こんにちは、絵師の徳田智子です。早いもので絵の道に入って半世紀。
アクリル絵の具を愛用して5年の歳月が流れました。
アクリル絵の具の混色は、3原色と12色相環さえ理解すれば驚くほどシンプルになります。

とはいえ「思った色にならない」「毎回同じ色を再現できない」と悩む方は少なくありません。
この記事では、アクリル絵の具の混色を体系的に整理した一覧表と、作品づくりの現場で押さえておきたい実践のコツをまとめました。
読み終える頃には、目的の色を狙って作るための考え方と、すぐに使える混色の目安が手に入ります。

アクリル絵の具の混色は3原色と12色相環がすべての基本
この章では、混色表を読み解く前に知っておきたい「色の理屈」の部分に踏み込みます。
三原色の組み合わせ方と色相環の見方が分かると、表にない色を作りたくなったときにも自分で応用できるようになります。
混色の3原色(赤・青・黄)とは
絵の具における3原色は、赤・青・黄の3色です。
この3色を基準にすることで、理論上はほとんどの色を作り出すことができます。
ただし実際の絵の具は顔料によって発色が異なるため、同じ「赤」でも黄み寄りか青み寄りかで仕上がりが変わります。
ターナーのU-35シリーズを愛用しています。
「アンダー35?もしかして若者向け?」っと最初は思いましたが、発色が良くリーズナブルな価格設定の素晴らしいアクリル絵の具です。

3原色の性質を理解しておくことが、混色表を正しく使いこなす前提になります。

水彩紙(CANSON 300g/㎡ リング式スケッチブックに)、赤色「ナフソールレッドミディアム」、黄色「プライマリーイエロー」、青色「ウルトラマリンブルー」を使用していきます。
12色相環を知ると狙った色に迷わずたどり着ける
12色相環とは、色を円状に並べて色同士の関係を視覚化したものです。
隣り合う色同士を混ぜると自然なグラデーションが生まれ、向かい合う色(補色)を混ぜるとくすんだ色や灰色に近づきます。
12色相環を頭に入れておくと、混色表にない中間色を作りたいときも「どちらの色に寄せればよいか」を判断しやすくなります。

【保存版】アクリル絵の具の混色表|組み合わせと色の一覧
ここからは、3原色を基準にした具体的な混色の組み合わせを一覧表にまとめます。
分量はあくまで目安のため、実際に絵の具を混ぜながら微調整してください。
主要な色の混色表(赤系・青系・黄系・緑系・紫系)
| 作りたい色 | 混ぜる色の組み合わせ | ポイント |
|---|---|---|
| オレンジ | 赤+黄 | 黄を多めにすると明るいオレンジに |
| 緑 | 青+黄 | 黄を多めにすると黄緑寄りに |
| 紫 | 赤+青 | 赤を多めにすると赤紫寄りに |
| 黄緑 | 黄+少量の青 | 青を入れすぎると濁るので注意 |
| 青紫 | 青+少量の赤 | 赤は必ず少量から足す |
オレンジの混色

黄緑・緑の混色

青紫・紫の混色

肌色(ペールオレンジ)の混色表
肌色は赤・黄・白を基準にし、そこに少量の茶色や青を加えて調整するのが基本の考え方です。
白の量を増やすほど明るい肌色に近づき、黄を強めると健康的な色みに、赤を強めるとやや血色のよい印象になります。
| 作りたい色 | 混ぜる色の組み合わせ | ポイント |
|---|---|---|
| 標準的な肌色 | 赤+黄+白 | 白は少しずつ足して明るさを調整 |
| 影の肌色 | 標準の肌色+少量の青または茶 | 黒は使わず彩度を落とすイメージ |

グレー・黒に頼らない影色の混色表
影の色を作るとき、黒をそのまま使うと色が濁って絵全体が重たい印象になりがちです。
黒の代わりに、補色同士(例:赤と緑、青紫と黄)を混ぜることで、彩度を落とした自然な陰影を作ることができます。

自家製紙パレットで混色

3原色から作り出したグレーと黒からのグレーで、肌色がどう違うか実験してみました。下写真向かって左側が補色グレー、右側が黒グレーです。

向かって左側、補色で作ったグレーは肌によく馴染んでいます。向かって右側、黒単色で作ったグレーは、変に目立って浮いて見えます。
混色表通りに作っても失敗しないための実践のコツ
混色表はあくまで目安であり、実際の仕上がりは混ぜ方や分量の順序によって大きく変わります。
この章では、表通りに色を作っても狙った発色にならないという失敗を防ぐための、実践的な手順を解説します。
薄い色から少しずつ足すのが鉄則
混色をするときは、色の薄い(明るい)方の絵の具をベースにし、そこへ濃い色を少しずつ加えていくのが基本の手順です。一度にたくさん作らず、少量ずつ手早く混ぜるのがコツです。
先に濃い色を大量に出してしまうと、薄い色をいくら足しても色みを調整しきれず、絵の具を無駄にしてしまいます。
濃い色は「耳かき一杯分」くらいの少量から試すことで、狙った色に近づけやすくなります。

アクリル絵の具は、乾くと少し濃く(暗く)なるので、気持ち明るめに作ると合わせやすいです。特に肌色は顕著に現れます。
影を塗るときに黒を使わない理由
黒はすべての色の中で最も彩度を下げる力が強いため、影の部分に黒をそのまま使うと画面から浮いたような不自然な影になりやすいです。
向かって左側:肌色(ターナー・U-35シリーズ、ナフゾールレッド ミディアムとハンザ イエロー ライトに、ホワイトを混色)に、補色のウルトラマリンブルーをほんの少量使用。肌に馴染む自然なグレーに。
向かって右側:ターナー・U-35シリーズ、マース ブラックにホワイトを混色、黒グレー。周りの肌色から浮いて変です。

先ほどの「グレー・黒に頼らない影色の混色表」の章でも、ご説明致しましたが、筆者は影色を作る際、黒ではなく元の色の補色を少量混ぜる方法を基本にしています。こうすることで、影の部分にも元の色の情報が残り、画面全体に統一感が生まれます。


補色を使って色みを落ち着かせるテクニック
補色とは12色相環で向かい合う関係にある色のことで、混ぜ合わせると彩度が下がり、落ち着いた色調になります。
鮮やかすぎる色を少し渋くしたいときや、絵全体のトーンを揃えたいときに、補色を少量加える方法が有効です。

グレートーンを使用するときに、黒と白で作っていたのでは、画面が濁る可能性があり、あまりおすすめできません。上の写真のように、補色関係にある色を混ぜるとしっくり落ち着きます。右から、7(青紫):3(黄色)で青紫に近いグレー、同量で最もグレーな感じ、3(青紫):7(黄色)で黄色に近いグレーとなります。
混色でつくれない色・注意しておきたい落とし穴
どれだけ混色の理屈を理解していても、絵の具の特性上、作れない色や避けたほうがよい組み合わせが存在します。
アクリルとアクリルガッシュは混ぜない方が無難
アクリル絵の具とアクリルガッシュは似た名前ですが、成分や仕上がりの質感(つや・不透明度)が異なります。
両者を混ぜると乾燥後の質感にムラが出ることがあるため、同じ画面で使う場合でも基本的には別々に扱うのが無難です。
アクリル絵の具はアクリル絵の具のみで!

アクリルガッシュはアクリルガッシュのみで!

アクリル絵の具とガッシュについての詳しい記事はこちら☝️
混色だけでは再現できない色がある
蛍光色やパール・メタリックといった特殊な発色は、顔料の組み合わせだけでは再現できません。

写真左から:AMSTERDAM アクリリックメタリックゴールド、シルバー、ブロンズ。リキテックス 蛍光イエロー。ターナー U-35 イリデッセントゴールド。ダイソーのメタリックシルバー、グリッターブルー。

こうした色が必要な場合は、最初から専用の絵の具(蛍光色・メタリックカラーなど)を用意する必要があります。
筆者が実際に混色表を使ってみて感じたこと
筆者が実際に「3原色」から「12色相環」を作ったものです。

メーカーよって絵の具の質感が違うので、実際に自分で試してみると新しい発見があります。違うメーカーの絵の具は混ぜない方がいいとか、同じメーカーの絵の具でも色によって質感が違うとか。怖がらず思い切って色々試してみることをおおすすめします。

試しに、3社の「赤と黄」の混色表を作成しました。
ターナー・U-35シリーズからは「ハンサ イエロー ライトとナフソール レッド ライト」、ホルベインからは「イミサゾロン レモンとナフソール レッド ディープ」、100均からは「黄と赤」です。メーカーごとの混色では、各色、半々の量で混色。メーカー別でも分量は半々です。
ターナー・U-35とホルベインは選んだ色が原因かもしれませんが、混ぜ難いでした。ホルベインと100均、ターナーと100均も問題なく混色できました。
個人的な意見ですが、違うメーカーで混色するのはおすすめしません。
よくある質問(FAQ)
Q. 混色表通りに混ぜても表と同じ色になりません。なぜですか?
A. 使用している絵の具の銘柄や顔料によって発色が異なるため、表はあくまで目安として捉え、実際に少しずつ混ぜながら調整することをおすすめします。

Q. 混色で黒を作ることはできますか?
A. 理論上は三原色を混ぜ合わせることで黒に近い色を作れますが、彩度の高い黒にはなりにくいため、深みのある黒が必要な場合は市販の黒を使う方が効率的です。
Q. アクリルガッシュとアクリル絵の具の混色表は同じように使えますか?
A. 色の理屈自体は共通していますが、両者は質感や乾燥後の仕上がりが異なるため、別々の混色表として捉えて試すことをおすすめします。

左側:ターナー・アクリルガッシュ 右側:ホルベイン・アクリリック
まとめ|混色表を手元に置けば色づくりに迷わなくなる
アクリル絵の具の混色は、三原色と12色相環の関係を理解し、混色表を目安にしながら少しずつ色を足していくことで、誰でも狙った色に近づけられます。

筆者も、自作の12色相環の表を参考に下の作品を制作しました。

上の作品でも、補色関係の色を巧みに使用することで、黒に頼らず補色を活用する視点で制作したので、作品全体の色みが格段にまとまりやすくなりました。
ぜひこの混色表を手元に置きながら、実際に絵の具を混ぜて色づくりを楽しんでみてください。
また、いろいろなメーカーのメタリックカラーや蛍光色の色見本も自作すると便利ですね。
この表も、上の作品作りで、いろいろなゴールドやシルバーを多用したのでとても役に立ちました。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。感謝です。
大人向けアクリル絵の具については、こちらの記事を☝️
アクリル絵の具の支持体について詳しくはこちらを☝️
アクリル絵の具の筆については詳しくはこちらの記事を☝️














