【初心者向け】アクリル絵の具とポスターカラーの違いを徹底比較!

こんにちは、絵師の徳田智子です。早いもので絵の道に入って半世紀。
アクリル絵の具を愛用して5年の歳月が流れました。

美術の授業や趣味の制作で絵の具を選ぼうとしたとき、「アクリル絵の具」と「ポスターカラー」の違いがよくわからず迷ってしまう方は少なくありません。
見た目が似ているため、どちらを選べばよいか判断しづらいのが実情です。

この記事では、成分や乾燥後の性質といった基本的な違いから、耐水性・発色・価格帯までを整理し、用途別にどちらを選ぶべきかを具体的に解説します。
読み終えるころには、ポスター制作や作品づくりの目的に合わせて、自信を持って絵の具を選べるようになります。

アクリル絵の具とは?特徴と基本の使い方

この章では、アクリル絵の具がどのような成分でできていて、乾いた後にどう変化するのかまで踏み込んで解説します。

アクリル絵の具は、顔料をアクリル樹脂(合成樹脂)で練り合わせた絵の具です。
水を加えて伸ばせますが、乾燥するとアクリル樹脂が硬化し、耐水性のある皮膜になります。

上から水をかける実験。左側:ポスターカラー(ターナー・ポスターカラー、セルリアンブルー)、右側:アクリル絵の具(ホルベイン・アクリリック、イミダゾロンレモン)

ポスターカラーとアクリル絵の具比較

ポスターカラーは、水に溶け出していますが、アクリル絵の具は、絵の具は溶け出さず、水はそのまま溜まっています。

アクリル絵の具は、一旦乾くと耐水性になるので「木や陶器、布」などに描くことができます。乾燥後はそのままの状態を保つことができます。

アクリル絵の具支持体色々
この章でわかること
アクリル絵の具の成分・耐水性・耐光性・向いている画材について解説します。

アクリル絵の具の主な成分と乾いた後の性質

アクリル絵の具の顔料を固めているのは合成樹脂のため、一度乾燥すると水を含ませても再び溶け出すことはありません。
これは水彩絵の具やポスターカラーとは対照的な性質です。

乾燥後の耐水性が高いことから、屋外に近い環境や長期保存を前提とした作品にも向いています。

アクリル絵の具の発展の歴史に大きく関わっているのが「メキシコの壁画運動」です。

アクリル絵の具の誕生の歴史について、詳しい記事はこちら☝️

アクリル絵の具とアクリルガッシュ違いは何?初心者におすすめは?
アクリル絵の具は乾燥するとアクリル樹脂が硬化し、水に溶けない皮膜を形成します。この性質が水彩絵の具やポスターカラーとの大きな違いです。

アクリル絵の具の耐水性・耐光性の強さ

アクリル樹脂の皮膜は紫外線による劣化にも比較的強く、色あせしにくいという特徴があります。
そのため、額装して長期間飾る作品や、繰り返し手に取られるグッズ制作にも適しています。

洗濯にも耐えられる!

Tシャツに描くときは、こちらの記事を参考に☝️

Tシャツにアクリル絵の具で描く方法|洗濯に強い定着のコツ
古着リメイクアクリル絵の具でペインティング

古着リメイクもできます!詳しくはこちらの記事を☝️

【布に描く】アクリル絵の具の使い方!古着リメイクの手順とコツ

アクリル絵の具に向いている画材・支持体

紙だけでなく、キャンバス・木材・布・プラスチックなど幅広い素材に定着しやすいのもアクリル絵の具の特徴です。

麻キャンバスにアクリル絵の具で描画

麻キャンバスにアクリル絵の具

色々な木にアクリル絵の具で描画

色々な木にアクリル絵の具でペインティング
カノン
筆者はキャンバスや木材にもアクリル絵の具で描いてきましたが、紙以外の素材でもしっかり定着してくれるので、作品の幅がぐんと広がりました。

ポスターカラーとは?特徴と基本の使い方

この章では、ポスターカラー特有の「均一な発色」がどのような仕組みで生まれているのかまで解説します。

ポスターカラーは、顔料をアラビアゴムなどの水溶性の糊剤で練り合わせた絵の具です。
乾燥後も再び水を含ませると溶け出す性質があり、この点がアクリル絵の具との大きな違いです。

ポスターカラーの主な成分と乾いた後の性質

水溶性の糊剤を使っているため、乾いた後でも筆に水を含ませれば伸ばし直すことができます。
修正がしやすい反面、完成後に水に濡れると滲んでしまう点には注意が必要です。

ポスターカラーは乾燥後も水に弱いため、完成した作品を水に濡らさないよう保管には注意してください。

ポスターカラーの不透明で均一な発色の理由

ポスターカラーは顔料の粒子が密になるよう調整されており、下地の色を隠す不透明度の高さが特徴です。
塗りムラが出にくく、ベタ塗りしたときに均一な発色を得やすい設計になっています。

ポスターカラーに向いている画材・支持体

紙への定着を前提に作られているため、画用紙やケント紙など紙媒体での制作に向いています。

イラストボードにも描きやすい

デザインボード

画用紙のスケッチブックでも使用可能です

マルマンスケッチブック

ターナーのポスターからを使用。(左側:セルリアンブルー 右側:モーブ) どちらも12色セットに入っています。

仕上がりは、均一でフラットですね。

アクリル絵の具とポスターカラーの違いを比較表で整理

ここまでの内容を踏まえて、両者の違いを表で整理します。

アクリル絵の具とポスターカラーの違い:耐水性・耐久性

アクリル絵の具は乾燥後に耐水性を持つのに対し、ポスターカラーは乾燥後も水に弱いという明確な違いがあります。

左右:ポスターカラー(ターナー・ポスターカラー、セルリアンブルーとモーブ) 中央:アクリル絵の具(ホルベイン・アクリリック、イミダゾロンレモン)

ポスターカラーは、乾燥後に水をかけると溶け出してしまいます。アクリル絵の具の部分は、水を弾いてびくともしません。

この差は、展示や保存の方法を検討するうえで重要な判断材料になります。

アクリル絵の具とポスターカラーの違い:発色・仕上がりの質感

アクリル絵の具は乾燥後にツヤが出やすく、重ね塗りで立体感のある表現がしやすい絵の具です。
一方でポスターカラーはマットな質感になりやすく、均一な平面的な発色を得意とします。

白い画用紙の上に同じ赤色のアクリル絵の具とポスターカラーを並べて塗り、乾燥後の質感差を比較する写真風イラスト。左側はツヤのある盛り上がった質感、右側はマットで平坦な質感が対比的にわかる構図

アクリル絵の具とポスターカラーの違い:価格帯・入手しやすさ

一般的に、ポスターカラーは学校教材としても流通しており、比較的手に取りやすい価格帯の商品が多く見られます。

ターナーのポスターカラー12色セットは、1,760円ぐらいです。

こちらはホルベイン・ポスターカラー 12色セット

まずは、12色セットから始めてみてはいかがでしょう。

アクリル絵の具は種類やメーカーによって価格帯の幅が広く、画材専門店で豊富なラインナップから選べます。ホルベインのアクリリック12色セットで、1,870円ぐらいです。

こちらは、絵の具は30色。パレットや筆などもセットになっていて、届いたらすぐに描き始められます。

こちらは、ホルベイン・アクリリック、チューブタイプ・単色で、買い揃えました。

こちらは、国内メーカーの18色の絵の具セットで専門家も使っています。

比較のポイントまとめ
耐水性はアクリル絵の具、修正のしやすさと価格の手頃さはポスターカラーに強みがあります。

用途別:アクリル絵の具とポスターカラー、どちらを選ぶべきか

この章では、制作の目的別に、どちらの絵の具を選ぶべきかを具体的に判断できるようにします。

学校の授業・ポスター制作に向いているのは

短期間で仕上げ、修正もしやすいポスターカラーは、学校のポスター制作や掲示物づくりに向いています。

均一な発色でベタ塗りがしやすい点も、視認性が求められるポスター制作と相性が良い理由です。

イラスト・作品制作に向いているのは

重ね塗りやグラデーション、テクスチャー表現をしたい場合は、乾燥後も耐水性を保つアクリル絵の具が適しています。

東大寺二月堂・修二会の風景

アクリル絵の具は、乾燥が早く、重ね塗りに適しています。
画面の奥行きや、例えば水の深さや透明感など、塗り重ねることで簡単に表現できます。
ポスターカラーだと均一な画面を作り出す時には重宝しますが、作品に奥行きや透明感などは表現できません。

カノン
筆者が水の表現を描くときは、アクリル絵の具を薄く重ねて透明感を出しています。ポスターカラーでは同じ表現が難しく、ここが両者の一番の違いだと感じています。

屋外展示・長期保存が必要な作品に向いているのは

紫外線や湿気の影響を受けやすい屋外展示や、長期保存を前提とした作品には、耐光性・耐水性に優れたアクリル絵の具が適しています。

筆者お気に入りの「ターナー・U-35シリーズ」発色がとてもいいです。価格もリーズなブルです。

ポスターカラーは水に弱い性質上、屋外展示には不向きです。

混ぜて使うことはできる?併用する際の注意点

アクリル絵の具とポスターカラーは、成分となる樹脂と糊剤が異なるため、同じ作品内で併用する場合は注意が必要です。

先にポスターカラーで下地を塗った上からアクリル絵の具を重ねることは可能ですが、逆の順番では耐水性の違いにより発色や定着にムラが出ることがあります。

アクリル絵の具の上からポスターカラーを重ねると、定着不良や発色ムラの原因になります。併用する場合は塗る順番に注意してください。

購入前に知っておきたい選び方のポイント

制作したいものが短期間で仕上げる紙の作品なのか、長期保存を前提とした作品なのかを最初に決めることが、絵の具選びで失敗しないための第一歩です。

その上で、修正のしやすさを重視するならポスターカラー、耐久性や素材の自由度を重視するならアクリル絵の具を選ぶと目的に合った制作がしやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1.アクリル絵の具とポスターカラーは同じ筆で使い分けても大丈夫ですか?

A1. 成分が異なるため、できれば別の筆を用意するか、使用のたびに筆をしっかり洗ってから持ち替えることをおすすめします。

アクリル絵の具で使う筆についてはこちらの記事を参考に☝️

アクリル絵の具初心者におすすめの筆!納得の使い心地と価格ベスト3!

アクリル絵の具の筆の洗い方はこちらの記事を参考に☝️

【アクリル絵の具の筆の洗い方】初心者でも失敗しない3ステップを解説

Q2.ポスターカラーは乾燥後にコーティングすれば屋外でも使えますか?

A2. ポスターカラーは乾燥後にコーティングをしても、屋外での使用には向いていません。
なぜならポスターカラーの主成分が「水溶性の樹脂(デキストリンなど)」だからです。

そのため、乾燥後も水に触れると簡単に溶け出してしまいます。
コーティング剤の隙間からわずかでも雨水が侵入したり、結露が生じたりすると、内側から絵の具がドロドロに溶けて剥がれてしまいます。

参考までにメーカーのサイトを紹介します。

【人気写実絵師 山田めしがさん流】ポスターカラーの使い方|SAKURA PRESS|株式会社サクラクレパス

Q3.初心者にはどちらがおすすめですか?

A3. 修正のしやすさや扱いやすさの観点では、初めて絵の具に触れる方にはポスターカラーが取り組みやすい選択肢です。

まとめ|違いを理解して目的に合った絵の具を選ぼう

アクリル絵の具とポスターカラーは、成分・乾燥後の性質・発色・価格帯のいずれにおいても異なる特徴を持つ絵の具です。

比較項目アクリル絵の具ポスターカラー
バインダーの成分アクリル樹脂アラビアガムやデキストリン
乾燥後の性質耐水性乾燥後も水に溶ける
発色ツヤありツヤなし
価格1本150円〜1,000円前後、
12色セット1,100円〜4,400円前後
1本120円〜300円前後
12色セット1,100円〜3,300円前後
修正のしやすさしにくいしやすい

短期間の制作や修正のしやすさを求めるならポスターカラー、耐水性や素材の自由度を求めるならアクリル絵の具というように、制作物の目的に合わせて選ぶことが大切です。

掲示物に向くのはポスターカラー、作品制作に向くのはアクリル絵の具です。

まとめ
・修正しやすさ重視 → ポスターカラー
・耐水性や素材の自由度重視 → アクリル絵の具

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。感謝です。

もっともっと、描くことを楽しんでいただけるように、アクリル絵の具についての記事を紹介します。

アクリル絵の具の楽しみ方はこちらの記事を参考に☝️

アクリル絵の具の使い方は?初心者が基本の色で描くコツを解説

大人のアクリル絵の具の選び方はこちらを☝️

大人初心者向けアクリル絵の具セットおすすめ7選!選び方も解説

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