リサイクルパレットについて、詳しくはこちら☝️
【基本】アクリル絵の具の正しい使い方と失敗しない塗り方

失敗を防ぐ!適切な「水加減」の目安
アクリル絵の具を塗る際、最も重要と言っても過言ではないのが「水加減」のコントロールです。
水が多すぎるとキャンバスに弾いてしまい、少なすぎると筆がスムーズに進まず、かすれの原因になってしまいます。

パレットで絵の具を混ぜ合わせるときは、絵の具が「マヨネーズよりも緩い(とろっとしたクリーム状)」になるまで水分を足してください。
慣れるまでは、スポイドなどで1〜2滴ずつ水を落としては混ぜる感じで、最適な濃度にしていってくださいね。
ムラなくきれいに仕上げる「平塗り」のコツ
キャンバスを均一な色で美しく埋める「平塗り」は、すべての表現の基本となる大切な技法です。
一定の方向に筆を動かし、塗り重ねることで、初心者でもムラのないプロのような美しい画面を作ることができます。
平塗りには、大きめの平筆が一番使いやすいです。
これも高級な動物毛の筆ではなくて全く大丈夫です。ネオセブロン18号くらいの太さで十分に綺麗な面が塗れます。
きれいに仕上げる最大のコツは、「縦に塗って、画面が乾かないうちに横に塗る」ことです。
この方法をとることで、気になる筆跡(筆の跡)も綺麗に消えて、非常に美しい画面に仕上がります。

初心者が知っておきたいアクリル絵の具の技法とメディウムの使い方
グラデーション(ぼかし)のコツ
色が乾き切る前に隣の色を塗り、境目をぼかして滑らかにつなぐ技法です。空や海などの表現に欠かせません。
しかし、水彩絵の具と違って、アクリル絵の具は速乾!めちゃくちゃ早く乾きます。なので、水彩絵の具の時よりもたっぷり、水彩紙だとふやけるぐらい、キャンバスだと水が流れるぐらい水分を補給しておきましょう!それでも途中で、水分が足りないなあっと感じたら、迷わず霧吹きでシューっと水を吹きかけてください。

かなりなれましたが、これでもまだまだです。筆跡が残っていて残念!もっと精進します!

速乾性ゆえ、いかに早く美しくグラデーションの画面を作るかは本当に難しく、何度も挑戦する中で、先ほどの説明のような方法を編み出しました。
重ね塗り(グレーズ)で透明感を出す使い方
下の色が乾いてから別の色を塗り重ねる基本技法です。アクリル絵の具の「乾くと耐水性になる」性質を活かし、絵の具を溶かさずに奥行きや立体感、鮮やかな色彩を表現できます。初心者でも簡単に、失敗を恐れず描写できます。
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重ね塗りの効果がわかりやすいように、白い水彩紙の画面左側にウルトラマリンブルーを右側にはコバルトテールをそのまま塗っています。
メディウムとは?初心者はジェルメディウムから
絵の具に混ぜると、ステンドグラスのような美しい透明感と強い光沢が生まれます。水彩のような淡い表現から、油絵のような重厚な表現まで幅広く対応できます。メディウムの色は乳白色ですが、乾燥すると完全に透明になります。
有名メーカーから発売されています。リキテックスはこちら⬇️
ターナーはこちら⬇️
ホルベインはこちら⬇️
濁らない!アクリル絵の具の使い方【色の混ぜ方と基本色】

混色で失敗しないための「色の掛け合わせ」の基本
アクリル絵の具はたくさんの色を混ぜすぎると、次第に色が濁って暗くなっていく「減法混色」という性質があります。
鮮やかな色を保つためには、混ぜる色を原則として「2色まで」に留めるのが綺麗な混色の基本です。
初めての頃は、「この色とこの色とこの色を混ぜて…」なんて、3色くらいをパレットの上で平気で混ぜてしまっていました。

しかし、綺麗に混ぜ合わせると、なんと驚くほど濁ってしまったのです。1色、1色の輝きが失われてしまいました!濁った茶色です。

アクリル絵の具は混ぜすぎると、どんなに元が綺麗な色であっても、最終的にはグレーや茶色っぽく濁ってしまいます。なので2色までの大原則を厳守するか、「(混ぜずに)単色で描いて、乾いた上から色(透明度の高い色)を重ねる」といった工夫を試してみましょう。
色作りの強い味方!「12色相環(12しきそうかん)」の仕組みと活用法
思い通りの色を迷わず作るためには、「12色相環」の仕組みを頭に入れておくことが非常に役立ちます。
色相環とは、色を円状に並べたチャートのことで、色の関係性がひと目でわかるようになっています。

特に対角線の真向かいに位置する色の組み合わせを「補色(ほしょく)」と呼びます。
この補色の関係を理解すると、絵全体の引き締め方や、綺麗な影の表現が驚くほど簡単になります。
| 作りたい色のイメージ | おすすめの混色アプローチ(12色相環の活用) |
|---|---|
| 鮮やかさを保った色 | 色相環で隣り合う近い色同士を「2色まで」で混ぜ合わせる。 |
| 深みのある綺麗な影・くすみ色 | 単に黒を混ぜるのではなく、元の色の「補色(向かい合う色)」を少量混ぜる。 |
12色相環のことを勉強してからは、影の表現や少しくすんだ色を作りたい時に、「黒」や「白」を単純に混ぜるのをやめました。
代わりに補色関係にある色を少しだけ混ぜることで、ある時は温かみのある明るいグレーに、またある時は深みのある暗いグレーにと、表現の幅が劇的に広がり画面に素晴らしいバリエーションが生まれました。
青紫と黄色で試してみました

バリエーションを作ってみるとこんな感じになりました。

最初に買うならこれ!使いやすいおすすめの基本色セット
色選びに迷ったら、まずはメーカーが用意している基本の12色セットを選ぶのが確実ですが、ステップアップには個別のおすすめメーカーもあります。
筆者は最初、ホルベインのアクリリック12色セットを購入しましたが、色々なメーカーのアクリル絵の具を試すうちに、ターナーの「U35(ユーサンジューゴ)シリーズ」に出会いました。
発色の良さはもちろんのこと、何より、リーズナブルな価格帯なので初心者でも惜しみなくたっぷりと使えます。
「U35」という名前から、最初は「若い人向けのシリーズなのかな?」と年配の私は少し躊躇してしまいましたが、全くそんなことはありませんでした。老若男女、誰にでも自信を持っておすすめできる素晴らしい絵の具です。

知らないと固まる?アクリル絵の具の使い方【後片付けと注意点】

使用後の筆とパレットの正しい洗い方
アクリル絵の具は一度乾いて固まってしまうと、水だけでは洗っても絶対に落とすことができなくなってしまいます。
使い終わった筆やパレットは、絵の具が乾く前に、すぐに水と石鹸を使って綺麗に洗い流しましょう。
実は筆者も過去に、作画に夢中になってしまって、絵の具のついた筆をそのまま放置してしまったことがあります。

描き終わって我に返ったときは「時すでに遅し」、筆先がカチカチに固まっていてリカバリーにものすごく苦労しました。
詳しい筆とパレットの使い方とリカバリーについてはこちらの記事が参考になります。
それ以来、私は以下のステップを徹底しています。
作業をスムーズに進めるためにも、ぜひ習慣にしてくださいね。
- その色を使い終わったら、すぐにティッシュやボロ布で筆の絵の具を拭き取る。
- すぐに筆洗(水入れ)でしっかり濯ぐ。
- もし他の作業で急いでいるときは、乾燥を防ぐためにそのまま筆を筆洗の水に浸けておく。
- 時間に余裕があるときに、絵の具が綺麗に落ちるまでこの動作を繰り返す。


筆洗につけているのは、ターレンスの赤い持ち手がキュートな合成繊維毛の筆です。こちらもアクリル絵の具の使用に向いています。お値段はネオセブロンよりもやや高めです。

【注意】衣服についた場合の対処法
アクリル絵の具が大切な洋服についてしまうと、乾燥後は繊維と一体化して完全に固着してしまいます。
もし服に付着してしまった場合は、一刻も早く水でもみ洗いし、完全に乾く前に落とし切ることが鉄則ですが、実際はかなり厳しいです。
正直なところ、服にガッツリ着いてしまったときは、基本的には「あきらめる」しかありません。

お気に入りの麻のパンツでついうっかり制作活動に入ってしまったら。気付かずに次の日、洗濯機から出してびっくり!裾のところに絵の具が…。お出かけには履いて行けませんが、作業着として愛用しています。
対策としては「作業着やエプロン」を着用して描き始めるのが、一番の防衛策でありストレスのない方法です。
アクリル絵の具の使い方に関するよくある質問(FAQ)
Q. アクリル絵の具は、水彩絵の具のように固まった後から水で溶かして再利用することはできますか?
A. いいえ、アクリル絵の具は完全に乾燥すると耐水性のプラスチック皮膜に変化するため、再度水で溶かすことはできません。
そのため、パレットに出す絵の具の量は、一度に使い切れる少量のずつに調整するのが無駄にしない最大のコツです。
Q. 服に付いたアクリル絵の具が完全に乾いてしまった場合、もう落とす方法はありませんか?
A. 完全に乾燥してしまったアクリル絵の具を衣類から綺麗に落とすのは、残念ながら極めて困難です。
少しでも被害を抑えるために、描く際は必ずエプロンを着用するか、汚れても構わない作業着を着るように最初から習慣づけましょう。

まとめ:基本の使い方をマスターしてアクリル画を楽しもう!
アクリル絵の具は、その独特な耐水性と鮮やかな発色により、初心者からプロまで広く愛されている万能な画材です。
油絵の具や水彩絵の具とは全く違う「圧倒的な乾きの早さ」に最初は戸惑うかもしれませんが、基本さえ押さえればこれほど扱いやすく楽しい絵の具はありません。
適切な水加減(マヨネーズより緩め)を意識し、12色相環の補色関係を味方につければ、濁りのない素晴らしい色表現が自由自在になります。
まずは手頃な基本色セットを手に、自由なアクリル画の世界へ最初の一歩を踏み出してみましょう!
アクリル画を楽しく描くコツはこちらの記事を参考に!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
感謝です。








