アクリル絵の具の使い方のコツ!色の性質を知り初心者もプロ並みに!

こんにちは、絵の道に入って早半世紀、絵師の徳田智子です。アクリル絵の具を愛用して、5年の歳月が流れました。

青色系の寒色と中間色で落ち着いた雰囲気を表現。アクセントとして補色の赤を入れて躍動感を表現しています。

アクリル絵の具を買ってみたものの、「塗っている最中にすぐ乾いて固まる」「色を混ぜたら濁って汚くなってしまった」と悩んでいませんか?
アクリル絵の具は扱いやすく魅力的な画材ですが、絵の具独特の「性質」を知らないまま使うと、思うような発色が得られず挫折してしまう原因になります。

この記事では、初心者がまず知っておくべきアクリル絵の具の基本性質から、12色相環や補色を活用した「濁らない混色のコツ」までわかりやすく解説します。
コツさえ掴めば、透明感のある鮮やかな表現や重厚感のある重ね塗りが自在にできるようになりますので、ぜひ最後まで読んで実践してみてくださいね!

まず知っておきたい!アクリル絵の具の基本性質

この章でわかること
・アクリル絵の具の「速乾性」「耐水性」「透明度」という基本性質

・乾いて固まった絵の具やパレットの扱い方の基本

アクリル絵の具を使って思い通りに描くための第一歩は、絵の具自体の「性質」を正しく理解することです。
水彩絵の具や油絵の具とは異なるユニークな特徴があるため、まずは基本となる3つの性質を押さえておきましょう。

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最初は水彩絵の具と同じ感覚で使っていて、パレットの上で固まって焦ったのを覚えています!

乾燥速度が早いアクリル絵の具!速乾性のメリットと注意点

アクリル絵の具の最大の特長は、とにかく乾燥速度が早いことです。
塗ってから数分から十数分程度で乾くため、作業テンポを早く進められるメリットがあります。

しかし、パレットの上でもどんどん乾いてしまうため、一度に大量の絵の具を出しすぎない工夫が必要です。
乾いて固まった絵の具は水で溶かすことができないため、手早い作業とこまめな絵の具の管理が求められます。

乾いた後のアクリル絵の具は水で溶かすことができません。パレットに出す量は「5分以内に使い切れる量」を目安にしましょう。

描き終わってついうっかり、洗うのを忘れてそのままにしてしまったら。固まってしまって…

そんなことがあってから、筆者は「卵パック」を集めておいて、それをパレットととして使用しています。「リサイクルパレット」と呼んでいます。これなら、気にせずに描画に集中でき、絵の具が余った時は、スポイドで水を入れて絵の具の乾燥を防ぐことができます。

詳しくはこちらの記事もお読みください⬇️

水彩画初心者の道具選びー基本中の基本とラクして楽しむ方法を徹底解説

乾くと水に強いアクリル絵の具!耐水性の仕組み

アクリル絵の具は、水で溶いて塗ることができますが、一度乾燥すると完全に耐水性へ変化します。
これは、絵の具に含まれるアクリル樹脂が固まることで強い膜(皮膜)を形成するからです。

耐水性になるおかげで、上から別の色を重ねて塗っても下の色が溶け出して濁ることがありません。

この「重ね塗りに強い」という性質は、失敗した場所を塗りつぶして修正する際にも非常に便利です。

下の色が完全に隠れました

アクリル絵の具の透明・半透明・不透明の違いと作品への影響

アクリル絵の具のチューブには、色ごとに「透明(Transparent)」「半透明(Semi-Transparent)」「不透明(Opaque)」といった表記があります。
不透明な色は下地をしっかり隠すカバー力があり、透明な色は下の色を透かして深みのある発色を作ることができます。

自分の描きたい表現に合わせて、絵の具の透明度を使い分けることが上達のポイントです。
購入時や使用時には、チューブの裏面やカラーチャートの表記を必ずチェックする癖をつけましょう。

メーカーによって表示場所や表示方法が異なります。詳しくは、各メーカーのホームページなどでご確認ください。

U-35|ターナー色彩株式会社
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チューブの「透明」「不透明」表記はメーカーによってシンボルマーク(白丸、黒丸など)で記載されている場合もあります。

アクリル絵の具は、本当に乾くのが早いです。あっという間です。
筆者はかなり長い間「油絵の具」を使ってきましたが(40年以上)、それとは比べ物にならないスピードで乾きます!まるで、新幹線と各駅停車の列車ぐらい違います。アクリル絵の具は混ぜる水の量にもよりますが、油断していると描いたらすぐに乾きます。
油絵の具だと、速乾性のオイルを使用したとしても、2〜3時間はかかります。水彩絵の具で描いても、完全に乾くまでには20〜30分はかかりますが、アクリル絵の具は本当にすぐに乾くんです!

アクリル絵の具を使い出した頃、油絵の具の感覚でパレットに絵の具を何色も出して描き始めたら!なんと、2色目を使い出した頃には、他の色の絵の具が乾燥して…。固まって使えなくなってしましました。

第1章の要点まとめ
・アクリル絵の具は速乾性と耐水性があるため、重ね塗りがしやすい。

・パレット上での乾燥を防ぐため出し過ぎに注意する。

・透明度の違いを意識して色を選ぶ。

参考までに、アクリルガッシュとの違いは、アクリル絵の具は「透明感とツヤ」があり、重ね塗りや盛り上げに向いています。一方、アクリルガッシュは「不透明でマット(ツヤなし)」な仕上がりで、下の色を完全に隠すベタ塗りに適しています。共通点もあるので、詳しくはこちらを⬇️

アクリル絵の具とアクリルガッシュ違いは何?初心者におすすめは?

最後の失敗例と対策でもお伝えしますが、アクリル絵の具の特性をよく理解して、楽しく描画を始めましょう!

アクリル絵の具の色の性質から考える!濁らない混色と塗り方のコツ

この章でわかること
・12色相環と補色を活用した「濁らない」混色ルール

・鮮やかさを保つための失敗しない水加減の比率

色を混ぜるといつも黒っぽく濁ってしまう」という悩みは、色の性質と理論を知ることで劇的に解決します。
ここでは、12色相環と補色関係を利用した綺麗な発色を保つための具体的なコツを紹介します。

12色相環で理解する!アクリル絵の具の基本の色の作り方

色を自在に作るためには、赤・黄・青などの色合いを環状に並べた「12色相環(じゅうにしきそうかん)」の理解が欠かせません。

色相環で隣り合っている色同士(例:黄緑色と緑、赤とオレンジ)を混ぜると、鮮やかさを保ったまま綺麗な中間色を作ることができます。

逆に、色相環で距離が離れている色同士を混ぜると、だんだんと彩度が落ちて落ち着いた(くすんだ)色になります。

色相が近しい赤みの橙(アドオレンジ)、黄みの橙(ディアリイエロー)に、少し色相の離れた黄緑(ライトグリーン)を混色『いずれもターナーのU-35を使用』。3色の混合ですが彩度が落ちてくすんだ色に。

どのような色を作りたいか迷ったときは、色相環上で近い色同士を組み合わせるのが基本のテクニックです。

よく似た色『ターナーのU-35から』ウルトラマリンブルー、コバルトテール、パーマネントグリーンの3色を混ぜてみました。

悪くはないですが、単色の鮮やかさが失われています。やはりくすんだ色になってしまいます。

アクリル絵の具の混色は3色まで!濁りを防ぐ発色ルール

絵の具は混ぜる色の数が増えれば増えるほど、光の反射が減って色がどんどん濁っていきます。
チューブから出した絵の具を混ぜ合わせる際は、「原則3色まで」に抑える
のが鮮やかな発色を保つ黄金ルールです。

個人的には、2色までの混色がベスト

もし4色以上混ぜたくなった場合は、一度混色をやめて、色相環に近いあらかじめ調色された市販の色を使うことをおすすめします。

手数と混ぜる色数を最小限に抑える意識を持つだけで、画面全体が驚くほどクリアで綺麗な仕上がりになります。

混色数が4色を超えると「減色混合」により光の波長が相殺され、暗いグレーや濁った茶色になってしまいます。

アクリル絵の具使い方のコツー基本の塗り方

アクリル絵の具の塗り方の基本を2つ紹介します。

一番、使用頻度が高いのが「平塗り」でしょうか。絵の具は、柔らかめのマヨネーズ状に溶いて使います。太めの平筆で均等に、縦横に塗ります。

3色でもかなり濁る実例。左側:アドオレンジ、ディアリイエロー、ライトグリーンを混色。右側:ウルトラマリンブルー、コバルトテール、パーマネントグリーンを混色。『いずれもターナーのU-35を使用』。

次に、筆者がよく使うのが、2色のグラデーションです。2つの色のうつり変わりをうまく作ります。アクリル絵の具は、乾燥が早いので、水彩絵の具よりもたっぷりの水を水彩紙に染み込ませてから、手早く進めてください。

赤みの橙と黄色の混色。グラデーションでも発色が綺麗なままです。ターナーU-35のアゾオレンジとディアりイエローを使用。

補色関係を活用!アクリル絵の具の鮮やかさをコントロールする秘密

12色相環で正反対(向かい側)に位置する色の組み合わせを「補色(ほしょく)と呼びます。
例えば、「赤と青緑」や「青と黄みの橙」、「黄と青紫」などが補色の関係にあたります。

ターナーのU-35だと、ディアリライドイエローとウルトラマリンブルーを使用

補色同士を混ぜ合わせると、お互いの鮮やかさを打ち消し合い、綺麗なグレーやブラウンなどの「無彩色・くすみ色」を作ることができます。
影の色を作りたいときや、鮮やかすぎる色を少し落ち着かせたいときに補色をほんの少し混ぜる技法が非常に有効です。

ターナーのU-35だと、ディアリライドイエローとウルトラマリンブルーでできたグレー

石垣を描くときに「黒+白」だけで描いていたら本当に単調で面白みのない画面に。そこで、補色関係の色やそれに近しい色を混色して描いたら…。ありふれた表現がインパクトのある動きのある画面になりました。

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影を塗るときに黒を混ぜるのをやめて、補色をほんの少し混ぜるようにしたら、絵が一気にこなれました!

水の量はどれくらい?アクリル絵の具の発色を左右する適切な水加減

アクリル絵の具を水で溶く際の黄金比率は、絵の具に対して「水2〜3割程度」の柔らかめのマヨネーズ状が目安です

水を多く入れすぎると、アクリル樹脂の定着力が弱まり、乾いた後に絵の具が剥がれやすくなったりムラになったりします。

水彩画のようにシャバシャバにして透明感を出したい場合は、水ではなく「ペインティングメディウム(専用薄め液)」を使いましょう。

水加減を適切にコントロールすることで、絵の具本来の美しい発色と強い塗膜を維持することができます。

また、『ツヤ出し・つや消し・盛り上げ』など、目的別にメディウムを使い分けると表現の幅が広がります。

第2章の要点まとめ
・12色相環の隣同士は鮮やかに、向かい合う補色同士は深みのあるくすみ色になる。

・混色は「3色まで」が鉄則。

・水は2〜3割に抑え、薄めたい時は専用メディウムを活用する。

初心者がやりがちな失敗と正しい使い方のコツ

この章でわかること
・パレットや筆の固まりを防ぐトラブル対処法

・道具を長持ちさせるためのお手入れのやり方

アクリル絵の具を使い始めたばかりの初心者が必ず直面する「2大トラブル」とその解決策をまとめました。
あらかじめ対処法を知っておくことで、ストレスなく快適に制作を進められます。

パレットの上でアクリル絵の具がすぐ乾いてしまうとき

普通のアクリルパレットや紙パレットを使っていると、描いている最中に絵の具がどんどん固まって使えなくなってしまいます。

パレットを改良したウェットパレットを自作して使うのが効果的です。作り方は簡単!濡らしたキッチンペーパーの上にスポンジや耐水紙を重ねて出来上がりです。

市販のものもあります。

市販の紙パレットを使う時の裏技です。

1.霧吹きでシュッシュと吹きかけて乾燥を遅らせます。2.少し作業を中断する時は、ラップで保護します。

もしくは、市販のリターダー(乾燥遅延剤)を絵の具に少量混ぜることで、乾燥時間を引き延ばすこともできます。

一度に大量の絵の具を出さず、使う分だけ少しずつパレットに出す習慣をつけましょう。

ウェットパレットを使うと、数時間放置しても絵の具が固まらず、滑らかな状態をキープできます。

アクリル絵の具で筆が固まってダメになってしまった時の対処法とコツ

アクリル絵の具が筆の根元で乾いてしまうと、二度と元の柔らかい状態には戻らず、筆がダメになってしまいます。
描いている最中は、使っていない筆を絶対に放置せず、必ず水を入れた筆洗バケツにつけておきましょう。

作業が終わったら、ぬるま湯と石鹸(または専用の筆洗洗剤)を使って、筆の根元に残った絵の具を優しく洗い流します。

水気を切ったあとは、毛先を綺麗に整えてから平らな場所で乾燥させることが筆を長持ちさせるコツです。

下にある筆は、アクリル絵の具に最適の合成繊維(ナイロン系)毛の筆です。平筆は広い面用、細筆は細部用になります。大中小と違うサイズで、平筆や丸筆を用意すると使い分けができます。道具について詳しくはこちらの記事を☝️

【初心者向け】アクリル絵の具の基本的な使い方と楽しく描くコツ

時間があれば、屋外で穂先を下にして乾燥させるといいですね。日陰の風通しの良いところでお願いします。

筆を浸けたままバケツの底に放置すると毛先が曲がって癖がついてしまうので注意しましょう。

ついうっかり、絵の具のついた筆を放置してしまって。気がついたらガビガビになっていました。どうしようと困っている時、出会ったのがこの方法です。詳しくはこちらに☝️

【アクリル絵の具の筆の洗い方】初心者でも失敗しない3ステップを解説

【アクリル絵の具体験談】12色相環と補色を意識して変わったこと

アクリル絵の具を使い始めた当初は、ついたくさんの色を混ぜすぎてドブ泥色のようになっていましたが、12色相環のことを勉強して、補色で影を作るようになってから表現の幅が劇的に広がり、アクリル絵の具でも楽しく描けるようになりました。

同系色でまとまりすぎて画面が単調に

白龍の部分をアクセントに!補色を使いましょう!

インパクトが出て、画面下部の水田に映った影の部分も引き立ちました

この章でわかること
・色相環と補色を意識することで生まれた作品の変化

・色の性質を理解して実感した表現の広がり

アクリル絵の具の使い方のコツ、まとめ&よくある質問(FAQ)

この章でわかること
・この記事の重要ポイントのおさらい

・初心者からよく寄せられる疑問と回答(FAQ)

最後に、アクリル絵の具の使い方のコツと色の性質について重要なポイントをおさらいしましょう。

アクリル絵の具使い方のコツと重要ポイント

  • アクリル絵の具は「速乾性」「耐水性」の性質を持ち、乾くとやり直しが効かないため手早さが大切
  • 濁らない綺麗な混色を作るには「12色相環」で近い色同士を選び、混ぜる色は「3色まで」にする。
  • 影や落ち着いた色を作りたいときは「補色関係」を活用する。
  • 筆の放置は厳禁!使わない筆はすぐに水につけ、使い終わったら石鹸で根元からしっかり洗う

筆の洗い方、ガチガチになった筆の復活方法など、詳しくはこちら⬇️

【アクリル絵の具の筆の洗い方】初心者でも失敗しない3ステップを解説

よくある質問(FAQ)

Q. 水彩絵の具のパレットをそのままアクリル絵の具に使ってもいいですか?
A. おすすめできません。固まるタイプの水彩パレットを使うと、アクリル絵の具が乾いて取れなくなってしまいます。使い捨ての「紙パレットやプラスチックパレット」、「梅皿・プラスチックパレット(固まる前に洗う)」、または「ウェットパレット」を使用してください。

Q. 服にアクリル絵の具がついてしまったらどうすればいいですか?
A. 乾く前であれば、すぐに水と石鹸でもみ洗いすれば落ちます。なるべく早く落としてください。完全に乾いて固まってしまった場合は水では落ちないため、市販の「絵の具はがし液」や家にある消毒用アルコールなどを使って根気よく落とす必要があります。

服について乾燥してしまった絵の具を落とす方法は?…詳しくはこちらを⬇️

服についたアクリル絵の具の落とし方!乾いた後も家にあるもので解決

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

アクリル絵の具は、「水で溶いて使える」という扱いやすさと、油絵のような重厚感から水彩のような淡い表現までこなす「表現の幅広さ」が魅力です。でも、「乾燥が早いこと」と、「一旦乾燥してしまうと耐水性になること」に注意して、描くことを楽しんでください。

アクリル絵の具についてはこちらでも詳しく説明しています。併せてどうぞ!

【初心者向け】アクリル絵の具の基本的な使い方と楽しく描くコツ