こんにちは、絵師の徳田智子です。絵の道に入ってはや半世紀。
寅年生まれの方からのご依頼で制作した、虎の掛け軸です。魔除けと安穏息災をお祈りして描きました。表層はプロの方にお任せしました。

日本人絵師として日本の文化について広く世界に発信していきたいと思い、伝統的な美術品でもある「掛け軸」について「モダンな和室にあう掛け軸」の選び方をお伝えします。

最近、和室や床の間を現代的なライフスタイルに合わせて、おしゃれに模様替えする方が増えています。
しかし、「伝統的な掛け軸は我が家のインテリアに合わないのでは?」「どうすればモダンで洗練された空間になるのか分からない」と悩む声も少なくありません。
実は、選び方や飾り方のコツさえ押さえれば、掛け軸は最高の「和モダンインテリア」になります。
この記事では、床の間をおしゃれに演出する掛け軸の選び方や、空間づくりのポイントを絵の道半世紀の筆者の視点から分かりやすく解説します。
お気に入りの一幅(いっぷく)を見つけて、自宅の和室を自慢したくなるような洗練された空間へと生まれ変わらせましょう。
目次
なぜ今「おしゃれな掛け軸」が人気なのか?

現代のライフスタイルと床の間の変化
現代の日本の住まいは、フローリングのリビングに隣接してコンパクトな和室が配置される間取りが多くなっています。
それに伴い、床の間の役割も「格式を重んじる場所」から「個人の趣味やインテリアを楽しむ空間」へと変化してきました。
そのため、従来の重厚で古典的な図柄だけでなく、今の住空間に自然と溶け込むモダンなデザインの掛け軸が求められるようになっています。
和モダンなインテリアとしての掛け軸の魅力
掛け軸は、実は非常に優れたミニマルなインテリアアイテムです。
壁に大きな額縁を飾るのとは違い、使わないときはコンパクトに巻いて収納できるため、手軽に部屋の雰囲気を変えられます。
また、布や和紙といった自然素材の温かみが、洋風の家具や照明とも絶妙に調和し、上質な和モダン空間を作り出してくれます。
掛け軸は、古くから日本でも愛用されてきた美術品であり調度品です。
現代の住空間においては、和室や床の間がない住居もあるかもしれませんが、洋室の空間にもシンプルな調度品としての掛け軸がマッチします。
晩秋の季語である「林檎(リンゴ)」をモダンアート風に描きました。表装はプロの方にお任せしましたがモダンでスタイリッシュなリビングにピッタリ。床の間がなくても素敵です!

工芸品としての側面を持つ掛け軸ですが、軽量でどこにでも飾ることができ、収納・保管のスペースを心配しなくていいのが何よりの利点です。

・軽量で収納しやすく、洋室のシンプルな空間にも調和する高い利便性がある
おしゃれな床の間を作る掛け軸の選び方
・部屋のトータルコーディネートにおける色使いの重要性
今の住まいに馴染むおしゃれな掛け軸を選ぶには、デザインの方向性を知ることが近道です。
主に以下の3つのスタイルが人気を集めています。
空間をスタイリッシュに引き締める「書」のデザイン
一文字や短い言葉が大胆に書かれた「書」の掛け軸は、非常にモダンでスタイリッシュな印象を与えます。
余白が美しく活かされたデザインは、ミニマルなインテリアが好きな方にぴったりです。

英字をデザイン化したものや、現代的なカリグラフィーのような書風であれば、洋室感覚の和室にも見事にマッチします。
洋風の部屋とも調和する「抽象画・北欧風アート」
幾何学模様やグラデーションなどの「抽象画」、あるいは温かみのある「北欧風」のデザインを表現した掛け軸も登場しています。
これらは、従来の床の間のルールを良い意味で覆し、リビングから見える和室を一気にお洒落なギャラリーのように変身させます。
自作の昇鯉の掛け軸。絵の中の一色からワインレッドのファブリックを選びました。我が家の床の間は北向きなので「昇鯉とワインレッド」で風水的には運気の上がる組み合わせです。

ファブリックパネル(布製の壁飾り)を飾る感覚で、直感的に好きな色や柄を選べるのが魅力です。
現代の住まいに馴染む「新感覚の花鳥画・山水画」
伝統的なテーマである「花や鳥」「山水」を描いたものであっても、現代風にアレンジされた作品ならとてもおしゃれです。
色使いがパステルカラーで優しかったり、細部がシンプルにデフォルメされていたりする作品は、部屋に圧迫感を与えません。
日本の伝統美を感じさせつつも、古臭さを一切感じさせない洗練された空間を作ることができます。
掛け軸をお部屋のアクセントに!自作の錦鯉でインパクトあり!

現代の住宅に合わせる時、お部屋のトータルカラーコーディネートが大変重要になります。
掛け軸をお部屋のアクセントとして使用するか、カラートーンを合わせてお部屋の雰囲気に馴染ませるかで全く印象が変わってきます。
お部屋のベースカラーと同系色の掛け軸を選ぶと統一感が出て落ち着いた空間になり、あえて反対色や鮮やかな色を選ぶと、目を引くお洒落なアクセントになります。
・全体のカラートーンを合わせるか、アクセントにするかで部屋の印象が大きく変わる
おしゃれに見せるための床の間の配置とバランス
・照明やインテリア小物を使った立体的な空間演出
おしゃれな掛け軸を選んでも、飾り方のバランスが悪いとその魅力は半減してしまいます。
空間全体を美しく見せるためのポイントを解説します。
すっきりした印象を与えるサイズ(余白)の黄金比
床の間をおしゃれに見せる最大のコツは「引き算(余白)」です。
床の間の横幅に対して、掛け軸が大きすぎると空間が窮屈になり、おしゃれさが損なわれてしまいます。
左右にそれぞれ15cm以上の十分な余白を確保できるサイズを選ぶと、空間に心地よい「間(ま)」が生まれ、掛け軸がぐっと引き立ちます。
右側が自作掛け軸。北側の床の間にぴったりのカラーは、落ち着いたピンクとアイボリー。着物帯のリメイクで軸を作成。こちらも北側にぴったりの絵柄の昇鯉の絵を描きました。運気爆上がりです。

自作掛け軸の記事はこちら
花瓶などの演出小物も左右非対称(アシンメトリー)に配置すると床間に動きが出ます。
すっきりした印象を与える掛け軸の幅のサイズ
掛け軸の横幅のサイズは、床の間の幅の約3分の1が一番見栄えの良い黄金比と言われています。
下記は一般的な床の間にぴったりサイズの掛け軸です。
| 一間(約180cm) | 半間(約90cm)・ マンションの床の間 |
|---|---|
| 尺五立(幅54.5cm) | 尺三(幅44.5cm) |
| 尺八立(しゃくはちたて) 大きめ 約71cm × 194cm | 半切(幅約47cm) |
早速、ご自宅の床の間のサイズを測ってぴったりの掛け軸を飾りましょう。
掛け軸の飾り方、しまい方の詳しい記事はこちらをクリック☝️
照明(ライトアップ)やインテリア小物との組み合わせ
床の間の演出は、掛け軸一枚だけで完結させる必要はありません。
例えば、ダウンライトやクリップライトを使って掛け軸を優しく照らすと、夜には幻想的な陰影が生まれ、高級ホテルのような雰囲気を演出できます。
また、床の間にモダンなフラワーベース(花瓶)や一輪挿し、シンプルな香炉などを少しずらして配置すると、より立体感のあるおしゃれな空間になります。

・左右対称の配置を避け、あえてずらすことで動きのある洗練された空間になる
【体験談】私が床の間をモダンでおしゃれに変身させた工夫
・雑多な印象を防ぎ、主役を引き立てる「引き算の美学」
ここでは、実際に床の間の掛け軸選びや模様替えを通じて、お部屋をおしゃれに変身させた実例と工夫のポイントをご紹介します。
【実例】掛け軸一枚で古い和室が洗練された空間に
「昔ながらの茶色い土壁と畳の和室だから、おしゃれにするのは無理」と諦める必要はありません。
むしろ、少し古い和室にこそ、パッと目を引く現代的なデザインの掛け軸を飾ることで、見事な「和モダン」のコントラストが生まれます。

掛け軸のデザインが持つ強い世界観が、部屋全体の印象をガラリと変える主役になってくれます。
【解決策】コーディネートで特に意識した引き算の美学
おしゃれな空間づくりで多くの人が陥りがちなのが「飾りすぎ」です。
あれもこれもと床の間にモノを置いてしまうと、雑多な印象になってしまいます。
掛け軸を主役にするなら、床板の上にはお気に入りの小物を1点か2点だけ絞って置くという「引き算」を徹底することが、成功への一番の近道です。
築100年以上の木造建築のお家の床を畳からフローリングに変えられた方から、床の間のことについて相談を受けた時のことです。
シンプルな書の掛け軸(この場合、パネルのように平たいものにしました)を提案しました。

するとどうでしょう!築100年以上の古屋がモダンな和ホテルのように生まれ変わったのです。
相談者様からは喜びのお電話をいただき、筆者も嬉しくなったことを覚えています。

・モノを厳選する「引き算」を徹底することが、和モダン空間を成功させるコツ
おしゃれな床の間の掛け軸に関するよくある質問(FAQ)
皆様からいただく質問で特に多いものを取り上げてみたいと思います。
Q. 伝統的なマナーや季節のルールはどこまで守るべき?
A. 現代のおしゃれなインテリアとして楽しむなら、あまり堅苦しく考えず「飾りたいもの」を優先して構いません。
もちろん、お正月や法要などの親族が集まる特別な行事では伝統的なルールに合わせるのが素敵ですが、普段の生活空間であれば、あなたの感性で「美しい」「落ち着く」と感じる作品を選ぶのが一番です。
「今の季節にこの色を合わせるとお洒落よね」という気軽な感覚で楽しんでみてください。
Q. 賃貸マンションの狭い床の間でもおしゃれに飾れる?
A. はい、コンパクトな空間だからこそ、ミニマルで洗練されたおしゃれさを演出できます。
マンションの半間(幅約90cm)やそれ以下の狭い床の間、または床の間風の壁面スペースには、細身の掛け軸(寸幅や尺三サイズ)が非常にスマートに収まります。

あえて短めの丈の掛け軸(横物や短冊掛け)を選び、下の空いたスペースに小さなお気に入りのモダンインテリアを置くスタイルも人気です。
Q.掛け軸を洋室の壁に直接掛けてもおしゃれになりますか?また、その方法を教えてください。
A.はい、掛け軸を洋室の壁に直接掛けるのは、和モダンや海外のインテリアでも人気があり、非常におしゃれです。
タペストリーやモダンアートのような感覚で、空間のアクセントとして楽しむことができます。

洋室の壁をおしゃれに飾るためのポイントは、飾る場所と方法がポイントです。
壁に直接掛ける場合は、「ピクチャーレール」を使用するとすっきり飾れます。
壁に穴を開けたくない、または賃貸の場合は、石膏ボード用の穴が目立たない「壁掛けフック」を活用するのがおすすめです。
まとめ:お気に入りの掛け軸でおしゃれな和モダン空間を楽しもう

床の間をおしゃれに彩る掛け軸は、私たちの暮らしにモダンな潤いと洗練された癒しを与えてくれる素晴らしいアイテムです。
インテリアとして成功させるためのポイントをおさらいしましょう。
・左右に十分な「余白(15cm以上)」を作り、すっきり見せる
・照明のライトアップや、モダンな置き物と組み合わせて立体感を出す
・あれこれ飾りすぎない「引き算の美学」を意識する
従来の「敷居が高い」というイメージを捨てて、ひとつのアート(絵画)として掛け軸を自由に楽しんでみてください。
こちらは、自作掛け軸。四神獣のうちの白虎で、西の方向を守り、魔除け・厄除けになり、家運や運気を安定させます。また、金運を逃さず、富をもたらすとも言われています。西の方向に飾って運気アップ!

いかがでしたか?
掛け軸は、自分とは「縁がない」「考えたこともない」と思っていらっしゃる方が大多数だと思います。
掛け軸は、日本の古き良き伝統文化でありながら、ほんの少し現代風にアレンジするだけでおしゃれな空間が演出できる優れものです。
ぜひ、毎日の生活に取り入れて何気ない日常に花を添えてください。
また、掛け軸は自分でも制作できます。興味のある方はこちらの記事も併せてお読みいただければと思います。
本日は最後までお読みいただき、感謝です。
ありがとうございました。








・和モダンインテリアとしての掛け軸の優れたメリット